玄関のツーロックは、両方かけるのと片方だけかけるのとどちらが安全か?
こんばんは、ミズノです。
唐突ですが私の家はツーロックです。出先から家に帰り、おもむろに私はポケットから鍵を取り出します。そして、上側の鍵を回し、次に下側の鍵を回します。そしてドアノブを回すと、
がちゃん。
開きません。どうやら、私は両方の鍵を閉めずに、片方だけをロックして片方だけ外していったようです。
今度は片方だけの鍵を回してみます。開かない。どうやらもう一つのほうに鍵がかかっていたらしい――が、愚かな私は上下どちらを開錠したのか忘れてしまい、そしてそれを何度も繰り返し、開錠に数分かけてしまったことがあります。そこで私はふと思いました。
――もしかして、上下両方かけるより、片方だけのほうが安全なんじゃないか?
本記事はその検証結果を報告するものです。
①考え方
ここで「期待値」の考え方を取り入れるのは不自然ではないでしょう。鍵を回した回数をnとして、
鍵を回す回数の期待値 = Σ(鍵を回した回数n) / (n回で鍵を開錠できる確率)
「片方だけ鍵をかけなかった場合」と「両方鍵をかけた場合」の2通り算出して大小を比べます。
②片方しか鍵をかけなかった場合
1回で開錠できる確率・・・1/2
2回で開錠できる確率・・・0
3回で開錠できる確率・・・1/8
4回で開錠できる確率・・・0
5回で開錠できる確率・・・1/32
規則性が見えてきました。おそらくこうです。
n回で開錠できる確率・・・1/2^(2n-1)
つまり
鍵を回す回数の期待値=Σ(2n-1)/(2^(2n-1))
③両方に鍵をかけた場合
上と同様の考え方で、
鍵を回す回数の期待値=Σ2n/(2^(2n))
我々の解くべき式が明らかになりました!
味のある字ですみません!
④結論
解析解も頑張れば求められそうに見えますが……しかし我々が求めるのは厳密な値ではありません。「片方だけかける期待値」と「両方かける期待値」のどちらが大きいかわかればいいのです。なので、こうしましょう。
「片方だけかける期待値」から「両方かける期待値を引き算しましょう!
途中計算は省きますが、こうなります。
「片方」ー「両方」=Σ2(n-1)/2^n ・・・(*)
(*)を見てください。n-1の項は常に0より大きいです。つまり、
「片方」ー「両方」> 0
「片方」のほうが、鍵を回す回数が多いことがわかります!
結論が出ました。私の計算が間違っていなければ、ツーロックは、片方だけかけたほうが、期待値的には安全です!
⑤何回まわせば開く?
解析解の求め方を調べるのが骨だったので、数値解をこのサイトで計算しました。
両方の鍵を掛けたとき、鍵を回す回数
約0.9回
1回よりも少ないというのをどう解釈すればいいのか迷いますが、ひとまずこの値になります。
片方だけ鍵をかけたとき、鍵を回す回数
約1.1回
1.1回鍵を回すってどういうこと?と、感覚的にはちょっと外れますが、確かに片方だけ鍵を掛けたほうが、開錠する手間はちょっとだけ増えるようです。
⑥まとめ
感覚的には捉えにくい結果になりましたが、ツーロックの場合、
片方だけに鍵をかけると、開錠まで平均で1.1回鍵を回す必要があるのに対し
両方かけた場合では0.9回で開錠できてしまう結果になりました。
つまるところ、ツーロックは2つあるから安全、というより、鍵穴を一個増やしたことによって、指数関数的に開錠に至るパターンを増やすことで安全を担保しているのですね。
なかなか楽しい確率の問題でした。が、自分で言うのもあれですが、確率計算や仮定には、結構なツッコミどころもある気がします、が(再びの逆説)、一種の問題提起ということで、数学に詳しい頭のいい人が、戯れに考えてくださることを私は期待してします。
意義異論歓迎です。興味がある方はぜひトライをどうぞ!
こんな本を書店で見ててふっと思いついた記事です。