落書き帳(文字)

20代エンジン設計技術者の雑記です。目に優しい配色になっています。

理系出身の私がおすすめする! 科学読み物9選

こんばんは、ミズノです。

 

私はフィクション好きの人間で、根っこのところは文系っぽいところにあるのかなあということをちょいちょい考えたります。が、文字じゃ飯は食えん、と考えた昔の私は、食える技術を身に着けようと理系進学しました。意外と、物理や数学も面白かったので、そっちにも運よくハマることができました。結局、どちらに進もうとも、仕事をしたり考えたりするうえでは、分類にとらわれない横断的なものの見方をしないといけないので、結局たどり着くところは同じなのかなと思ったりします。

 

さて、小説好きで物理数学にもハマった私は、その帰結として科学読み物にも手を出すことになりました。科学とは難しいものと思われがちですが、しょせんは好奇心にあかせて調べたことをうまくまとめるという作業の繰り返し。アウトプットが地味だし、ちょっとした勉強も必要としてしまいますが、仕事にせず楽しむだけであれば、そこまで深い知識は実は必要なかったりします。

そんなところで、そこまで深い科学知見を持たずとも、楽しんで読める科学書を紹介していきます。

 

 

相対性理論を楽しむ本

難しいものの代表格とされる「相対性理論」ですが、その一部を理解することは中学生にも可能です。私がこの本を読んだのは中学三年生の時。

この本を理解するのに必要なのは、三平方の定理

 

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 ↑これだけです。

 

それと、ちょっとした好奇心。当時の私は、電車に乗っている人と乗っていない人との間で、時間が何倍だけ違ってくるを計算し、一人悦に入っていたものです……変な中学生でした。ちなみに、どの程度の時間差になるかというと

t/T=0.999……

つまるところ1です。日常生活の範囲では、時間のずれなんて全然気にならんのですね……みたいなことが、誰にでもワンコインでわかります!

 

相対性理論! 難しく! ないよ! (一部は)

 

ということがわかる本です。

 

②雪は天からの手紙

雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)

雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)

 

中谷宇吉郎、と聞いてなかなかピンとくる人は少ないかもしれません。

この方は、世界で初めて人工雪の生成に成功した先生で、この「雪は天からの手紙」という言葉は、最も有名な彼の名言として今も語り継がれています。

「雪は天からの手紙」非常に誌的な表現ですが、そこに至る洞察は、科学者としての自然への興味、それと考察センスを感じさせます。雪の結晶の形は、湿度・気温・気圧で変わってくる――なので、雪の結晶を調べれば、遥か上空がどういう状況になってくるかわかる。それで「天からの手紙」なのですね。

平易な文章で鋭い洞察を残すエッセイは、私たちの日常に、ちょっと変わった視点を与えてくれます。必要な科学知識はほぼゼロ。それなのに、ある程度勉強を進めた人しか読まないというギャップ……

地味ではありますが、だからこそ! いろんな人にお勧めしたい最高の名著です。 

 

 

③ロウソクの科学

ロウソクの科学 (角川文庫)

ロウソクの科学 (角川文庫)

 

知っている人は知っている「ファラデー定数」のファラデーです。

ロウソク、と聞いて思い浮かべるのはあの、白い蝋の上に小さな灯がちろちろと燃える。あのロウソクです。この本は、ロウソクの燃える様子を起点にして、そこから洞察できる科学的知見をことこまかに解説してくれるものです。

燃焼、というのは非常に単純な現象に思えますが、そこには様々な物理・科学現象が起こっています。なぜ燃えるか? なぜロウソクの炎は色が違うか? そういった素朴な疑問から、普遍的な解を導いていく流れはお見事のひとことです。

センスのいい科学者は、誰にでもわかるよう、しかも興味をそそる話し方をしてくれるのです。

 

ファインマン物理学

ファインマン物理学〈1〉力学

ファインマン物理学〈1〉力学

 

ノーベル物理学賞を受賞した超有名人、ファインマンの講義本です。

私が大学一年生の時に読んでおくべきだったと激しく後悔している一冊です。 

難しそう! という割に数式はほとんど出てこず、原子論・分子論を、直感的に掴めるようにわかりやすく説明しています。

ただ、読んだ人が全ての内容を理解できるようにはしていないようで、「科学を志さなくとも全員に理解してもらえる内容」と「より高いレベルを目指すわずかな人に理解してほしい内容」の両方を含んでいるようです。ちなみに私個人で言うと、七割くらいは理解できてるつもりでいます。

タイトルは「力学」とありますが、電磁気や量子論やら原子論やら、関連ある学術分野まで含め横断的に解説してくれる優れた本です。力学それ一つ取ったって、ほかの学問分野と切り離して語れるものではないということがよくわかる一冊です。

全国の物理を学ぶ大学生は、絶対に一度は読んだほうがいい本です。

 

⑤影響力の武器

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

 

さて、次は自然科学をちょっと離れてこんな本。

最近、似非心理学的な知見がテレビやブログで散見されますが、そのもとになっているのがこの本。この本自体はしっかりした科学書ですが、一般向けに面白おかしく誇張されて、いつのまにかちょっと胡散臭い記事みたいに書かれている事柄がいっぱいあります。

「ハロー効果」「返報性の原理」「フット・イン・ザ・ドア」

なんて言葉、聞いたことありませんか? 

ちなみに、この本は主に「セールスマンが物を売るには?」とか「なぜ私たちは望まないものを買ったり選んだりしてしまうのか?」「なぜそういう行動をとったのか」と、私たちの行動を陰で操っているいろいろな効果をまとめたものです。「人はなぜ動かされるか」を主眼に様々な研究結果を紹介し、詳しく解説してくれる優れた本です。

この本を読んだ当時の私には片思い相手がおり、この本のテクニックを駆使してその子を籠絡しようと必死でした。ちなみにフられました。 

 

あとあと、今超話題になってるこの本。

読了できていませんが、影響力の武器+自身の仕事経験をまとめた本なのかなあと、サンプルを読んで思っています。顔出ししてないけどこの人きっとすごい人なんだよね、多分。

 

利己的な遺伝子

利己的な遺伝子 <増補新装版>

利己的な遺伝子 <増補新装版>

 

生物系学部の人ならきっと名前くらいは必ず目にしたことがある本。この本の主張は、

「人間は個体そのものの生存でなく、自身の遺伝子が後世まで受け継がれていくような行動を選択をする」

ということです。

なぜ親が子どもを守るか? なぜ群れの動物は仲間の動物を助けるか? ダーウィンの進化論では考えられなかった「なぜ、自分という個体にとっては損になるのに他人を助けるか」という疑問をうまく解説してくれる仮説。それが「利己的な遺伝子」説です。説を裏付ける豊富な事例と考察がひたすら書かれています。

人の行動の一番根本の部分に迫っているのは、きっとこの本だと私は思います。興味深い一方でちょっと怖い本です。

 

⑦サピエンス全史

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 

さて、何かと話題になったこの本、貨幣の成立など、いかにして社会がその形が作られていったかが概観できる優れた本。この本のメインの主張は、

「あらゆる人類の中で、ホモ・サピエンスがここまで繁栄できた理由は、貨幣や国家と言った"共同幻想"をみんなで信じることができ、ほかの動物と違い、数百・数万人を超える人々が協力し事業を推進することができたため」

としています。

我々が当たり前だと思っている国家、貨幣、国、会社。社会的な構成要素はすべて、私たちがそうと認識できなければ存在できない、私たちの頭の中にあるものです。サルやイヌとった動物とヒトとの違いはいろいろあるかもしれませんが、巨大な文明を築くに至った「共同幻想」こそが、ヒトが文明を構築できた最も大きな違いと本書は主張します。

この本を読んで、震えました。なぜ憲法があるのか? なぜ国家があるのか? なぜ宗教があるのか? 今までもやっとしていた素朴な疑問に、衝撃的な解が与えられ、納得すると同時に怖くなったからです。

一方で、宗教の根幹となるあれこれと客観性を重視する科学の対立は、その共同幻想を打ち壊しかねないものです。そのあたりのすり合わせが、今後どうなるかちょっと怖くも興味深くあります。

なお、著者は続きを出しており、

youmizuno.hatenablog.com

タイトルからしてちょっと怖い本です。

 実は前の記事で紹介してました笑。「人は死を超越して神になる」みたいなことが本気で書いてあって震えます。

 

シートン動物誌

シートン動物誌〈2〉オオカミの騎士道

シートン動物誌〈2〉オオカミの騎士道

 

 「利己的な遺伝子」と「サピエンス全史」は、読んだら眠れなくなる怖すぎる科学書です。が、最後はちょっと安心できるのにしようと思います。

誰もが名前を知っているであろう「シートン」その観察と調査の記録が事細かに書かれた本です。

この本の面白いところは、シートンの詳細な動物観察とリアルなイラストもですが、何よりも、野生に生きる動物たちの生のエピソードが、現地の人からのヒアリングをもとに書かれており、眼前に迫るリアリティでもって私たちがそれを追体験できることです。

私は(2)だけ買いましたが、野生のオオカミが獲物を捕らえるところ、子育てをするところ、人里に近づいて様子をうかがうところなど、当時の記録がそのまま掲載されており、まるでその場に立ち会ってみてきたような気持ちになれます。

動物観察する鋭い観察力、高い写生技術、科学的洞察力、そして、読む人の心に訴えかける文章力と、シートンがいかに凄い人物だったかを実感できんます。

動物大好きおじさんなのかもしれませんが、ただの動物大好きおじさんではないんですよ! 凄いんですよ!

 

⑨鳥類学

鳥類学

鳥類学

 

さて、これが最後になります。この本は「近年までの鳥類学的な研究をすべて一冊にまとめ上げた」ものすごい大作です。

分類、遺伝子系統、羽の生え方、くちばしの形、飛び方、獲物のの捉え方、繁殖……等々、あらゆる種類の鳥のあらゆる生活形態がこの一冊で網羅されています。超マニアックですが超内容の濃い本です。

私もまだ読み切れていないのですが、子どものころにこいつを見たら、きっとものすごい鳥マニアになっていたに違いありません。

しかも、これだけの超大作で約6000円! これまでの学術研究をまるっとまとめた本なんで、ほかの分野ではゆうに1万や2万はします。それに比べたら安すぎる!

鳥類研究所の人は素晴らしい本を出してくれています。

 

以上、私のおすすめする科学読み物を紹介してきました。

この中から、何か面白いと思うものが見つかれば嬉しいです。

 

 

超面白いおすすめ ラノベ・エンタメ小説15選!

高校の卒業式の日のことです。私は突然、皆がいる教室で、担任の先生に

「ミズノ、前に出てこい」

と言われました。特に何をした記憶もなかったのでどきどきしながら前に立つと、封筒に入った何かを手渡されました。先生からです。愛の告白? まさか。俺たちは男だぜ。それは、三年間の間に図書館で借りた本の記録でした。

「多読者賞」

学年で借りた冊数一番、ということで表彰を受けたのです。

小さな札が書かれたあの便せんは、今でも私の宝物です(実家のどこにしまったかな……?)

 

なんてという、ささやかすぎる自慢エピソードがあるくらい、高校生時代の私はそこそこ本好きでした。3年間で70冊くらいだったかな? そんな多くない気もしますが、私の高校では読書はあんまり流行っていなかったのです。

 

美しい思い出を語りすぎて失礼しました。ミズノです。

さて、Twitterの読書垢をがむしゃらにフォローしていたら、いろいろな人たちが自分の読んだ本の記録をTwitterに残しているのを見つけました。私も、自分の記憶が遥か彼方に消え去ってしまう前に、自分の好きだったものの総ざらいをしておきたい……ということで思いついたこの記事。未来の自分と、自分と趣味の合う読者に届くことを願い、思いつく限り、ばばばっと書いていこうと思います。

新しく読んだ奴はTwitterに上げてこうと思います。

 

ちなみに当時の私は、乙一宮部みゆき、スティーブンキングを三大神とあがめたてていました。

 

涼宮ハルヒの憂鬱 

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

 

初めてラノベに出会ったのはこの本だったと記憶しています。ネット世界へ触れるのが私よりも早かった弟の本棚に置いてあったものを、勝手に借りていました。

主人公キョンの一人称視点に、ラフで崩れた文体、軽妙な語り口で自分の周りの出来事を語っていくラノベのスタイルは、当時の私には非常に新鮮に移りました。

変な部活を結成して仲間とわちゃわちゃする系小説の元祖ともいうべき本作。これにガチはまりしたのは、私の人生にとってプラスだったかマイナスだったか、判定に迷うところです。

キョンハルヒ長門、朝比奈さん、小泉、鶴屋さん……といった個性的な面々が織りなす物語は面白く、「自分もこんな奴らと一緒になって楽しく過ごしたい!」という気分にものすごくなったものです。「学校へ行こう!」シリーズもちょっと読みましたがそこまでハマらず……どうも、私はSOS団の面々が相当好きだったみたいです。

もう一度彼らの活躍を見たいところですが……最新刊はきっともう出ないんですよね?

 

②GOTH

GOTH 夜の章 (角川文庫)

GOTH 夜の章 (角川文庫)

 

ラノベと言えば電撃、ですが、当時の私はラノベと言えばスニーカー文庫だと思っていました。それは涼宮ハルヒの憂鬱のこともありますが、GOTHのせいでもあります。

乙一を知ったのは、十六歳でデビューした天才、という触れ込みをどこかで見たからで、当時、ぼんやりと小説を書きたいと思っていた自分は、そこから何か学べないかと思っていました。最初に手に取ったのは、「夏と花火と私の死体」。これが語り口も話の展開もオチも面白い。これをきっかけにハマり、次々に乙一を読破しました。その中でも最もお気に入りなのがこれです。

 

この本で初めて知ったのは、「叙述トリック」という技法の存在。今でも私の中では、ミステリー、と言われるとこの本が真っ先に頭に浮かびます。ミステリなんかは、全然読んでいなかったんですね。

「犬」「土」「声」など、読者のことをよくわかっていないとできないような仕掛けの数々に魅了されました。シンプルでわかりやすい文体、奇妙だけれど魅力的な二人の主人公。巧みなストーリー展開と畳み方。語り口がちょっと中二っぽいのも、高校生の頃の私にはかなりハマったようです。

が、その時には乙一は新刊を出しておらず、既刊を探して読む日々でした。その後、筆名を変えて著作を出していることを知ったのはそれから数年後、大学四年生の時、大学生協でたまたま手に取った「吉祥寺の朝比奈くん」がきっかけでした。なんかこの作風、乙一っぽいな……と思ったのです。

……しかしなぜこんな紛らわしいことをしたのかいまだに解せません。

 

 ③失はれる物語

失はれる物語 (角川文庫)

失はれる物語 (角川文庫)

 

残酷な話も切ない話も書ける。GOTHとは対極に来る乙一の短編小説集の一つです。

GOTHであった巧みなストーリー展開はそのまま、題材は人の心の温かさや、別れ、出会いといった普遍的な感情を描きます。切ないのと残酷なのは、違っているようでいて実は近い感覚なのかもしれません。

手を握る泥棒の物語」や「しあわせは子猫のかたち」なんかがお気に入りです。

……知らないうちに表紙の絵が変わってて驚きました。 

 

④さみしさの周波数

「失はれる物語」と同じ雰囲気の切ない話が中心。最初の一篇「未来予報」は、タイトルの通り未来予知を題材にした快作です。甘くも切なく構成の妙も冴える、最高の短編の一つです。

ただ、短編集としては文句があって、4編中2編が「失はれる物語」に収録されているのがいかがなものか……乙一はかなり遅筆な作家だったなと強く感じます。

 

⑤天帝妖狐

天帝妖狐 (集英社文庫)

天帝妖狐 (集英社文庫)

 

乙一の紹介はこれでラスト。彼の第二作です。この小説を読んで乙一の才能を確信した方も多くいることでしょう。

トイレの落書きを題材にした「The Masked Ball」と、こっくりさんに体を奪われてしまった男の悲劇を描いた表題作「天帝妖狐」を収録しています。

ジャンルとしてはホラーに当たります。デビュー第一作がホラーということもあって、当初はそういう路線で新作を書いていたようです。

怖さと残酷さと切なさが共存する、乙一のエッセンスが詰まった短編集です。

 

ステップファザーステップ

ステップファザー・ステップ (講談社文庫)

ステップファザー・ステップ (講談社文庫)

 

乙一を読んで以来、ミステリーに関心を向け始めた私は別の作家を開拓し始めました。その結果行き当たったのがこの本です。

社会派ミステリーや時代物など、硬派な作品を多く描いているイメージのある宮部みゆきですが、それだけではありません。ライトタッチな楽しい短編も書けてしまうのです。なんでも書ける希代のストーリー作家というほかありません。なかなか分厚い本に手が出せなかった私にも、短編のミステリということで手が出しやすかったのです。

泥棒+大人よりずっと賢い双子、が織りなす事件の数々。この本のおかげで、ほかの超長編を読む下地ができたなあと思っています。それなりに賢いはずの泥棒を手玉に取っていく可愛らしい双子の言動の数々は必読。

一卵性双生児、のフレーズが今でも異様に頭の中に残っています。

 

 

⑦本所深川ふしぎ草紙

本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)

本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)

 

宮辺みゆきの歴史もの。本当にこの人は何でも書けるんだなと舌を巻きます。歴史ミステリの連作短編集です。

私のお気に入りは最初に収録されている「片葉の葦」。身分違いのお嬢様に恋する男が、父親殺しの疑いをかけられたお嬢様の無実を信じてあれこれ頑張る話です。結ばれない恋の美しさよ……そういう話ではないんですけれど。

歴史人情物、ミステリー、さくっと読める長さ。歴史ものは、多数の人物が登場し大きな歴史のうねりの中で各々が各々の目的をもって進むため、長くて読むのが大変です。その後の私は司馬遼太郎の「燃える剣」に挑戦したのですが、ストーリーと直接関係ない描写が苦手で途中断念したのを覚えています。

その点、一話完結で切れのいい終わり方をする短編が収められたこの本は、誰にでもお勧めできる、歴史ミステリの入門のような本だなと思います。とても読者層の厚い本だと感じます。

……ちなみに、私は玄人ぶっている割に、入門以降のステップはあまり踏めていません。

 

模倣犯

模倣犯〈下〉

模倣犯〈下〉

 

何でも書けるものすごい作家ですが、中でもこの本は宮部みゆきの真骨頂とも言うべき作品です。少女ばかりをターゲットにした劇場型犯罪。自らの快楽のために人を不幸に陥れていく真犯人の狂気にはホラー顔負けの恐怖を感じます。

何が真骨頂かと言いますと、犯罪者と被害者だけでなく、犯罪者の友人、被害者の家族……犯罪の周りにいるすべての人たちの恐怖や悲しみを、これでもかとばかりに克明に描いてくる点です。フィクションのはずなのに、まるでノンフィクションのよう。

ドラマ版のピース役には中居くんを当てているみたいですが、配役がハマりすぎててヤバいなと感じます。一見人あたりがいいようで見えて、どす黒い闇を抱えてそうな感じがぴったりです。天才的なキャストです。

他の作品もそうですが、宮部みゆき作品の悪役は「生まれつき根っからの悪」な人が多いですね。悪役にも泣かせるエピソードを付与してくるジャンプ方式(私が勝手にそう呼んでいる)とはだいぶ勝手が異なります。

単行本で上下二冊。しかも上下段印刷という超大作。当時の私はこいつを読んで、俺もこれで読書通だぜと謎の自信をつけたものです。

しかしアマゾンのクリック数少ないですね……

 

火車

火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)

 

宮部みゆきの長編小説はいくつか読みました。上にあげた「模倣犯」。疑似家族の惨殺事件を描いた「理由」。超能力者を題材にした「龍は眠る」、犯人を追って登場人物が夜を駆けるサスペンス「スナーク狩り」。ですが、中でも一番印象に残っているのが、この「火車」です。クレジットカード破産を題材にしたこの小説、休職中の刑事が、あるきっかけからある女の人の行方を追っていく話です。

この小説に何よりも印象的なのがそのラストで……ネタバレになるから書けないのですが、こんな変わった企みに満ちた長編小説があるんだと驚いたものです。

ちなみに読み方は「ひぐるま」ではなく「かしゃ」なのでご注意を。

 

太陽の塔

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「四畳半神話体系」「有頂天家族」「夜は短し歩けよ乙女」がアニメになり、最近では「ペンギンハイウェイ」もアニメ映画になりました。まさに今を時めく作家、森見登美彦のデビュー作です。

森見登美彦の小説はファンタジー色が強く、確かにアニメーションとの親和性めっちゃ高そうだなあとは思っています。

が、その中でもアニメーションとの親和性が微妙に悪そうなものがありますが、おそらくそれはこの、「太陽の塔」です。

滅茶苦茶笑った小説。私が森見登美彦を知った最初の一作でもあります。 モテない男が可憐な乙女を追い回す構図は「夜は短し」に通ずるものがあります。頭でっかちなくせにヘタレ、妙に文語的な語りをする頭のおかしい(いい意味で)「私」には、共感する部分もあり、ちょっと違和感を覚えるところもあり、愛しくもある。吹き出してしまうような言い回しが十ページに一回くらい出てきます。

「奇遇ですねえ!」

というのは、夜は短しのほうだったか太陽の塔だったか。頭はいいはずなのに妙に無防備な乙女も、またキャラが濃くて割と好きです。

個人事業主というのは誰もが各々の個性を持ったものと思いますが、中でも際立って独自の魅力を持った作家が森見登美彦です。本人のブログの文体も妙に文語めかしていて……あれは読者受けを狙ってキャラを作っているのかと思っていたんですけれど、実はあれが素だったりするのかもしれないなと最近は思い始めています。

 

 

グリーンマイル

高校一年生の時、乙一の小説を貸すのと引き換えに友人から借りた一冊。当時は、二分冊でなく、薄めの文庫本に六分冊しているのをひとつずつ借りました。

乙一信奉者だった私は、日常から乖離しすぎないちょっとだけ不思議な話が大好物だったので、当然スティーブンキングには一瞬でハマりました。

ジョン・コーフィという大柄の囚人が刑務所に連行されてくるところから物語はスタートします。けれど、その男は非常に穏やかで心優しく、とても少女を強姦の上殺したようには見えない――。グリーン・マイルというのは、処刑用の電気椅子に向かうまでの道のりを示す言葉で、当然、この小説の登場人物たちはほとんどみな、その道を歩き処刑される運命にあります。

囚人コーフィの慈愛に満ちた心が胸を打つ傑作です。

 

ゴールデンボーイ

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

 

キングの「恐怖の四季」シリーズ。表題作は、素直でまっすぐな少年が、元ナチスの老人に興味をもってしまったところから道を踏み外していってしまう話。学校の先生の疑惑を逃れようとするシーンは緊張の連続ですが、今思い返せばかなり笑えるところだった気もします。

表題作は「ゴールデンボーイ」とありますが、この作品集には、もうひとつ、死ぬほど有名な作品の原作が収められています。それは、

ショーシャンクの空に

です。

原作のタイトルは「刑務所のリタ・ヘイワーズ」。世の中には希望なんてないと悟る模範囚のレッドが語り部。そんなレッドのもとへある日、アンディ・デュフレーンという男が近づいてきます。彼は妻殺しの罪で服役されている男で、アンディに、ロックハンマーの調達を依頼します。訝しがりながらもレッドは承諾する。そこから二人はだんだんと友情を深めていき――

先の見えない刑務所生活の中で、一筋の希望をつかむために奮闘するアンディの姿には胸を打たれます

「希望はいいものだ」

という、ありきたりなメッセージが、これほど胸に迫る作品はこれまでに読んだことがありません。

 

映画も3周しました。

なんとプライムビデオでただで見られます! アマゾンの回し者感が半端ないですね

 

スタンド・バイ・ミー

スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

 

巷では、スタンドバイミーと名の付く映画や音楽であふれかえっていますが、私にとってのスタンダバイミーはベン・E・キングのスタンドバイミーこそが本当のスタンドバイミーだと思っています。

有名すぎる表題作なので紹介不要かもしれませんが、まだ見つかっていない子どもの遺体を、4人の少年が探しに出かける「少年たちの冒険もの」です。私はこの話が凄く気に入って、似たような話を何回か個人的に書いています。

冒険と少年の成長、そして友情。これは永遠のテーマであり、ここをがっちりつかんでいるからこそ、力強くで普遍的な感情に訴えかける話になっているのだと思います。

 

高校生の時は冒険と死体の話にわくわくし、大学生の時は、違う人生を歩み始めてしまった友人のことを思い出し、社会人になると家族の葛藤に共感する。読むたびに新しい発見がある、まさに「不朽の名作」だと私は思っています。

…ちなみに、私の書いた冒険ものはこちら→https://ncode.syosetu.com/n2742ey/

ジャンプ小説新人賞(短編)で一次を通った作品です。それなりに評価をされているのはやはり、成長と友情と冒険は物語の王道ということなんでしょう。

同時に収録されている「マンハッタンの奇譚クラブ」は、不思議なクラブに招待された男の話。おどろおどろしいムードの中で展開される話は多少ありきたりですが、それよりも、奇譚クラブの建物のいわくありげな描写が妙に想像を刺激します。

後、恐怖の四季シリーズはタイトルの和訳がちょっと不思議。確かに「Body」を「死体」って訳してデカデカとタイトルにするのは難しいと思うけどさ……

 

⑭Oヘンリ短編集

O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)

O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)

 

友人「Oヘンリは短くていいよね?」

私「え? 誰それ」

という会話がきっかけで手に取った一作。短くてキレのある話を求めていた私に、この短編集はクリーンヒットしました。

飢えと寒さをしのぐために刑務所に戻るべく悪行を重ねるが、かえって人から感謝されてしまう男の話「警官と讃美歌」。貧しい夫婦が、クリスマスプレゼントを買うために、相手に内緒で自分の大切なものを売り払ってしまう「賢者の贈り物」など。短い話で意外なオチ方をする短編集。

それと、この作者の何よりもいいところは、人生に対する前向きな姿勢とユーモアに満ち溢れているところ。なんだか、人の感情を煽ったり逆なでしたりするコンテンツが多くなってきている気のする昨今、こういう話には心が洗われる気持ちになります。

 刑務所の中で書いたとは思えない前向きさです。

 

 

 ⑮夜のピクニック

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

 

 恩田陸の代表作。本屋大賞の受賞作品でもあります。

高校生がひたすらに長い距離を歩く「歩行祭」の話。恩田陸さんの母校にこういう行事があったみたいです。それと、早稲田大学のイベントにもこういうのがあるそう。そのあたりが発想の起点になった作品かなと思います。

主人公の甲田さんと西脇くん。二人は一見無関係に見えるけれど、どこかにているところもあり、友人からは恋人じゃないかと勘繰られる。二人の間にはある秘密があり、その秘密をめぐって、主人公の甲田さんは歩行祭にある賭けをする……

メインの二人の関係と、それを取り巻くサブエピソードが、歩行祭の進行と合わせてスムーズに展開されます。友情あり、恋愛あり、ホラーっぽい要素あり、若干ミステリありと、あらゆる要素を詰め込んだ名作の青春小説です。

主人公が歩く系の話は「死のロングウォーク」、後「スタンドバイミー」なんかもそうですね。皆で並んで一緒に歩く。その時、参加者たちは普段の目まぐるしい日常から離れて、自分や他人と向き合わざるを得なくなります。その時、今までの関係を見返したり、意外なことがわかったり、普段考えなかった将来の関係に思いをはせたりする。

「皆で並んで一緒に歩く。それだけのことが、どうしてこんなに特別なんだろう」

というキャッチフレーズだったか。確かにたったそれだけのことだけれども、それはある、日常から切り離された特殊な空間にいるのと同じことなのです。まさに、物語の舞台としてとてもいい設定なのだと思います。

皆で歩く系の話で一番有名な奴、それと後味も凄くいい。オススメ! と私は思います。

 

以上、思いつく限りざざざっと書いていきました。実は他にも紹介したいものがいくつかありまして、幻夜とか白夜行とかハリーポッターとかこころとか人間失格とか、いろいろありますが、また別の機会に紹介できたらと思います。

1万字弱を一気に書くのはしんどいです……

 

カラオケが苦手なあなたへ。歌いやすい/短い選曲集 (男性向け)

こんにちは、ミズノです。

 

職場の先輩とカラオケにいったのですが、深夜まで引っ張られすぎて完全にダウンしていました、

 

私もカラオケで歌うのがしんどいので、自分の順番は廻ってきたときにはいつも、何の曲を入れるか迷います。

私は常にこの三点をできる限り満たした曲を探して画面をタップし続けます。

 

その1 歌いやすい

「完全感覚Dreamer」や「ワタリドリ」なんて曲はもってのほか。最近の曲は、一般人に歌えない曲をわざと作りに行っているんじゃないかと思うほど、メロディも複雑で声が高いです。無理は止めましょう。スローテンポ、かつ地声に近い高さで歌える曲が一番です。

 

その2 短い

長い曲と言えば、ミスチルの「しるし」なんかが悪名高いです。7分もある……自分もしんどいし、後ろ待っている人からの早く終われオーラが半端ありません。何より桜井さんの声は誰にも出せません。(出せる人がいてビビったことあるけど)

一分くらいで終わる曲がいいと思います。

 

その3 歌詞がとがりすぎない

昨今のトレントは「一般大衆に受けるよりも、ごく一部の人に『刺さる』コンテンツ」が重要視されていますが、不特定多数の集まったカラオケでは致命傷になりえます。例えば、水樹奈々のエターナルブレイズなんか入れたら、ナニコレ? となること請け合いです。高橋優なんて入れた日には「……なんか悩みでもあるの?」と心配されることは間違いありません。

 

そういうわけで、三つの要件を満たす、いろいろな意味で攻めすぎない、完全なる守備を実現する最高の曲達、カラオケを華麗に受け流すマスターの私が紹介します。

 

福山雅治「虹」

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福山雅治の曲はどれもそうですが、あまり高音でもなく、スピードもゆっくりで歌いやすいです。ただし「家族になろうよ」や、「化身」など、男 福山雅治にしか歌うことの許されない曲も随所にあるのでご注意を。

その点、この曲はベストと言えるでしょう。ドラマ「ウォーターボーイズ」に採用された超有名曲。幅広い年代に親しまれ、多くの人にあの青春物語を想起させること間違いありません。時間は4分25秒。まあ標準的な長さと言えます。

「虹」という曲は死ぬほどたくさんあるので、間違った曲を選ばないように注意しましょう。

 

②曇天

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アニメ「銀魂」のオープンニングソングこの曲のいいところは、なんと

 

3分28秒! 短い!

 

そういう訳で、自分の歌う時間を1分減らすことが可能です。また、銀魂は、メディアミックスが非常に多くされている有名作であり、かなり多くの人に受け入れてもらえる曲と言えるでしょう。私は個人的にもこの曲は結構好きです。

 

③歩いて帰ろう

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これまた有名曲。きっと、ポンキッキーズを見ていない人間は、きっとこの日本にはほとんど存在しないでしょう。

誰もが共感できる「学校から歩いて帰る途中に見えた空と白い雲」に、皆自らの学生時代を重ねます。きっとあなたの歌声なんて聞こえていないでしょう。きっと彼らには、若かりしあの日の友との会話が脳裏でエンドレスリピートするに違いありません。

時間は4分。なかなかいい時間です。

 

④悲しみの果てに

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仕事を持つ男には百パーセント共感される、哀愁漂うエレカシの名曲。穢れのないまっすぐな歌詞は、世の中を斜に見た青少年以外のありとあらゆる年代の人の心に響くでしょう。

しかも! 滅茶苦茶短い! その時間、なんと

 

2分41秒!

 

歌い終えた後「え、もう終わり?」みたいな空気に、だいたいの場合なります。

 

ハッチポッチステーションOP

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ネタ曲です。

おそらく、子供を持つ親はなんだかんだで見たことあると思います。

意外と短い3分20秒。この曲を歌うと、時間が一瞬で過ぎたような気持ちになります。

 

⑥ひとりぼっちじゃない

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人の命とつながりを訴える普遍的な歌詞。幼いころの私にはわかりませんでしたが、今の私には若干その意味が割ります。

時間は4分20秒。かつてポケモントレーナだった人々の胸にじんと染みる曲です。

……なんだかネタ感が強くなってきました。

 

浪漫飛行

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誰にも文句を言わせない名曲。穏やかなトーンで愛しい人への気持ちを、空飛ぶ飛行機に託して歌い上げます。時間は4分。ありとあらゆる年代の人が納得する、全くとがらない普遍的なメッセージ性を持った曲です。

私は新卒採用の面接のとき

「カラオケの十八番は?」

と聞かれて

米米CLUBの『浪漫飛行』です」

と答え、面接官三人に爆笑されました。ちなみに今の会社です。

 

以上、攻めすぎない曲を七つ紹介しました。

私も、カラオケに行ったときはいつも選曲に迷いますので、その時にはこの記事を見て歌う曲を思い出そうと思います。

 

気が向いたらその②とか書くかもです。

【備忘録】塩田武士「歪んだ波紋」

こんばんは、ミズノです。

 

歪んだ波紋

歪んだ波紋

 

 

発売一週間でさっそく、重版がかかったようです。

 

グリコ・森永事件は未解決事件として広く有名になりましたが、私もその顛末に興味を抱き、ネット記事を読みあさったものです。怖い怖いと思いながらも記事を追い、「結局未解決かよ!」と一人心の内で叫んだのを覚えています。

 

「罪の声」が出版された時、ああ、こいつを題材にする人が出てきたか‼ と、しかも、「元新聞記者」が小説にし、しかもその人が「関西で記者をやっていた人」と聞いた時には、この本は出版されるべきして出版されたんだなと強く感じたものです。

 

私は楽しみを後に残しておく口でして、実は「罪の声」は未読です。(テーラーの男の人がどうのこうの、みたいな前書きだけはちょっと読んだのですが……)その代わり、「騙し絵の牙」は読了しています。こちらは、出版業界の熱いバトルを描いた意欲作で、大泉洋を主人公としてあてがきした作品です。試みも題材も非常に面白く、ストーリーの意外性もあって非常に考えられた作品でした。

 

この作者の本は、今作も含め二作しか読めていませんが、今、まさにイケイケともいうべき人と思っていま。近く、直木賞の候補にもなりそうな予感。

 

今回はその最新作、「歪んだ波紋」について、思ったことをつらつらとメモしておこうと思います。本の紹介というよりも備忘録なのでご了承ください。

 

①作者の筆の乗りっぷりが半端ない

メインの題材はニュースの「誤報」と「虚報」です。新聞記者と言えど人間であり、また新聞やテレビニュース業界も、出来事をまとめて対価としてのお金を得ています。トクダネが出れば売り上げは増え、そうでなければ出ない。発行部数が落ち、会社が成り立たなくなる可能性もある。

それなら、ネタを作ってしまえばいい――そういう人災が起きてしまう怖さが、自分が当事者になったかのように、作者の目線を通してフィクションとして体験することができます。

元記者が記者を主人公にして書くというのは、かなり勇気のいることと思います。

が、躊躇いをみせず、自分の元居た組織の闇を正面から描く姿勢にはただ感嘆するばかりです。

前作の「騙し絵の牙」でも、出版業界の人間関係がしっかりと書き込まれておりましたが、本作ではそれがますます顕著です。「職場の人に読ませたら突っ込まれる」みたいなことを作者は何かのインタビューで答えていましたが、ううむ、何も知らない読者からしたら、なかなか新しい視点が得られていいなと私は思います。

 

 

②ミステリといいつつミステリは薄め

ミステリと言えばトリック+解決というのが明示されるのが鉄則ですが、そこまで謎とその解決には主眼が置かれていません。確かに意表を突く展開もあるのですが、ミステリとしてはどうだろう? というイメージを受けます。疑問に思ったことをいろいろ調べていくスタイル、宮部みゆきの「火車」みたいな感じです。

こういうのを社会派ミステリーと言うのだろうか。

 

③登場人物多すぎ問題

やはり社会問題を取り扱った小説は、たくさんの人がかかわり複雑な利害関係をなします……誰がどういう目的で行動しているのか、時々見失いそうになることがあります。

この小説はある意味「誤報」が主人公なので、誰か一人にスポットを当てる構成になっていないのが、今まで読んだフィクションとは色合いが異なるのかなと思います。実は私、そういう構成の話が若干苦手なのかもしれません。

模倣犯」なんかも読むのが大変だったなあ……高校生の時だったか

この本を読んでいると、なぜかものすごく宮部みゆきの小説を思い出します。 

 

④いろいろ書きましたが、まさに「大人の」小説です。

私はこれまで、十代二十代の出てくる青臭い小説やら、ファンタジーやホラーといった地に足のつかない(……失礼?)話ばかり読んできましたが、この本に出てくるのはみな、深い人生経験を積み、立派な大人としてプライドを持って仕事をしている人ばかりです。大人の色気とはこういうことか……と、なんだか新しい地平が開けた感じがしました。

同じことを池井戸潤さんの「下町ロケット」でも感じが記憶があります。あの小説に出てくるオジサンたちも、凄いかっこよかったなあ……

 

◎まとめ

私は会社に配属されて三年目。記者だったら先輩に言われてサツ周りをしている年代でしょうか? 新聞やメディア関係者には、なかなかなろうと思ってなれるものでもないのですが、この本を通じて、まるで自分が新聞社に配属され、そこでの仕事を体験できたような気持ちになれます。この小説は、もちろんヒューマンものであり、工夫を凝らした仕掛けがあり、大人の魅力を描くものであり、お仕事小説でもあり、ちょっとミステリでもあります。いろいろな魅力がぎゅっと凝縮された作品です。

作者の主張の本筋は「真実を伝えるはずのメディアが意図的に誤報を流す」ことの怖さにあると思いますが、なかなかその怖さが伝わらないのがもどかしい限り。本を読んでそれは強く感じたんですけれど、それを記事でさらに誰かに伝えることの難しさ……やはり本職の作家の人は違います……

 

【抱っこもできる】宮城県「キツネ村」で、最高のモフモフを堪能してきたよ!

こんばんは、ミズノです。

 

友人から話を聞いてずっと行きたいと思っていた「キツネ村」に行ってきました。

交通手段は自家用車。

 

浜松⇔宮城の約700kmを10時間(仮眠除く) で走破しました。

なかなかハードな旅でしたがいろいろ気づいたことがあったのと、帰りは物足りなくて栃木の日光に寄りましたので、そのあたりで一つずつ何か書こうと思います。

 

今回はキツネ村、檻の中の様子をメインに紹介します。

 

①キツネ村のキツネたちはだいたい寝てる

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地面にごろんとなったまま身動きしないやつらが結構います。朝早かったからでしょうか?

 

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人を恐れない……普通に通路で寝てる。

 

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こいつに関しては踏みそうになりました。それでも起きません。

 

②給餌場所ではやる気を出す

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餌を巻いてやるとわらわら集まってきます。

 

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餌を求めるこの表情。

 

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餌をまいてやらないと明らかにがっかりされます。

 

③稲荷神社がある

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場内にはこんなものも。 

 

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良く探せばこんなところにも……寝てるし。

 

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エキノコックスについての解説。

園内ではきちんと対策されているようですが、野生のキツネにはやはり触れないほうがいいようです。

 

④ケージの中で飼われているキツネもいる

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カゴの中に入れられている動物を見ると、やはり人間のエゴといいますか、そういうものについても考えさせられます。

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いい笑顔……いやいや眠かっただけかもしれない。

 

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こんなのも。怒っているように見えますがあくびした瞬間を撮ったものです。

 

以上!!

 

思う存分モフモフを満喫できる最高の空間でした。

ただし、放し飼いのキツネは噛んだり服を破ったりするそうなので、勝手にモフモフすることはできません。キツネの抱っこイベントがあるそうなので、そっちを申し込めば触れるとのこと。子供たち大歓喜のイベントですね。

 

なかなか普段足を踏み入れない場所ですが、世界でも珍しいキツネの飼育所ということで、ぜひぜひ訪れてはいかがでしょう。

 

 

PS 実はキツネ以外にもいろいろ飼ってたりする。

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【R18】最高のエロ漫画家は誰だ?

※以下、R18漫画をひたすら紹介した文章になります。画像はすべて全年齢指定のものであり、記事的にもそうですが、苦手な方や内容が不適切な方は別の記事をお読みください。

 ↓これとか

youmizuno.hatenablog.com

 

 

 

こんばんは、水野です。

 

当初は「私の考える最高のエンタメ小説家」を書こうとした。けれどあまり面白くなさそうだったので趣旨替えして「私の気に入った、おすすめR18漫画家」をひたすら羅列していこうと思う。

 

近年のエロ漫画はただ過激なシーンを羅列するだけにとどまらず、人物の性格/背景/シチュエーション/ストーリー構成まで、一般漫画の短編に引けを取らない出来のものが多くある。話を考え、絵を書き、読者を最高に興奮させる……そんな尊い職業の方々はあまり表で目立つことはないが……きっとそれ相応の収入を得、さらなる創作の原資としているであろう。

 

さて、前置きは長くなったが、以下に、私の備忘録を含め気に入ったエロ漫画家をひたすら列挙していいく。私の性癖はできる限り推測されないように選定するのが書き手と読み手双方にとっての幸福と思い、最善は尽くすつもりだが、少々の粗相はご容赦願いたい。

 

①あゆま紗由 

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「純愛いちゃラブ」という言葉ががっつりはまるこの作家は、大きくてきれいな瞳をし、可愛らしく、自分の感情を相手に一生懸命に伝えようとする純粋な女の子が多く登場させるのが特徴。小動物みたいに保護されるばかりかに見えたおとなしい女の子が、二人きりになったとたんに、恥じらいながらも獣のごとく相手を求めてくる。

いかにも漫画!という感じの顔やキャラ造形ながら、体の曲線やラインは怖いくらいになまめかしく、純粋な気持ちや子供っぽい考え方をしている癖に、大人なんて目ではない体をしている……現実の女を知らない男の妄想をまるまる具現化したかのような女の子が、これまた男の妄想を具現化したようないちゃいちゃらぶらぶストーリーが展開する。

従順な妹が、文字通り犬のように主人公の兄に甘え、その理性を吹き飛ばして快楽に身をゆだねさせてしまう「忠犬はちこ」が有名だろう。ネット界隈でも時々見かける。

短編漫画を集めた「純愛まにあっく」は、ひたすらにいちゃラブが繰り広げられる稀有な単行本。URLを張りたかったが、削除されてしまう可能性があるので載せられなかった

……著者は超然のことながらラノベのイラストも多く手掛けている。そちらも可愛いけれど、やはりR18指定のかかったイラストでの、肌色だらけの少女の破壊力がえげつない。

きっと幼いうちに読んだら異常性癖を身に着けてしまうだろう。

 

②Hamao  

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 画像はラノベの挿絵だが、がっつりエロ漫画雑誌にも話を載せている作家である。作品点数も非常に多く、この業界ではおそらくかなり経歴の長い作者だ(…間違ってたらごめんなさい)

あゆま紗由は「素直で可愛い女の子」を、素直で可愛い感じに漫画的なデフォルメを繰り返して、理想的な虚像を作り出した。萌えとエロを入れ込んだ、まさに「作り話」だった。だが、Hamaoの作風はそれとは真逆だ。登場人物は皆、各々のエゴや葛藤を抱えており、時にはお互いの利害が絡み合い激しくぶつかり合う。人物の感情の動きはリアルさを感じさせ、まるで実際の性行為はこんな風に展開しているんじゃないかと錯覚されるほどである。

リアルな人物造形、心の揺れ動き、葛藤、それでも、最後には性的な快楽にすべてをゆだねてしまう。純愛な話も、背徳的な話も幅広く書ける。その活躍はエロ漫画家を超え、ており、もはや一流のストーリーテラーと呼んで差支えないだろう。私はあえて、エロ漫画界の宮部みゆきと(著者はたぶん女の人だと思うのだがよく知らない)と言いたい。異論は認めよう。

最初は嫌がっていた女の子が、あれよあれよと主人公の口車に乗せられて、最後は身も心も主人公にゆだねてしまう「TIny Heart」や「Love me tender」、お隣の女子大生の寝込みを襲おうとしたら、お金を取られた上で逆襲されてしまう「リリス」など、お気に入りはあげればキリがない。

さっそく読み返したい気分になってきているが、ぐっと抑えて先に進みたい。

 

③藤丸

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……画像が見つからなかった。

 

エロ漫画家のトリックスターだ。

登場人物は、一風変わった考え方やこだわりを持っている。どうしてこんなことを思いついたんだという気分になるような、日常とは少しずれた奇抜な世界で物語が展開する。皮肉の効いた設定や、登場人物がボケとツッコミを繰り返すなど、ところどろこ笑える要素も入れてくる。有名なのは、売れっ子ミュージシャンの性生活を充実させてさらなる高みを彼に目指してもらおうとする、ちょっと変わった芸能マネージャーが主人公の「Life is a battle Field」だろう。ちょっと変わった設定、変わった登場人物たち、最後には、ちょっとだけ幸せなエンディングが待っている。独自の世界観で一風変わったストーリーを展開する作家だ。

なぜか着ぐるみ熊(♀)に食べられ、着ぐるみの中で命が果てるまで冒され続けてしまう「グリズリー」、帰省のたびに一日行為を求めてくる可愛い女の子をひたすら相手にし、後半ページの肌色割合がとんでもない「帰省サバイバル」などの短編がある。

トリッキーな設定を思いつき、つい引き込まれるストーリーを描くことができ、そして登場する女の子たちは例外なく可愛い。神はこの作家に、いったいいくつの祝福を与えたのかと感嘆せずにいられない。

 

クジラックス

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また見つからなかった……

エロ漫画界の問題児ともいうべき人だ。

死ぬほど有名になった「ろりともだち。」に代表されるように、作中には小学生ほどの無垢な女の子が容赦なく、気持ちの悪い大人の玩具にされる。読んでいてえげつかいほど気分が悪くなる。女の子の苦痛や気持ちなんて一切無視して、大人の男がひたすら自分の快楽のみを求める構図に嫌悪感を覚えない人はいないだろう。だが、その男と自分には、どの程度かはわからないが共感する部分もあり、それがこの話をさらに後味の悪いものにする。

容赦ないエロシーンは、マイナスを振り切っていっそ芸術的と言えるほどだ。

……あまり読み返したい話を書く方ではないが、そういう話を書き続けるメンタルを保ち続けてる人がいるという事実に自分は驚愕している。

 

 ⑤へんりいだ

幼くて可愛らしい絵柄と思わせて、ハードな行為をこれでもかとばかり描く作家。「ロリビッチ」を描かせたらこの人の右に出る者はいない。

上記リンクはライトノベルの表紙だが、ここから漂う不穏な感じはなんだろうか?

この作者の描くヒロインは皆幼く、そのくせに大の大人以上に性への知識と経験を持ち、大人の男をやすやすと手玉に取って見せる。あまりにも衝撃的過ぎるキャラ造形は、そのカラフルで可愛らしい絵柄の想像を容赦なく打ち砕くだろう。

単行本「おんなのこぱーてぃ」は、その柔らかい響きとは裏腹にハードなエロ描写が延々と続くとんでもない短編集である。一編読めばもう三日はいいか……と思わせる濃厚な描写が恐ろしい。

背徳的な快楽と闇。この作者の描くカラフルなイラストの裏には、どろどろした黒い何かが隠れ潜んでいるように思えてならない。

この漫画が癖になってしまうとしばらくは抜け出せないだろう。

 

以上、駆け足で五人の作家を紹介した。「緑のルーペ」なんかもいいけれど、記事が思いのほか長くなってしまったのと、私がしんどくなってきたので以上とする。

私はまだこのジャンルに関しては未熟であるが、新参も玄人も含め、より幅広くの知見を得たいと思う次第だ。皆様のご意見ご感想、「こんなんじゃ全然最高の漫画家なんて見つかんねーぞ!」と思われる方は、ぜひともいろいろ私にご教授いただきたく。

内定を取るために必要なものと、恋人を得るために必要なものはかなり似ている その①

当時就活生だった私は、先輩からこんなことを聞いた。

「就活と結婚は同じだ。お互いに運命の相手を見つけるためのものだ」

と。

 

なるほど当時の先輩には、好きで好きでたまらない彼女がおり、なかなか好待遇な会社にさくっと就職を決めてしまったようだから、きっと「運命」みたいなふわっとした言葉が出てきたんだと思う。

 

かたや自分は非常に苦労した。ESを出しては落ち、一次面接をしては落ち、二次面接をしては落ち、その間、企業研究とは? 自己分析とは? 就活とは? みたいな哲学的な問いを何度も問いかけたけれど、いろいろあった末に表題のような結論に達した。

そういうわけで、自分の考えたことをざざっとまとめてみようと思う。

 

◆一般的な就活の流れ

ES提出 → 一次面接 → 二次面接 ……n次面接 → 最終面接 → 内定

会社に就職することはこういうプロセスを踏むことだ!というのが、一企業によってほとんど決められてしまっていることに多少の不満はあるけれど、一番スタンダードだし多くの人がこういう就職の仕方をするだろうから、ひとまずこいつを就活のプロセスとしようと思う。

それぞれ → で結ぶところはある確率で進めたり進めなかったりする。

 

◆一般的な恋人獲得の流れ

相互認知 →デート1 → デート2 ……デートn → 告白(無い場合もある) → 性干渉

これも → のところで、次に進めたり進めなかったりする(。

 

男「今日はありがとう! 楽しかった。今度の○○日に××はどうかな?」

女「ごめんなさい、その日は△△で難しいです。時間ができたらこちらから連絡しますね」

→ 連絡しない

みたいなやつです。

 

最終ゴールを「恋愛成就」にしても良かったけれど、恋が成就したか否かというのはなんともいいがたい。ステップで区切ることができない人の気持ちのソフトな変化の、どこでどう区切るべきか?

「告白」のイエスノーを最終ゴールに置くと気持ちがいいけれど、自分は告白の前後で何かが劇的に変わったようには思えない。少年漫画の恋愛物のピークは常に告白シーンだったけれど、高校生の頃の私は「付き合うって何がどう変わるの?」とかずっと思っていた。

「結婚」をゴールにすることも考えたけれど、途中で「同棲」とかいろいろ複雑なあれこれが絡んでくるので、恋人の獲得とはまた別の次元の話なのかもと思う。結婚は手に入れるものというよりも、「何を人生の中で一番にするか」を世間に公表し誓う儀式なのだと思う。

そして誓いを破ると制裁を受ける。

 

で、恋人獲得のゴールをどこにするかという話に戻る。

男子高校生的な発想だし人によっては不快に思う方もいるかもしれないが、お互いに対する認識ががらっと変わるのは、やっぱり性交渉の前後だろう。就活にしたって内定はたくさん得られるし(御社が第一志望です!)、たくさんの人と性交渉することだってできる(お前のことが一番好きだ!)。なので、話を進めるにはこう簡略化するのが一番いいかなと思う。それに、多くの人が関心を持つのはここの部分だ。

 

この記事の中では、

 

就活で成功すること → 望みの企業から 入社意思を受け入れて もらうこと

恋活で成功すること → 望みの相手から 性交渉を受け入れて もらうこと

 

という意味合いでいろんな話を進めていく。

(※注釈 人によっていろいろな考え方があります)

 

長くなったので続きは今度書きます。