狐の嫁入り

小説創作ブログ! のつもりでしたが、なんかだいぶ違う気がします……

【祝】一カ月で月間1000PVを達成しました!

こんばんは。ミズノです。

 

ブログを始めて約1カ月(わりとガチで書き始めてから)で、月間1000PVを突破しました!
自分の才能が恐ろしくなりますね……

 

私はフィクション大好きな人がいっぱい来るブログにしたいなあと思っているのですが、そのためにはまずたくさんの人に見てもらう必要があると思っています。それと、多くの人に見てもらう施策をいろいろ考えるのが面白いというのもあって、ひとまずはPVを増やす! というのを目標に置いています。ただ、目標を決めると達成できなかったときにつらいので数値目標は置きません(これが社会人のメンタルだ!)。

ひとまず、1月100PVでこつこつやって、数年がかりでちょっとずつ増やそうかなあ……と思っていました。

が、先週末に驚異的な出来事が起きました。


なにこれ……

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いきなり1日のアクセス数が100倍になった。

 

流入元を確認するとTwitter。さっそくアクセスのあった記事タイトルで検索してみる。そのタイトルはこれ。
「最高のエロ漫画家は誰だ」
やっぱり人を動かすのはエロなんだね……

 

さっそく見つかった。

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リンクもらえると嬉しい……それにしてもヌマクロー? 早速フォローして様子をみせてもらう。
ヌマクローさんはフォロワー数100人。ヌマクローさんのフォロワーが皆、10回ずつエロ記事を見に来てくれているというのか……? そんなことが、起こりうるのか……?
私はいったんここで調査を打ち切りました。それ以外にtwitterでは引っかからなかったからです。私はもやもやした思いを抱えたまま、それが原因だと自分を納得させました。

 

が、ふっと別の検索の仕方を思いつく。
Google「最高のエロ漫画家は誰だ? Twitter」で検索

あ、

あったあああああ

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中身をみると、

あゆま紗由さん本人がツイートしてくれてました……! いいね68、リツイート数19のツイート……やっとわかりました。この一発のツイートが、私の今までのPV数をすべて凌駕した数字を叩きだしていたんですね……有名同人作家さん、凄すぎ。あとTwitterの絵やっぱり可愛いすぎてやばい……

 

ブログ開設1日目も、シロクマ先生にツイートしてもらって+200くらいしていましたが、今回もまたまたラッキーパンチだったようです。なんというか、自分の知らないところに、もの凄い影響力を持っている人がいるということが、ブログを始めてからわかってきています。凄い世界だ。武者震いが止まらねえぜ……


PV数は今なお微増し続け。Twitterからの流入数が圧倒的になり、ほかのアクセス元の記録をすべて消し去ってしまいました。

なにこれ

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アクセス元ページ0%って何……?

つまりこれ

「お前の今まで書いた記事なんて無も等しいぜ?」

 ってそういうこと?

 

ええええええ。 

 

これ、私の実力と違う……虎の威を偶然にもかってしまったキツネ状態です。喜んでいいのか結構微妙なライン。自分の才能の恐ろしさではなく、この界隈にいる巨大な力の存在を身をもって知った、そんな珍しい経験でした。

 

おそらく、↑のツイートが古くなれば、アクセス数は元の数値に戻るでしょう。それがいつになるのかはちょっと予想できませんが、その減衰の様子もそのうち記事に残そうかなと思います。

あゆま紗由さんパワーがなくなった後も、50PV/日を維持する! そこが今の目標になるのかなと思っています。

 

調子に乗らず頑張るぞっ、という記事でした。ではまた!

『「私が笑ったら、死にますから」と、水品さんは言ったんだ。』を読んだ私は「君は自分の幸せを率直に表現してもいい優しい人間だ!」と叫びたくなった

こんにちは。

 

月曜有給で土日を延長しました。ミズノです。

 作者がめちゃくちゃ宣伝していたから、買った。SNSはいい。これからデビューする作家さんと直接やりとりができ、今後どうなっていくかもリアルタイムで知ることができる。

 

 ※本ページはネタバレ含みます。

 

こんな話

表紙から推察される通り、ラノベチックの軽い文体でさくさく読めるライトミステリ。同級生の美少女(お約束!)に妙な仕事を依頼された主人公が4つの謎に挑む。
「電車に乗るお仕事」「道を聞くお仕事」「道端でめっちゃ騒いで道行く人の注目を集めるお仕事」を依頼された主人公が「なんでこんなことする必要があるの?」という理由を探し求める3編。それに加え、本編全体を通じて語られる「なぜ水品さんは笑わないのか」の謎を核として話が展開する。
4つめの謎「なぜ水品さんは笑わないのか?」は、作者の主張と直接結びついている。おそらく作者は、4つめの謎を終着点として考える構想を最初に立てて、それから前3編の謎を考えていったのかなと思う。それとも、話を落とすために頑張って4つめの謎を思いついたのか……それは作者のみ知るところだ。本人に聞いたら教えてくれるだろうか?

難しい表現もなくサクサク読め、アニメチックなキャラクターの掛け合いがなかなか楽しい。肩の力を抜いて楽しめる良作だと私は思っている。ただ、わりかし小難しい本をたくさん読む「自称読書ガチ勢」にはちょっと物足りないかもしれない。ちなみに私は、作者のTwitterアカウントと合わせてある意味一つの作品だと思っている節がある。感想を伝えたら、作者から直接反応が返ってくる……しかも本は滅茶苦茶読みやすく、一周もすれば人物と話の筋はきちんと頭に収まる。時間のない現代人の一人として、こんなふうに、小説は短くわかりやすくあってくれたほうが私は嬉しいのだが、どうなんだろうか。
と、本作、現代ならではのテーマを取り扱った部分に目新しさがある。ライトな謎と楽しいキャラクターでサクサク読ませる。そして、作者に感想を伝えるとそれがぱっと返ってくる(かもしれない)。そういう「とてもフットワークの軽い」作品だ。

 

作品テーマについて思うこと

全く違う話になってしまうが、インターネットが十分にいきわたった昨今、作者と作品を全く別物として切り離して考えることはもう難しいのかな……ということをこの作品を通じて強く感じた。電子書籍が普及してアナログ的な商品が淘汰される一方、作者と読者とのつながり自体が、本を出すうえでの付加価値になっていくような気が、私はしている。アマゾンは本を活字データとしてしか取り扱わない。けれど書店に行けば著者と会える、出版をまとめた編集者と、そして売った人と会える。もしかしたらサイン会なんてやってたりするかもしれない。リアル書店の付加価値はそのあたりについていくんじゃなかろうか。

さて、本書の主題であるSNSと人間、についてだが、私としては共感するところがあった。私はこの話を読んで「有名人の幸せアピール」と「それを全力で叩こうとする一般市民」の図が頭に浮かんだ。この小説に登場するのは、そのどちらにも当てはまらない人間だ。
インターネットの世界では、人の心に寄り添える本当に優しい人は自分を表現しなくなる、ように私は感じている。その代わり、過激な表現で人々を煽る悪い人たちと、それを躍起になって潰そうとする人たちの戦いが常にどこかで勃発している。結局、自分のことしか考えられない人の声の大きな発言ばかりが後に残る。
「嫌なインターネットだ」
と、ログを見返して思ってしまうのは仕方がないと思う。成功者のノブレスオブリージュも、一般大衆のヒーローへの敬意も、そこには欠けている。どっちが先に攻撃を仕掛けたのかは謎だけれど、そういうのを見ていると、余計なことは言わないほうが吉だと思ってしまうじゃないか。
ちなみに私の好きな研究者「落合陽一」はそういったクソリプは全力で叩き潰すべきと主張している。「とりあえずぶっ潰せ!」的な主張はトランプ大統領も言ってた気がする。自分の利益のために全力で他人をぶったたけ! という風潮は、個人主義的な考え方が一般的になった昨今、ある意味正しいのかもしれないが、なんだかどうしても違和感を覚えてしまう……人はもっと、人に優しくなれないものだろうか?

たとえ見ず知らずでもあってもさ。主義主張はいろいろあるけど、結局は感情を害されてしまう人が一人でも少ない選択をするべきじゃないかと、私は思うんですよ。
と、この本に出てくる登場人物にはそういう過激な人物はいなくて、皆、「心優しいサイレントマイノリティ」といった人たち。SNS炎上をニュースで見る度に、私が心のどこかで思いを馳せていた人たちを具現化したみたいなキャラクター。だから共感できたのかもしれない。
そして本作のメインキャラ「水品さん」本人はその最たる人だ。ラノベチックな性格造形とともに、そういう人たちを代表できる存在として描かれているのが「水品さん」だとわたしは思っている。
彼女は、どこか遠くにいる誰かの痛みに思いを馳せられ、そしてその悪意の怖さを誰よりも知っているからこそ「笑わない」のだ。
けれど彼女は、それこそ平成最後のジャンヌダルクのごとく、爆弾を抱えてその悪意に特攻しようとする。日常の謎の連作かと思ったけれど、最後のテーマにはネットでつながった社会ならではの問題に触れている。SNSと切っても切り離せない関係を持ってしまった私たちなら、作者の思いにはきっと共感できるだろう。
最後まで読み終わった私は思う、自分を表現していいのは、他者の痛みに思いを馳せられる人だけだ、もしも私が「自分を思い切り表現していい資格」の認定を担当できるならば、「水品さん」のような人には、永久に更新不要でその資格を付与したい。そして私はこう言うだろう。

「君は自分の幸せを率直に表現していい優しい人間だ!」

と。完全にヤバい人である。


その私自身が、それだけの資格を持つ資格があるのかという疑問には今回はノータッチでお願いしたい。

 

この作品が受賞作として選ばれた理由は、その主張に編集者の方が目を付けたからかなと私は思っている。それと、若者向けのライト文芸がたくさんの読者に読まれていること。Twitterの読書垢を眺めていると、メディアワークス文庫とアニメ柄の表紙が意外と多くてびっくりした。と、いうか私がフォローしている人は皆学生なのかな……? 確かに、読書は時間をめっちゃ食べる趣味だから、学生のうちが一番読めるけれど。


まとめ

読みやすいライトミステリ、楽しいキャラクター達に、SNSと人間の問題に触れ共感を呼ぶテーマ、そして作者のお人柄……まさに、今の時代にはこういう本が出るのか! ということが凄くよくわかる作品。
著者のツイッターと一緒にどうぞ。

【小説】最高のエンタメ作家は誰だ?

はじめに

 なぜかエロ記事ばかりが読まれるようになってしまった弊ブログですが、本来目指すべきは硬派読書ブログです。

と、いうことで、なんとか方向転換を目指すべく、今回は最高のエンタメ作家を私の独断と偏見でご紹介。

 

私の思う最高の小説も厳選しましたので、こちらもどうか……!

youmizuno.hatenablog.com

 

目次

 

宮部みゆき

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日本の国民作家で誰? ともしも聞かれたら、私は迷わず「宮部みゆき!」と答えます。デビュー作はミステリ短編集「我らが隣人の犯罪」こちらも私の大好物な「キレッキレで無駄のない、最高に構成された」短編集です。

宮部みゆきの凄いところは何かというと、「なんでも書ける」ところです。もう一度言います、「なんでも書ける」んです。

短編ミステリでデビューし、その後は歴史短編を出し、SF、ファンタジー、社会派ミステリーと多ジャンルにわたり活躍。歴史の短編小説を出し、社会派ミステリ長編を出したと思ったら、人を殴り殺せんるんじゃないかと思うくらいの分厚さの「超長編異世界冒険譚」を書いたりする。何かの解説で書かれていましたが、宮部みゆきはまさに

「希代のストーリーテラー

の名にふさわしい人物と思います。

人がひどい殺されたかたをする話も結構書いてるので、「この人ヤバい人かな?」と私は思っていたのですが「ダヴィンチ」の雑誌で始めて宮部先生を見た時にはほっこりしました。私は、この赤い縁の眼鏡をかけてるバージョンが好きです。

ちなみに何かの記事では、日銀の黒田総裁と対談なんかしてました……私はその事実を知って、宮部みゆき=国民作家の図は揺らがないと確信しています。

 

おすすめは、軽いところで「ステップファザーステップ」「我らが隣人の犯罪」、中級編に「龍は眠る」「名もなき毒」、くっそ長くて重いのなら「模倣犯」「ブレイブストーリー」あたりでしょうか? ちなみにこのリストも結構古くて、今でも、続々と宮部みゆきの新刊は発行され続けています……私、実は追い切れていません。

 

恩田陸

「恩田陸」の画像検索結果

この人抜きには近年の小説界は語れません。

「蜜蜂と遠来」は単行本の時点で50万部を売り上げ、過去に例をない「本屋大賞」と「直木賞」の同時受賞という偉業を打ち立てた文句のつけようもない傑作です。

また、私の殿堂入りの一冊「夜のピクニック」でも、10年以上前に本屋大賞を受賞しています。文学賞の受賞歴多数、映像化多数、長編から短編、ジャンルも幅広く、長いキャリアと信頼を積み上げてきた近年最も有名な小説家でしょう。

高校生の時に呼んだ「遠野物語」が微妙だったので私はあまりいい印象を持っていませんでしたが……近年の恩田陸フィーバーを見て、このリストに加えないことは不可能だと判断しました。

直近だと、「蜜蜂と遠来」は映画化。スピンオフ作品の「祝祭と予感」も発売されました。まだまだ、「蜜蜂と遠来」フィーバーは続きそうです。

私としましては、宮部みゆき恩田陸が二強です(何の?)

祝祭と予感

祝祭と予感

 

 

 

米澤穂信

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あまり普段本を読まない人に「おすすめのミステリー教えて!」と言われたら、私は迷いなくこの人の著作の中から選ぶと思います。平成年代の「人の死なない日常の謎」というジャンルを国内に広める一番大きな原動力になったのはきっとこの人。米澤穂信です。

デビュー作は、アニメにもなった「氷菓」で、角川学園小説大賞を獲得。2001年。「氷菓」シリーズは、主人公奉太郎の冷めた一人称で進むミステリ青春群像です。

涼宮ハルヒシリーズのキョンと近い雰囲気を感じる語りが印象的。「氷菓」シリーズがアニメになったのは2012年、「涼宮ハルヒ」シリーズがアニメになったのは「2006年」、制作は両方とも京都アニメーション

涼宮ハルヒ」シリーズの爆発的ヒットにより、10年代ラノベやアニメにはSF、変な部活もの、タイムトラベル物が増えました。もし、

「2006年に氷菓が先にアニメになっていたら、その後のアニメ界の主要な題材は日常の謎がスタンダードになり、日本ミステリ会にもとんでもない影響を与え、ライトミステリ全盛の時代が到来していたんじゃなかろうか?」

みたいなことを夢想します。

長編もいろいろ出していますが、私は短編のほうが好きです。「遠回りする雛」の中の「心当たりのあるものは」が私の中では一番です。

すでに人気作家となった米澤穂信ですが、後一歩で直木賞にも届かんとしています。

 

(抜粋はウィキペディアより)

 

受賞歴を重ねて作家としてぐんぐんキャリア(?)アップしています。おそらく直木賞を受賞した際には、とんでもない「氷菓」フィーバーが始まるだろう期待にわくわくが止まりません。

氷菓」の話ばかりしてきましたが、この人の面白いところはやはり「切れのあるミステリ短編」だと私は思っています(そればっかり言ってる……)

そういうわけで私的には、「儚い羊たちの祝宴」「満願」「真実の十メートル手前」「遠回りする雛」「春季限定苺タルト事件」あたりがおすすめです(※18/9/14更新)

 

乙一

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16歳の時「夏と花火と私の死体」で異例のデビューを飾った、誰もが認める天才作家、乙一です。

シンプルで読みやすい文体と、何よりもキレのある短編を描かせたら右に出る者のない作家。その作風も幅広く、切なさを基調とした「白乙一」と残酷さや驚きを追求した「黒乙一」などに分類されます。私はどっちも好きです。

なお、いつからか複数の筆名を使い分けており「もしかして乙一断筆した……?」と不安になったファンは多いはず。と、いうか私がそうです。

私のおすすめは、「失はれる物語」「GOTH」「吉祥寺の朝比奈くん」あたり。

筆名を使い分けている理由は私にはちょっと推察できませんが、なかなか難しい考え方をされる方なのかもしれません。作家というのは、いつの時代もそうなのかもしれませんが。

 

スティーブン・キング

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最高のエンタメ作家、というからには絶対に外すことのできないこの人。「モダンホラーの帝王」と呼ばれる、まさに、「世界最高のエンタメ作家」と呼んで差し支えない人物。本職はホラー作家なのですが、有名な作品はホラーから外れたものが多いという、微妙に不遇な方。ちなみに私も、キング作品はホラーテイストのものよりもちょっと不思議系の話のほうが好きです。

一番有名なのはアカデミー賞を受賞した「ショーシャンクの空」でしょう。このブログでも幾度となく紹介していますね。

もうひとつ、日本の作家はこの人の影響を多分に受けています。小野不由美の「屍鬼」は「呪われた町」、や宮部みゆきの「クロスファイア」は「ファイアースターター」、恩田陸の「夜のピクニック」は「ウォーキング・デッド(もしかしたらこれは違うかも……)」の構成や設定をそのまま流用、もしくは換骨脱退しています。「スティーブンキングのような小説が書きたい」とインタビューで答える作家は非常に多いです。確か綿矢りさの好きな作家でもあったような(wikipedia参照)。

そういうわけで、日本のちょっと不思議で怖い話を見れば、多かれ少なかれこの人のエキスが入っていると考えて間違いない。その源にいる作家、それがスティーブン・キングです。

長編小説が多いのと、短編はアイデアは面白いですがちょっと読みにくかったりするので、中編くらいのあまり長くないやつから入るのがおすすめです。と、いうわけでまずは超名作「スタンド・バイ・ミー」から入って「ゴールデンボーイ」を読むのが安定ではないでしょうか? その後は、「IT」やら「シャイニング」やらのホラー路線に行ってもいいし「グリーンマイル」やら「ダークゾーン」やらのちょっと不思議系に行ってもいいし、「ダークタワー」みたいな超長編小説の世界に入っていってもいいでしょう。

日々新しい小説家は誕生し続けていますが、この人を読んでおけばだいたい間違いありません。まずは、「ゴールデンボーイ」の中に収録されている「刑務所のリタ・ヘイワーズ」から読みましょう!

ちなみにこの人ではありません 

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J・K・ローリング

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最高の小説家の話をするなら、絶対に外してはいけない人「J・K・ローリング」。離婚や生活保護を経験しならがも執筆をつづけ、一度出版を断われた後に別の機会を捕まえて、またたくまに「世界で最も有名な小説」になった「ハリーポッターシリーズ」の著者。私も、小学生くらいの時には、ハリーの冒険に胸を躍らせました。

ハリーポッターシリーズの凄いところは「魔法界」という存在が、架空の存在とは思えないくらい、想像力ゆたかに、まるで本当に存在しているんじゃないかと思えるような筆致で描写されていくところです。この人の頭の中はいったいどうなっているんでしょうか? 百味ビーンズ、ダイアゴン横丁、9と3/4番線、クディッチ……めぐるめく奇想に、幼い日の私は虜になりました。

ハリーポッターが有名だから取り上げたけど本人のことをあまり知らないというあれ……

 

エドガー・アラン・ポー

推理小説の始祖。あらゆるジャンルの出発点……

実は昔の記事に書きました

youmizuno.hatenablog.com

 江戸川乱歩やコナンドイルにも影響を与えた、まさに最高の作家。

ミステリの始祖的な部分ばかりが取りざたされますが、自然科学にも非常に詳しく、科学的基盤をしっかりもった良質なSFも書きます。

いわゆるホラー系なら「黒猫」「アッシャー家の崩壊」、ミステリ/謎解きなら「モルグ街の殺人」「黄金無視」、SFなら「ハンス・ファブニルの奇妙な冒険」「大渦への落下」あたりがおすすめ。「大鴉」なんかの詩も書きます。多分、私の知っている小説家の中で一番学識が深く、考察力もあり、最も物語作りを理詰めで考えるタイプの人です。

全集は5巻セットで出てますが、青空文庫なら無料で読めるものもあります。

  

三秋 縋 

君の話

君の話

 

  未だに読み方が思い出せなくなる作家「みあき すがる」と読みます。

写真がなかったので書影を貼っています。最近は顔を出さない作家増えましたね(住野よる、とか)

2ch掲示板において「げんふうけい」名義でSSを書いていたことがきっかけでデビューした小説家。私も「スターティング・オーヴァー」の原型をSSで読みました。凄く良かったです(小並)。今でも、ちょっと痛くて切ないエンドに震える気持ちを思い出します。

作家としてのキャリアも積みつつあり、最近では「君の話」で山本周五郎賞の候補になりました。

読み味としては、切なくてちょっと苦しい、中学二年生が大好きそうなキャラクターとス卜ーリー展開が特徴的であり、そして私の大好物でもあります。

いろいろこじらせた暗い男が、いろいろ変だけど可愛い(お約束!)女の子としんどい恋愛をする話が多いイメージ。そこに、SFやファンタジーといったギミックが組み合わされます。文章も読みやすく、展開もわかりやすく、登場人物も少なく話を筋を追うのがとても楽で、肩肘張らず楽しめます。会社の同期曰く話は重いらしいですが。(私はそう思いません)。

最高のエンタメ作家、と言われるとあまりに作品が偏り過ぎ、若すぎ(お前が言うかという声は当然あります)が、着々とキャリアを積みつつある作家ということで、今後の躍進に期待しつつこのリストに加えます。

私と同年代の作家ということもあり、隠れ小説家志望としては羨望と焦りを感じますね……私も新しい話書かなきゃ

「君の話」はなかなか楽しめたのでおすすめ。多分若い人は結構好きな話なんじゃないかなと。

 

 

まとめ

「最高のエンタメ作家は誰だ?」

なんていう挑戦的なタイトルを付けてしまいましたが、完全に私の好みです。

 

さて、世の中には読み切れないほどたくさんの小説があり、そのなかから自分にあった面白いものを選び出すのは大変です。そういう時「お気に入り作家」を一人見つけるといいと思います。

そういうものを一人見つけると、ずぶずぶと読書にはまっていける。ちなみに私のきっかけは「乙一」でした。

誰も聞いていないかもしれませんが、作家デビューして憧れの先輩方(敬愛する先生方を先輩と呼びたい)とお話するのが私の夢の一つであることをこっそり告白しておいきます。

また、暫定で最高の作家になりつつある人たちが私の中に複数います(谷崎潤一郎、ダニエル・キース、ジョージ・オーウェルカポーティトールキン……)。

この記事で書いてきた作家ですが、世間一般ではすでに最高の作家だったり、「こいつエンタメじゃなくね?」とかいう人もいるかもしれませんし、どちらかというと今後が楽しみな作家では、などなど異論はあるかと思いますが、私の独断と偏見なので許してください。

 

なお、このリストは永遠に未完成です。皆様の思う「最高の作家」を、ぜひとも私にご教授いただきたく。 

 

以上です! 皆様が最高のエンタメ作家と出会えんことを!

お酒がなくなって欲しいと、私がひっそりと願っている7つの理由

こんばんは、ミズノです。

 

お酒は百害あって一利なし! と言いますが、なかなか普段、そのデメリットを声高に叫ぶ人はいません。お酒を強要するとまではいかずとも「なんで飲まないの?」みたいな発言がよく聞かれる(というか、私が結構言われた。最近は言われなくなってきたのですが……)のは、お酒を飲むのは当然、という空気がまだ残っているからだと思います。私は、メリットデメリット双方考え、飲む飲まないを自由に決められるようになって欲しいと心から願っています。そういう訳で今回は、お酒をお勧めしてしまう人へ、こういう理由で私は飲まないんだというところを、ひっそりと主張したいと思います

 


①飲まない人を排斥してしまう可能性がある

お酒はコミュニケーションのツールですが、一方で飲まない人を排斥してしまいます。飲む人/飲まない人という不要な対立を生み、「ノリが悪い奴」だったり「あいつは人に物事を強要する」など、不和の原因になります。また、ただお酒が嫌いなだけなのに「あいつは俺が嫌いだから、俺の前ではあまり飲まない」といった、不要な邪推を生んでしまう原因にもなります。

 

②優しい人に我慢を強いてしまう

中には、付き合いのために嫌々、それでも楽しそうにお酒を飲む人がいます。そういった、人のことを思う優しい人を苦しませることになります。
あなたのお酒を喜んで飲んでくれた人も、実は内心では凄く苦しんでいるかもしれません。それに気が付かないで楽しんでいる人が、この世にいったいどれだけいることでしょう。恐ろしい話です。

 

③お金がかかる

どんなに安いお酒でもソフトドリンクの二倍、ちょっといいお酒を飲もうものなら、一日の食費でさえ凌駕する額になってしまいます。
そのお酒を我慢したら、いったい何ができますか? 何が買えますか? そういった可能性を、毎日少しずつ、気が付かないうちにふところから奪っていっているのです。

 

④創造性を奪う

お酒を飲むと物事を考えられなくなります。会社が終わり、飲み会に行き、酩酊状態になれば、自宅に帰ってやるべきことは眠ることだけです。大方の人間は会社や学校に多くの時間を奪われ、自身の自由な時間がほとんどありません。お酒を飲むことで、その自由な時間さえ、まともに使うことができなくなってしまいます。
本を読んだり、何かを作ったり、人と議論したり、新しい情報を得たり……といった、ただでさえ少ない創造的な時間をお酒は奪っていきます。③で書いたように、新しい投資に回すお金もなくなり、自己の成長機会を奪います。
もし、酩酊していないすっきりした思考をずっと維持できれば、さらに面白い何かに出会い、作り出せる可能性があがります。

 

⑤脳の萎縮を速める

一次的に酩酊させるだけでなく、脳の萎縮も早めてしまうようです……ソースは不確かですが、誰かが提唱するようなリスクをとってまで飲むものかなあと疑問に思います。

 

⑥癌のリスクが高まる

よく言われる通りです。あまり詳しくないので⑤と同じです……。体を害するということは、その人の将来を奪うのと同じ、⑤⑥は、さらっと言われてしまうことですがかなり重大なことだと思います。

 

⑦お酒文化を広めてしまう

あなたが誰かから勧められて飲む。それだけならいいかもしれません。しかし、それを見て、「自分も飲まなきゃ」と、さらに多くの人に飲酒するきっかけを作ってしまいます。嫌々飲んでいる人が、さらに嫌々飲む人を増やす……誰が幸せになっているのか……お酒を造っているメーカーだけですね。
誰かが飲み、それにつられて誰かが飲み、もしかしたら、今度は、望まない誰かにお酒を強要する立場を生んでしまう可能性があります。
自分だけでなく、大局に見れば、お酒という文化の維持に加担することになってしまいます。なんでもそうですが、メーカーが定着させた文化は、必ずしも人を幸せにするとは限りません。

 

まとめ

お酒は体をむしばむだけでなく、お金や時間など、その人が創造的活動に使うことのできる時間も奪ってしまいます。それだけでなく、それを「強いる」文化が定着してしまっているがために、さらに望まない人に飲ませて苦しませるというのが日常になってしまっています。
そういうわけで私は、一時的な気晴らしにはなるものの、基本的にお酒というのは、個人の成長を阻害してしまうし、一部の人を苦しめてしまうものだと思うのです。
お酒を好きな先輩が、お酒以外のことに目を向けてくれていたら、どんな面白いことをしいたんだろう、と、割と本気で考えます。
この記事を読んで、一人でも多くの方が飲酒のデメリットに気づいてくださることを私は祈っています。

【黒歴史】昔書いた小説を晒します②

こんばんは、ミズノです。

以前の黒歴史がわりと好評だったのでシリーズ化を考案しています。

今回のは森見登美彦をめっちゃ意識してますね……

youmizuno.hatenablog.com

 

 

                 「ナトリウム爆弾」

 

                                 ミズノ

 ナトリウムは、原子番号十一、質量数二十二、白色の固体である。金属であるのに柔らかく、ナイフで簡単に切ることができる。反応性に富み、大気中に放置しておくと大気と反応して発火するので、危ない。そのため、空気と反応しないように石油中に浸して保存する。私が高校生のときに読んだ化学の教科書にはそう記述があった。

 しかし、日本の科学教育において良く批判される事例の通り、私が始めてナトリウムに触れる機会を得たのは、始めて授業で習ってから七年も後のことだった。私は高校を卒業し、化学に興味を持っていたので化学科のある大学に進学した、学部では楽しい三年間を過ごし、四年時には研究室に配属され、研究の門戸を叩くことになった。教科書に書いてあることが、たんなる文字の羅列ではなく実際にあるものなのだと知ったのは、配属が決まってしばらく経ったある日のことだった。

 その日、私は研究室の実験装置の前にいた。ステンレス管の中の真空を維持するため、私は慣れない工具と格闘しながら実験器具をいじり倒していた。かたわらでは、私の指導にあたる先輩が、緊張した面持ちで私の作業を見守っていた。たぶん、私がいつ装置を壊すのかと、心配していたからだろう。

 結局、目立ったミスもなく実験は無事に終わった。同時に先輩の緊張がほどけたようにほっと息を吐いた。

「友、今日の夜、空いているか」

 ガラス機具を洗いながら、先輩が訊いてきた。私は、先輩から受け取ったガラス機具の水分を拭き取っては棚に戻す作業に従事していた。分担したほうが、はやく終わる。

「空いています」

「遊びに行こう」

 そのとき先輩は、薬品庫から小さな小瓶を取り出して、ポケットに忍ばせた。

 

 出町柳通り前のバス停で待ち合わせた。私がバス停に着いたとき、時刻は午後七時の数分前だった。観光地でもあるこの通りには、土産物屋がずらりと並び、観光客らしい人々がひっきりなしに行き交う。先輩は、バス停のすぐそばのベンチに腰をおろした。

「や、これ食うか」

 先輩は顔を合わせるなりみたらし団子のパックを差し出した。近くお屋台で売っていたからだろう。

 団子をほおばりながら通りを歩いて行くと、鴨川にかかる橋に出る。川沿いには、男女のペアが何組も、同じ距離を開けて並んでいる。これは鴨川等間隔の法則というのだと先輩は教えてくれた。たんなるゴシップなのに、そのときの先輩は、実験で用いる化学公式を説明する先生めいていた。

 先輩は、鴨川等間隔の法則を教えるために私をここまで呼んだのだろうか。だとしたら少し迷惑だ。バス代も、往復でかかるし。

 先輩は橋の欄干に手を置いて、川の上流を眺めている。川の上流にも下流にも、その岸辺には、しっとりと互いの時間を共有する一組の男女が、無限のかなたまで並んでいるように思えた。私はなんとなく腹が立ってきた。

先輩は、橋のたもとで談笑するカップルに目を向けた。そのとき、先輩の横顔は変にゆがみ、唇のすきまから白い歯が覗いた。先輩はカップルのほうを注視したままポケットに手を突っ込んだ。そこから取り出したのは、灰色の液体がつまったガラス瓶と、実験用のピンセットだった。

 先輩はピンセットを指の間に挟んで両手を自由にし、ガラス瓶の蓋を開けた。すると、ガソリンの匂いがあたりに立ち込めた。ガラス瓶の中に詰まった液体を良く見ると、中には四角い物体が浮かんでいる。私が始めて本物の金属ナトリウムを見たのはこのときだ。

 先輩は、ピンセットを使って慎重にナトリウムをつまみあげた。四角く切り取られたナトリウムは、一般的な金属のように、街灯の光を反射して金属光沢をしめしていた。ピンセットの先端で、白い煙が上がる、空気中で、ナトリウムが化学反応を起こしているのだ。

「友、良く見えてろよ」

 先輩は白く煙る金属ナトリウムを、川に向かって放り投げた。

 ナトリウムは、さきほどのカップルから近いところに着水した。男の方は、ぽとん、と何かが水につかる音に気付いた。次の瞬間、そこから数メートルほどの高さの水柱が吹きだした。

 今、まさに彼の手を取ろうとしていた女の子は、立ち上がりかけて転んだ。男の方はいちはやく爆発を察知し、飛ぶように川から離れた。橋の上にいた人たちも、何が起こったのかと周囲を気にし始める。私は驚いて声が出なくなっていたが、川辺で体勢を立て直した女の子と目があってしまって、

「逃げるぞ」

 ぼんやりしていた私を、先輩はぐいと引っ張った。夕闇の中をかけて、人混みの中に紛れてしまえば、もう追ってこられはしまい。

 幸いにも、薬剤の無断持ち出しと不正使用は公にならず、誰にも咎められることはなかった。私は、ナトリウムの取り扱いについては、それ以降、特に注意するようになった。それが狙いだったのであれば、先輩の教育は実に適切だったと思う。

 

 先輩は、その年に大学を卒業した。卒業後は研究からは遠く離れて市内にある会社に就職し、営業の仕事をしている。私は、大学院に進学した。今は、修士論文の完成に向けて実験データを蓄積している。忙しくなっていくにつれて、互いのために割ける時間は目減りしていったが、しかし私と先輩との付き合いはまだ続いている。

 

 私がまだ学部生のころ、興味本位で他の学部の授業に忍び込んだことがある。先生は原子核物理を専門にしている人で、授業は核融合についての話だったと思う。ヒョロっとした眼鏡の、いかにも人の良さそうなおじさんだ。このおじさんの頭の中に、地球すらも一撃で爆破できるだけの知識が眠っているなんて、驚きだ。

 ともあれ、その先生はこんなことを話した。

核融合と恋愛は非常によく似ています。原子と原子は、互いに距離が遠く離れているときはエネルギー的に安定な状態で、互いに影響を及ぼしません。しかし、原子同士の距離が近づいていくと――人間にすると仲良くなっていくことに相当しますね――互いに引力が働き、相互作用によってエネルギーが上昇していきます」

 先生は黒板に、なめらかに上昇していく曲線を描いた。

「そして、原子核同士が近づいていくと、あるところでポテンシャルによるエネルギーの総和が最大値を迎えます。そこからさらに接近して、原子同士が結合するとき、今度はエネルギーを外部に放出し始めます」

 右肩で上昇を続けていた曲線は、山を描いて今度は下り始める。

「こうなったら、後は冷めていくだけです。燃え尽きないように、適宜燃料を投下して維持に努めなければならなくなります」

 そして、先生は諦めるようにこう添えた。

「そして、そうなってからが、一番長いのです」

 ほとんどの生徒は、講義を真面目に聞いていなかったし、私も飽きて途中から眠っていた。だけど、この話だけはやけに頭に残っている。

 

 先輩は頭が良いかもしれないけれど、少し臆病なところがある――そのことが分かるくらいには、私は先輩との付き合いを長く続けている。

 

 先輩は、相変わらずよく鴨川沿いを散歩する。私も隣に並ぶ。先輩の住むアパートは川沿いにあって、窓辺に座って外からの涼しい風に吹かれていると、外に出たくなってしまうのだ。

 歩く途中、適当なお店に入ってご飯を食べる。先輩は忙しそうだけれど、それでも楽しそうだ。互いの近況を簡単に報告する。お互いにどんどん忙しくなって、滅私奉公とはこのことかとばかりに、自分や大切な誰かのために使える時間が減っていく。

 夕食を終えた後、鴨川沿いに腰をおろして休憩した。鴨川等間隔の法則は、何度も見ているうちに見ていたら慣れてしまって、なんとも思わなくなっていた。

 夜風に吹かれながら、橋の欄干に設置された街灯や、夜店の暖かい光を反射してきらめく川面を眺めていると、どうしようもない愛しさがこみあげてきて、思わず先輩の右手を握ろうとしてってしまった。人差し指の先に、ごつごつした固い皮膚を感じた。

 そのとき、橋のほうから声が聞こえてきた。背の高い男が、橋の欄干に手を置いている。その後ろで女の子が立っている。街灯の光が逆光になって、顔や表情ははっきりしない。ぼんやりとした輪郭が分かるだけだ。

 背の高い男は、片手に何かを持っているようだった。それはが強く光を反射して、金属めいた光を放っている。

 男は、何かを川に投げ入れるようなしぐさをした。

 

 ぽとん、と水音が鳴る。小石が投げ込まれたのかと思った、すると次の瞬間、私の視界を塞ぐような水柱が、水面から立ちあがった。私はとっさに逃げようとしたが、立ちあがるのに失敗して転んでしまった。

先輩は、すでに離れたところにいて、爆発の余波に揺れる水面を眺めていた。

「大丈夫か」

 先輩は恐る恐るといった様子で聞く。大丈夫だったけれど、つい目をそらしてしまった。

 そのとき、たまたま橋の上にいた女の子と目があった、と思う。遠目だし、欄干に取りつけられた街灯が逆光となって、表情はみえなかったが、シルエットだけでそれと分かった。彼女は、驚いて見動きが取れなくなっているように私には見えた。しかし、隣の男に引っ張られて慌てて駆けだした。

「ったく、なんなんだあいつら」

 先輩は苛立たしい様子で言う。

 

 しかし、私はその光景に、怒るのも忘れてつい見とれてしまった。

街灯の暖かい光と、行き交う観光客の間に消えていく二人の影をずっと眺めていた。

 二人は、互いの手をしっかりと握って、美しい影絵のごとく夜の明かりの中を駆けていった。

ゆとり社員が、貯めた100万円の使い道を全力で100通り考えた

新卒で今の会社に入社して数年、自由に使えるお金が

100万円!

貯まりました。この記事は、その使い道を考えたブレスト結果です。ですが! 

ブレストは一人でできるものではありません!

この記事を最後まで読んで、まだないアイデアがあれば、ぜひご提案を!

 

 

 

1.100万円分のおいしいもの食べる

⇒100万円の高級肉……とか? そういうのはヒカキンとかに頑張ってほしい。それに、できれば自分の経験として跳ね返ってプラスになることに使いたい


2.100万円分の本を買う

⇒1冊1000円として1000冊……数年あれば読み切れない量ではないが……でも人生では

それ以上の本を自分は本に使うと思う。 

ちなみに、私のおすすめを全部買ったとしても10万円になりません。コスパのいい趣味だ……


3.100万円分沖縄に行く

⇒航空機10万円+土日一拍で1万円。ざっくりで8~10回は行けそう
 そんなに沖縄行ってどうするんだろうって思った。


4.ピースボートで世界を一周する

⇒99万円で行ける、らしい。本当? それって、決めた後に車みたいに後からオプションで値段上がってく奴でしょ?


5.「深夜特急」を片手に世界一周する

⇒会社の後輩が、百万円で行けるって言ってた。だけどそれは大学生の時にやるべき。

 


6.コペン(車)を買う

⇒可愛い! 公道で見かけるとついじろじろ見てしまう。中古車で80万円くらい。
だけど7日中5日は徒歩通勤だから乗る機会ないんだけど……普通に維持費考えると赤字なんですけど。維持費高すぎて買う気になれないんですけど……


7. ブログをProにする

⇒本ブログは収益無いのでProにすると赤字。というか100万円分……?


8.100万円分のコンサルをプロブロガーにお願いする

⇒ウェブ運営で学ぶことはいっぱいありそう。が、100万円でコンサルしてくれる人いる? どういう契約で仕事依頼する? 私の向学心と誠意が試されそうだ。


9.100万円で有名絵師にイラストをお願いする

ちょっとアリだなって思った……ネットに貼るときの自画像とかね。いろんなパターンの奴とか依頼できそう。


10.100万円で好きな作家に掌編小説を寄稿してもらう

ありだなあ……めっちゃ読みたい。私の交渉力と人脈が試されそうだ。どうやら私は個別最適された創作物が好きなのかもです


11.風俗で最高の女を抱く

⇒終わった後に100万円分のむなしさが襲ってきそう


12.100万円分のレンタル彼女をレンタルする

⇒むなしいんだって! でも可愛い女の子とおしゃべりはしたい……職場は男しかいないし。


13.100万円分のレンタル彼氏をレンタルする?

⇒なにこれ?


14.100万円分のドンペリをキャバクラで頼む

⇒一夜限りのヒーローになれるぜ……激熱だな。でも私お酒嫌いなんです……


15.100万円分ホストクラブで楽しむ

⇒正直めっちゃ楽しそう。だが男だけの糞みたいなノリはもう結構です。


16.100万円を渋谷の女子高生に渡して自由に使わせる

村上龍がやってたっていってた。本当……十代の可愛い女の子って最強。


17.株・FXをやってめっちゃお金増やす

⇒他の人の収益報告見てるけど普通にマイナス過ぎてあかん気がする


18.100万円分の有料notesを買いあさる

⇒本100万円分とあんまり変わらんよねえ……どっちかというと読む時間……


19.退職して気ままに暮らす

⇒100万円じゃ足りないぞ……


20.アイドルとのバスツアーに参加する

⇒私はアイドルはそれほど……


21.両親にあげる

⇒きっと断わられる


21.祖父の介護費用にする

⇒両親に断わられた……でも介護長引いたら必要になるかも


22.弟に車を買ってあげる

⇒だから車は負債だって……


23.100万円分のいいスーツを買う

⇒私服OKな会社なんですけど……


24.100万円分のいい服を買う

⇒ありかも。ていうか見た目をよくする系の投資って結構いいな。


25.凄くいい美容院に行く

⇒予約は何カ月待ちだろうか。


26.100万円で服選びをコンサルしてもらう

⇒そういうことやってくれる人いるかな? でもアパレル業界の人ってきらきらしてて若干苦手……


27.結婚指輪を買う

⇒気が早すぎるにもほどがある。


28.博士進学する

⇒年間の学費は50万円、3年間で150万円。足りないぞ……ていうか生活費はどうするんだ?


29.100万円分いいバーに通う

武井壮のように楽しい会話を勉強するぞ! 飲み代よりも新幹線代のほうがかかりそうな予感。


30.100万円で同期飲みを主催する

⇒これ以上親睦を深めてどうするのか。


31.引っ越しする

⇒人生を変えるなら、場所を変えよ。全くその通りだが、今の家は会社から近くて通勤が楽なんです。


32.転職する

⇒でもさ、仕事なんて結局どこに行っても同じだと思うんだよね。


33.100万円のいいパソコンを買う

⇒ありかも……起動めっちゃ早いしサクサク動くし、QOLは爆上げしそうな予感。でもゲームやらないしなあ……2画面ディスプレイとかかな。文章書くとき役立ちそう。


34.100万円のいい椅子を買う

⇒座り作業多いからこれもいいかも……誰かいい椅子教えてください

※2020/1/20

 10万円の椅子を買いました。

 


35.コンビニオーナーになる

⇒転職と一緒だよね? ていうか販売と営業職は君には向いてないと思うよ? ていうかこれ、お金っていうより人生の問題だよね?


36.飛行機のファーストクラスに乗る

⇒で、どこに行きたいの?


37.新幹線のグリーン車に乗る

⇒ささやかすぎる……


38.最高級ホテルのスイートに止まる

⇒記事ネタとしては超有能な予感……財力のあるYOUTUBERとかがやってくれそう。


39.薄毛外来に通う

⇒親父と祖父がねえ……遺伝的に私もヤバいと思うんですよ


40.ライザップに通う

⇒私凄くひょろひょろなので、筋肉ある人に憧れます。ちょっとありかも……でも普通に百万円かからないよね? 


41.いい机を買う

⇒椅子と同様。今思いついた。なんだか関連するアイデアが時間差で出てくる。


42.臨床心理士の資格を取る

⇒人の心に興味があります……お金っていうか時間配分の問題だなって思った。


43.教員免許を取る

⇒時間確保だなあ……


44.100万円の財布を買う

⇒男としてワンランク上に見られることができるぞ。 


45.100万円の時計を買う

⇒オメガ? ロレックス? グランドセイコー? でも私、時計はスマホで十分だと思っています。


46.船を買う

⇒まさにお金持ちの趣味。停泊料とかで後からゼエゼエ言うことになりそう。


47.バイクを買う

⇒ていうかさ、買っても乗る機会全然ないじゃん! 7日中5日は仕事で、しかも徒歩なんだって!


48.遊園地を貸切る

⇒子どもだったら超歓喜だなあ……


49.全身脱毛する

⇒朝が楽そう。でも脱毛って悪影響ないんだろうか


50.全身整形する

福山雅治にでもなれば人生変わりそうですね? 


51.熱海に別荘を買う

⇒100万円で買える物件があってビビった……でも遠すぎていかない


52.100万円分CDを買って握手会に参加する

⇒だから私はアイドルはそれほどだってば……


53.打ち上げ花火を上げる

⇒1発55万円で上げられるらしいです……


54.鎌倉市ビーチのネーミングライツを買う

⇒別に宣伝したいものとかないし……


55.防災シェルターを買う

⇒めっちゃ邪魔そう。家族ができたら考えるかもだけどさ……


56.100万円分ディズニーランドに行く

⇒行く権利よりも一緒に行く人が欲しい状況です。


57.100万円の布団を買う

⇒ありかも。睡眠は1日の1/3を閉める重要な行為……QOLめっちゃあがりそう


58.100万円の枕を買う

⇒あり。もう頭を付けたら起き上がれないような奴……え? 布団と枕に50万円ずつ使えばいいって? つまらん奴だなあ……


59.100万円のベッドを買う

⇒100個考えるのきつくなってきた……


60.100万円分をパチスロにぶち込む

⇒いくらになって返ってくるかな……?


61.100万円分の馬券で大穴を狙う

⇒潔い! めっちゃかっこいい! だけど私は遠慮したいです……


62.NPO法人に寄付する

⇒多分今まで出てきた中で一番尊い。だけど私は嫌な人間なので自分のために使いたいのです。


63.100万円分の1000円札を東京タワーからばらまく

⇒映画的シーンに胸熱が止まらない……1000円札のほうがたくさんでいいでしょ?っていう発想。普通に都条例違反。


64.自費出版する

⇒ネットで公開できてるしなあ……


65.歯科矯正する

⇒ちょっと歯並び悪いんですよねえ……ありかもって思った。


66.100万円をすべて50円玉に両替する

⇒「50円玉の謎」で検索だ!


67.宇宙葬してもらう

⇒100万円で遺灰を宇宙にあげられるんだって……へえー……私はいいや。


68.渋谷の電光掲示板をジャックする

⇒お金持ちの有名人とかが恋人のためにやりそー……そう考えると結構普通だな。それに静岡住みだし。


69.奨学金を返済する

⇒今その話は止めよう


70.100万円分の宝くじを買う

⇒買った時の妄想がはかどりそうだが……


71.最高の男を抱く

⇒新しい世界を開拓するのか……?


72.テスラの株を買う

イーロン・マスクのビジョンはめっちゃ夢があるよね……正直ちょっとありかも。私にも彼の夢の一部を見せてほしい。


73.アマゾンの株を買う

⇒もはやインフラ化してるし、世界の覇者に早めに媚を打っておくのも……


74.グーグルの株を買う

⇒グーグル、というかアルファベット。まあこれもアマゾンと同様。


75.国債を買う

⇒安定を求む。果たして本当に安定なのかは知らない。


76.100万円札の束にして道端に捨てる

⇒次の日の地方ニュースが楽しみですね!


77.海外に移住する

⇒100万円で一生暮らせる国とかあるんかな……? でも私はまだ日本でやりたいこととがあります。


78.ゴールデンレトリバーを買う

⇒めっちゃ可愛い。めっちゃかっこいい。ウィンディ好きの私には激熱。だけと今住んでる場所ペット禁止なんです……。それにいろいろ考えると100万じゃ普通に足りないよね? 食費凄そう。


79.ソシャゲに課金する

⇒もうやってる人いそう。というか私はソシェゲやってない。いや……


80.100万円分のハイパーボールとお香としあわせたまごを買う

ポケモンGOに全部つぎ込むという選択肢。でも最近はあんまりやってません……


81.iphone Xを買う

⇒つつましい……なんというか、固定費が上がるだけのお金の使い方はやめておきたい。


82.東京までの新幹線定期を買う

⇒ありかも……文化の中心地に毎週気軽に行けるのは結構いいと思うんですよ。東京から浜松は、3カ月で53万円……。毎日行くならともかく、土日だけなら切符のほうが安いですね……普通に意味なかった……


83.JTの株を買う

⇒なんと配当5%…100万円買えば翌年には105万円。実際は1株の値段とか配当率もうちょっと低かったりで、毎年3万円のお小遣いもらえるイメージ……ありかも
発想がちょっと保守的になってきました。


84.自前で文学賞を開催する

⇒名付けて「ミズノ文学賞」私の独断と偏見で選び、優秀作には100万円!ちょっとありかもって思った。面白い話読みたいし。


85.語学留学する

⇒なんかOLみたいだな。人生かけた決断だ……! でも語学だけじゃ役に立たないよね? 海外ブロガーとして一発狙ってみるか?


86.小説講座に通う

⇒100万円あれば5年くらいは通えそう。宮部みゆきも講座出身って言ってた……私も創作力を身に着けたい。かなり真剣に迷うところ


87.脚本講座に通う

⇒迷う! ていうか、この小説とか脚本の書き方って本当に講座で身に着くものなのかな……? もしお金になるなら講師の人だって自分で書くよね……? つまり……?


88.100万円で見やすいブログデザインを外注する

⇒めっちゃ見やすい! めっちゃ集客できるブログにするぞ! でも自分でまずは試行錯誤していきたい。


89.仮想通貨に投資する

⇒まだ仮想通貨やってないの? とか言われそう。でもこれ本当にリターンある? やっぱ形は違えどギャンブルだよねえ……競馬とかとかわなんいじゃんいや、でもVALUとかに使えるし……


90.プラント製図2級を取得する

⇒……仕事の資格ってことです。夢ないけどめっちゃ役に立つぞ。でもお金よりも時間的な制約のほうがきついか。


91.プログラミングを習う

⇒今の時代これくらいは……でもやっぱりこれも、お金よりも時間的リソースの振り分けの問題だ。


92.100万円でジャンプの押しキャラに投票する

ニセコイの「Yさん」を、私はちょっとだけ尊敬しています。


93.100万円分のマックハンバーガーを買う

⇒めっちゃ迷惑……そんな在庫ないやろって思った。


94.うまい棒を1万本買う

⇒1万円で1000本買えば、ビジュアル的なインパクトは十分だと思うんです……


95.100万円のギターを買う

⇒欲しいけど実は弾けない……いや、これで奮起するかも


96.100万円分の本棚を買う

⇒巨大な書斎は実は私の夢です……でも買うのより維持が大変そう、とか思ってしまう。


97.100万円の万年筆を買う

⇒すごく大切にできそう……だけど今まで生きてきて万年筆使う機会はほぼなかったです……

 

98.無断欠勤する

⇒100万円分休む。ただし、周囲の迷惑や信頼失墜を考えれば損失は100万円相当では済まないので駄目です。

 

99.滅茶苦茶いい望遠レンズを買う

⇒今のカメラは倍率が良くなくて……ううん…つつましいな

 

100.貯金する

⇒「このゆとりめ!」とか言わないでほしいです……


まとめ

いろいろやりたいことはありましたが、私的には、クリエイターさんに仕事を依頼する/自分自身が何かを作れるような投資をする(後は睡眠)みたいな、自己投資がしたいなと思います。どちらかというと、私のやりたいことは、「お金」よりも「時間」がネックになっていると感じます。
みんな「ほしいものがない」といいます。けれどそれは実は違って、本当は「手に入れるのに時間がかかる」ものをほしがっているんじゃないかなと、私は思います。でもそれっていいことですよね? 努力したいってことなんですから。

 

終わりです。

「小説の書き方」「プロットの作り方」に悩むすべての人へ! エドガー・アラン・ポー「詩と詩論」の「構成の原理」が目から鱗すぎたのでありとあらゆる人に紹介したい

 

面白い物語はなぜ面白いのか?

 

読む人・観る人・書く人みんなが死ぬまで抱え続ける問題です。

それがわかれば、最小の労力で最高の作品ができ、みんなハッピーに……そのためには、個々人がそのノウハウを会得し、そして共有していく必要がある!というのが私のひそかな主張です。

今回紹介する本は、私の主張を裏付けてくれ、そして創作に携わる人すべての目から鱗が大量に流れ落ちるであろう一冊です。

ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)

ポオ詩と詩論 (創元推理文庫 522-5)

 

 

 

 

 

1.エドガー・アラン・ポーという史上最強の作家について

Edgar Allan Poe 2.jpg

エドガー・アラン・ポー(Edgar Allan Poe、1809年1月19日 - 1849年10月7日)は、アメリカ合衆国の小説家、詩人、評論家。(wikipedia抜粋)

コナン・ドイル江戸川乱歩も熱愛した「探偵小説の祖」

コナン・ドイル江戸川乱歩は超有名ミステリー作家ですが、彼らの作品はポーなくして生まれませんでした。巷にあふれる探偵物語の源流はすべてこの人です。

ジャンルに捕らわれないマルチクリエイター

「黒猫」「黄金虫」「大鴉」……著名な作品を数多く世に送り出し、SF、ホラー、恋愛と、ありとあらゆるジャンルを横断して活躍した作家です。

 

つまり凄い人です。

 

2.ポーの主張

この本の「構成の原理(本文p.220~)」という章で、ポーはこう述べています。 

どんな作家でもいい、自分の作品のうちどれか一つが完成するまでの過程を逐一詳述する気になれば(というのは、それができれば)、大変興味深い雑誌論文が書かれるはずである。 (ポオ 詩と詩論 p.221)

雑誌論文とは「まだ学術的にまとまっていない新しい発見を報告する」ものです。つまりポーは、「小説・詩の書き方は、まだあまり研究されていない分野だ」ということを言っているのです。

続けて、ポーはさらに考えます。

そうした論述がなぜ公刊されないのか。ぼくにはなんとも言えないが、恐らくは作家の虚栄心が他のどんな理由にもましてそのことと関係しているのであろう。大抵の作家、殊に詩人は、自分が一種の美しい狂気というか、忘我的直観で創作したと思われたがるものだ……(中略)

九十九パーセントは文学的俳優の小道具であるものを、読者に覗き見されることに怖気をふるうものである。(p.222)

1846年の文章ですが、それから150年以上経った今も通用する鋭い洞察です。

さて、そんなブーメランをぶん投げたポーは、自作「大鴉」は直感でないと述べたのちに、こう宣言します。

すなわちこの作品(=大鴉)が一歩一歩進行し、数学の問題のような正確さと厳密な結果をもって完成されたものであることを明らかにしたいと思う。(p.222)

なんと! ポーは、自らのノウハウをすべて公開するというのです!

つまりこれは、 「ポーの創作過程を詳述した学術論文」であり

 映画脚本、小説、漫画、ライトノベル……そのすべての骨格となる「構成」について、世界中の誰もが認める天才作家が教えてくれる。

そんな本です。

 

3.「大鴉」を書く前に、ポーが準備したこと

長さの選択

ポーは「効果の統一」「印象の統一」が重要であり、長くなるとそれが損なわれると主張します。そして「ロビンソン・クルーソ-(長編小説です)」を例に出し、「統一的効果を必要としない作品」では一気に読み切れる長さの限度を超えることは有利かもしれないが、詩作ではそうではない、と述べます。

 

ポーは短い作品を好んで描く作家ですが、長編小説がメインの時代にはちょっと適応の難しい主張です。ですが、長編というのも短いシーンの連続であり、長編を書こうとする人も、

「読者が一気に読める長さ」を常に意識し、その中でどういう印象を与えたいか? を決めておくといい

のでしょう。そういえば、小説家になろうでも

「一章は二千文字から三千文字!」

という説が流布されていますね。

長編小説が総体として読者に与える影響については述べられていませんが、「次の章どうしよう?」という迷った時には、役に立つ考え方と思います。

 

効果の選択

ポーは、自作を読んだ読者が何に感動したかを分析し、ざっくり四つに分類します。

「真理」「知性の満足」「心情の興奮」「美」

「長さの選択」であったように、読んだ人に与えたい印象を、自分の中で明確にせよとポーは言います。

この四つが何を指しているのか本文中ではつかめませんが、私見を交え、現代小説に当てはめるとこういうことだと私は考えます。

 

「真理」……読者の価値観を揺さぶるメッセージを与えて印象付ける

「知性の満足」……珍しい仕事を題材にしたり、謎を解決することで印象付ける

「心情の幸福」…悲しみ、恐怖、幸福等の感情を与えて印象付ける

「美」……文章を読んだリズム感、美しい風景描写で印象付ける

 

 つまるところ「読者にどういう気持ちになってほしいか? どういう印象を受けてほしいか」を、書く前に明確にするのですね。

 

ポー自身は、「美」が最も重要であとは補助だと考え、そして「美」を伝えるための最適な長さは100行、とします。

実際の大鴉は108行。その通りになっている。ポーは、書き始める前に、こういった大枠を立て、自分の伝えたいものを明確にしているのですね。この考え方は凄く良くて、

何を書けばいいかわからない人の救いになる

と思います。「読者にこういう感情を抱いてほしい」という大枠を決めておけば、「類似作品や自分の身の周りから拾ってくる取材・題材に<あたり>が付けられる」と私は思いますし、ポーもそれに近いことをしています。

エピソードや人物が先にあるのではなく、読者に与える印象を考えてから、それに見合ったエピソードや人物を選ぶということ。書くことが思いつかない時の、一種の指針になるのではないでしょうか。 

 

4.ここから実作……と行きたいが

ここから、詳細な文章や、登場人物の性別、性格、境遇……など具体的な詳細検討に入っていきます。

ここからは、「大鴉」を読んでいることが前提となり、また細かい検討が増えていき、このブログではなかなか詳述することが難しいです……

 

 ただし、2.~3.を決めておき、自分の伝えたい何かを明確にしたおかげで、エピソードや人物の選定が容易になる、ということが凄く伝わってくると私は感じました。

詳細が気になる方はぜひ書籍を、と、ダイレクトマーケティングをお許しください。

 

終わりです。

 

PS

ちなみに、「効果の統一」ができている(はず)の話がこのブログ内にもあります。

youmizuno.hatenablog.com

 

乙一とか宮部みゆきの短編なんかも参考になるんじゃないかな、私の好きな本は短編が多いです。
youmizuno.hatenablog.com

 

後こいつも、映画のわりに短くて、「効果の統一」の一例になると思った。

youmizuno.hatenablog.com