狐の嫁入り

20代エンジニアの雑記ブログです

婚活をしていたら、週休七日で年収一千万超のお姉さんに人生を教わった話【1】

マッチングアプリで婚活をしていました。

気になった相手に「いいね!」を押し、相手から返事が返ってきたらメッセージ交換。気が合ったら直接会う、というタイプのアプリ。
私は二十台後半の技術職、つまり普通の会社員で特段モテる要素もなかったため、「プロフィールを書くときに参考する人気会員」のきらきらしたページを見る度
「これ無理ゲーじゃん」
と、やる気をそがれていました。

人気会員の写真は何となくキラキラしていて、垢抜けていて、自分はこんな風になれんなと頭を抱えました。
が、すべての女性がそういう素敵な男性と付き合えるかと言われればそんなことはない。そもそもそいつが写真の通り素敵だ男性だという保証もない。
そういう訳で、自分のスペックで手を打つ女性も必ずいる、という仮定のもと、まず絨毯爆撃的に攻めることにしました。
何をやったかというと、「オススメされてくる会員全員」に「いいね!」をしました。

これは精神的に楽です。マッチングアプリの何がしんどいかというと「相手を顔とプロフィールで選んで候補から外していく」っていう作業が、なんだか身の程を知らない行為をしているようで居心地が悪いからです。

何件くらい「いいね!」をしたか記憶にありませんが、100人に「いいね!」をして返事が返ってくるのが数人、というイメージです。やはり、婚活市場では男性よりも、女性の側に選ぶ権利があるようでした。
何より、女性は無料ですが男性は会員登録が有料というところに、どちらが選ぶ立場かということがはっきり現れています。
マッチングしたからと言ってうまくいくとは限りません。会う前に消える人もいます。そういう人は、メッセージの最中で突然連絡が途絶えます。やっぱり、突然冷静になって「なんでこんなことしてるんだろう」ってなっちゃうんでしょうか。トカトントン、みたいですね。

が、何人かとは会えました。薬剤師のお姉さん、住宅会社の広報、中小企業の事務員……失礼かもしれませんが、一目で恋に落ちるような美人はいませんでした。けれど、マッチングアプリを利用するような人はみんな、恋愛に対しては同じような屈託を感じているためか、自然と話は会いました。何度か会ってくれる人もいました。告白すれば、もしかしたら結婚まで持ち込めるかも……と感じる人もいました。
ただ、婚活をしているくせに、その人との関係を深めたいという意欲がわかなかったのです。我ながら傲慢だなあと思いつつ、これは本当に結婚できないかもと嫌な予感がすでにしていました。

ここで突然私の個人プロフィールに移るのですが、私はもともと会社員になりたいという思いがありませんでした。
高校生の頃は読書が好きで小説家になりたいと思っていました。ただ、「文章では飯が食えん」と理系選択し、大学は工学部の物理学科に進学しました。「大学と就職は小説家になれなかったときのための保険」と高校時代の私は思っていました。そして今、二十代後半になり、その保険が発動してしまったというわけです。確かに、学生時代の私には、それなりの先見の明があったみたいです。
「先生」と呼ばれたい欲求があったわけではないと思いますが、ちょっと雲の上にふわふわ漂っているような、社会的な競争からは外れた立場で生きていきたいという願いがありました。そういう訳で研究者も良かったのですが、自分の研究室で進学するにも教授とソリが合わず、企業の研究職を希望するも面接で落ちてしまって、希望が潰えます。
「いつかは別の大学でドクターを取る」
という思いも頭の隅にあり、今の私は、使うともしれない学費として熱心に貯金をしています。

当然、就活はしたくなかったのですが「保険」ですし、小説の題材にもなる。社会経験を積むことにもなると自分を鼓舞し就活に臨みました。なかなか面接もうまくいきませんでしたが、就活情報を集めたり先輩にアドバイスをもらったりして、なんとか今の会社に内定をもらいます。就活中に得たものも、いろいろありました。例えば、
「短い時間で知らない人のことを判断する材料は、喋り方と見た目くらいしかない」
それと、もうひとつ
「今は会社に所属する時代ではない」
ということ。ネットで就活について検索すると、「就活なんてするな!」みたいな記事が結構な割合で出てきます。私は現実から逃避するように、帰りの電車の中でそういう記事を読み漁っていましていた。インフルエンサーというものを始めて知ったのもこのころでした。
「だけど起業とかフリーランスなんて自分にはできんわ」
と、頭の隅にはとどめつつ何もできていませんでした。株にはちょっと手を出したのですが、見事にマイナスでした。
「働きながら小説を書いて、独立しよう。その時のために貯金もしよう」
というのが、入社した時の私の野望でした。会社貢献する気の無さ……そうして私は、ドクターになるという夢と、小説家になるという夢との原資を減らすのが惜しくて、なかなか思い切ったお金の使い方ができずにいます。

小説は、ぼちぼち書いています。年間で200枚くらいでしょうか。途中で断筆したものも。ただ、断筆したものも、設定をいじったりアイデアを足したり、ほかの作品を組み合わせたりして何とか最後まで完成させよう、と、今もしています。ブログ記事……なんて書いてる場合じゃないのかも……

小説を読み、苦労しいしい書き、読書を楽しみ、職場にはコアタイムギリギリに出社する毎日でした。しかも、帰るのは17:30で、一日の残業時間がマイナスになることも。それが許される会社に入ったことが、私の就活の中で一番の成功だった気がします。

「婚活しよう」と思ったのは、社歴も二年を過ぎ、研究職も小説家も無理かもなあ……と思い始め「ずっとここで働くことになりそう」と予感しつつあったからです。職場への愛着もでてきました。子どもの可能性を眺めるのもきっと楽しいと私は思っていること、それと、同期の結婚が重なったこと。「三十五歳になると人生の闇が見えてくる」というシロクマ先生の言葉に恐怖を覚えていたこと。自分を婚活に駆り立てる要因は、二十代の後半にもなればいろいろありました。

周りに女性もいない私は、とにかく出会いを作ることを目的とし、恐る恐るマッチングアプリに手を出していました。
婚活や結婚への疑問は払拭しないまま、相変わらず「いいね!」を乱打していました。とにかく相手に会えば、何かピンとくることがあるかも、という、奇跡みたいな確率にかけていました。
私の乱打に返事を返してくれた人のひとり、その人が「週休七日で年収一千万超のお姉さん」でした。