狐の嫁入り

20代エンジニアの雑記ブログです

【2019年版】読書家の選ぶ、一生に一度は必ず読むべき名作小説5冊

はじめに

出版不況が叫ばれる昨今ですが、実は本の「種類」は増え続けていることをご存知でしょうか。

よりたくさんの種類の本が発行され(おそらくベストセラーを生み出すためにたくさんの銃弾を売っているんでしょう)一冊あたりの発行部数が減っており、一人の著者がその印税だけで食べていくことが難しくなっている、というのが出版界の現状と理解しています。

 

つまり、種類は多くなった故、しかもネット上には大量の文章が掲載され「読むべき本・文章がは見つかりにくくなっている」のが現状と思います。面白い小説はたくさんありますけれど、ただ大衆に迎合する要素を詰め込んだだけのものも少なくありません(私はそういう小説も好きです)。

 

この記事では、一生売ることなく本棚に保管し、読み返す度に新しい発見や感動のある本を厳選します。また、教養として知っておく価値があり、私がきっとこれは楽しめると思った本をご紹介していきます。

 

選定基準

・あまり本や映画に詳しくない人でも、名前を聞いたら、ああ、あれね、となる

・読み返す度に新しい発見がある

・面白い

・ジャンルは問わない

 

ではご紹介を。 

 

「スタンドバイミー」スティーブン・キング

 

最高の冒険小説です。

このブログの中でも度々紹介していますが、ホラー小説の帝王、キングの書いた自伝&少年の冒険譚です。四人の少年たちが、電車に引かれてなくなった(とラジオで耳にした)同じ年の少年の死体を探しに行く冒険譚です。

「死体探し」というと物騒ですが、ストーリー自体は、「宝物(死体ですけど……)を探して町の外に冒険に繰り出す少年たちの成長」を描いた作品です。

この本の優れたところは、人生のどのタイミングで読んでも新しい発見がある点です。学生の頃は少年の冒険に心を踊らせ、社会人になってからら自分の人生を振り返り、そして少年たちと一緒になって冒険に出かけた読者は、本を閉じる度に新しい環状を棟のうちに宿すことでしょう。

親からネグレクトされた子ども、生まれへの劣等感、人生の段階を経るに連れ疎遠になっていく友人たち、あの頃怖かった年上の不良たち、そして、未知の心を躍らせる少年たちの前向きな心。何度読んでも色あせない少年たちの夏の冒険に、読者は何度でもついていきたくなることでしょう。

それに、有名な映画になっていることもあり、あらゆる世代の人(私も父とこの話をしました)と話が通じる点も素晴らしいと思います。

 

 

刑務所のリタ・ヘイワーススティーブン・キング

 

最高に前向きな気持ちになれる小説です。

こんな小説聞いたことがないぞと思われた方、その直感は正しいです。商品のタイトルと見出しが違うと思われた方、そのとおりです。

まずここを説明させていただきますと「刑務所のリタ・ヘイワース」は、この本の中に収録されているもう一つの中編小説です。そしてこの「刑務所のリタ・ヘイワース」は「ショーシャンクの空に」の原作です。ここまで来たら、ああ! と言っていただけると信じています。

刑務所に暮らす人々を描く、希望と絶望についてのヒューマンドラマです。

 主人公のアンディは、妻を殺した無実の罪で「ショーシャンク刑務所」に入れられてしまいます。しかしアンディは粘り強く意思を持った男で、刑務所暮らしの中で生きがいを見つけ、新人イジメには強く反抗、また刑務官の仕事(?)を手伝い、刑務所内で独自の立場を築いていきます。希望を捨てなければきっと叶う、というのが信条のアンディを、一方語り部のレッドは、運び屋としてアンディの頑張りを手伝いつつ、冷ややかな目線でその様子を語っていきます。この二人のうち、最後に正しかったのはどちらか。

「希望はいいものだ」

たったこれだけの、当たり前のメッセージが、ここまで強く心を打つラストを私は他に知りません。「困難を乗り越えれば、必ず希望はある」そのことを強く印象づける作品です。

刑務所を舞台にした小説で、ここまで底抜けに明るく、幸せで、希望に満ちた小説は他に類を見ないでしょう。

一番感動できる小説は、と聞かれたら、私は迷わずこの小説をおすすめすると思います。

(同短編に収められているゴールデンボーイは、うってかわってちょっと怖いラストなんのであまり前向きな気持ちになれないのでご注意を……)

 

 

アルジャーノンに花束をダニエル・キイス

 

世界で一番泣ける小説です。

知能手術を取り扱ったSF小説と私は認識しています。

 主人公のチャーリイは自閉症児。けれど、博士の受けた手術で頭が良くなっていきます。「アルジャーノン」は同じ手術を受けたネズミの名前です。

素直でいじめられっ子のチャーリイが知性を獲得していき、成長し、周囲に認められ、恋人もできる。けれど、ある日博士の犯した失敗に気がついてしまう。

物語の前半に流れるコミカルで楽しい成長の章からうって変わり、物語は不穏な空気に満ち始めます。チャーリイは自らの知性に悩む苦しみ、そして少しずつ自らを蝕む衰退に抗いながら、やがて絶望さえも感じなくなり全てを受け行ける。まるで、チャーリイという青年の短い経験を通して、人生の栄華と絶望を凝縮したようなお話です。

絶望と衰退を受け入れること。それは人類が誰もが経験することであり、チャーリイは、そのための準備と覚悟を私達に与えてくれます。

今回ご紹介する本の中で、一番泣きそうになった(でも泣いてはない)本です。

日本版ではドラマもあるようです。

 

 

「傲慢と偏見」ジェイン・オースティン

 

最高の恋愛小説です。

人類がいつまでも人類が逃れられない結婚&恋愛&お金をめぐり、男女がわちゃわちゃするコミカルなラブストーリーです。

結婚適齢期の五人姉妹が、お金持ちとの恋愛/結婚にばたばたします。

意中の相手と結ばれる素直な男女、望まれない恋愛で駆け落ちする男女、傲慢と偏見でいつまでもいがみ合っている男女、恋でなく社会的戦略として結婚する男女……

200年以上の前のイギリスを舞台にしていますが、その根底を流れる恋愛や結婚感は、現代を生きる私達にも見覚えのあるものばかりです。

ジェイン・オースティンは、日常の中の悲喜こもごもをコミカルなタッチで仔細に描く観察眼に定評があり、かの夏目漱石も日本の読者に向けて紹介をしていたようです。

恋愛や結婚の悩みは、はるか昔から絶えないものであり、その普遍的な真実を、綿密な描写と巧みな人物造形で楽しく読ませてくれます。

可愛らしい姉妹とその両親があれこれしている様だけでも私はなかなか楽しかったです。

最近では、辻村深月さんが本作をリスペクトした小説を発表して話題になりました(趣旨から外れるので紹介はしませんが)。

 

 

1984年」ジョージ・オーウェル

現代の社会にもインパクトを与え続ける、世界で一番怖いSF小説です。

舞台は架空の歴史上の1984年。誰もが「ビッグブラザー」を崇拝し「ダニエル・ゴールドマン」なる存在するかもわからない敵へ憎悪をぶつけるよう思想を矯正されます。この世界での思想統制は徹底されており「眠っている間の無意識」を監視されたり、自由な思想を奪うために「文字を書くことが禁止」されていたり、さらに、人の思想を狭めて反政府的な思考を持たないような新しい「イングソック」という言語が開発されたりしています。そして、この物語の主人公ウインストン・スミスは、政府の誤った予測を「訂正」として改ざんする仕事をしており、その中で政府の体制に疑問を持つようになります。ある日、自分と同じ疑問を持っている仲間を見つけるのですが……

どれだけ暴力にさらされても、ひどい目にあっても、「思想と信条の自由」や「心のなかで考えること」についての自由は剥奪できません。

けれど、この小説では、その「心の中の自由な思想」すら奪ってしまうような強力な社会体制と主人公は対峙して(正確にはには蹂躙されて)いくことになります。

ここまで絶望的で怖い話には出会ったことがありません。感動、というのが、良かれ悪しかれ感情を動かすものだとするならば、この本は最強に人を感動される恐ろしい本です。

また、その徹底した自由排斥の政府を描く物語から、かえって現代社会で我々を縛っている常識(会社に務めないといけない、とか、社会奉仕は大事だ、とか。組織は素晴らしいとか)に、気づかせてくれる力があります。

私もこの小説を読みながら、今勤めている会社の社報を冷ややかな気持ちで思い出していました。なんか、仕事礼賛とか、過去の人々の努力礼賛とか、なんだかうさんくわいですよねえとかそういう云々……

今回オススメする本の中で、一番ショックとインパクトの大きな話です。あまりに怖すぎて、殿堂入りの一冊からはずそうとさえ思いました(今は殿堂入りしています)。

 

 

夜のピクニック恩田陸

 

日本で最高の青春小説です。

日本人の小説も好きなものはたくさんあります。ですが、一生に一度必ず読むべきとい言われたら、この本以外に思い当たりません。本屋大賞も受賞した恩田陸の名作「夜のピクニック」です。

高校の恒例行事「歩行祭」を前にした高校三年生たちのお話。メインストーリーであるボーイミーツガール(正確にはちょっと違う)を軸に、友情、恋愛、血縁、ミステリー、ホラーと、ジャンルも趣向も異なる小さな話が混ざり合って大きな物語として収束していくさまは何度読んでも圧巻です。

スタンド・バイ・ミー」もそうですが、仲間とともに歩くだけのことは凄く心を打つ。それは、日常から乖離した特別な空間で、そこで人はちょっとだけ素直になり、内相的になり、いつもとは違う自分を信じて冒険をしてみたくなるのだと私は思っています。

「ただみんなと、ただそれだけのことが、どうしてこんなに特別なんだろう」

誰にも読んでほしい名作です。

著者の恩田陸は、「蜜蜂と遠来」で直木賞も受賞した今最も熱い小説家でもあります(もちろん、それ抜きにしても「夜のピクニック」は名作ですよ!)。恩田陸フィーバーはまだしばらくは続きそうです。

 

 

終わりに

以上、小説読みの私が今まで読んできた本の中で「一生に一度は必ず読むべき」ものを厳選しました。渾身の5冊ということで、選び手の底が知れる部分もあってちょっと怖いなと思っています。

ここで紹介したのは私にとっての「殿堂入りの5冊」ですが、もちろん人によって違ってくるところは当然あります。全部気に入ってくれた方、きっとあなたとは一生の親友になれます。

他にもっといいのがあるぞ! という方、私はぜひその小説を読んでみたいです。

 

次に手に取る1冊の手助けになれば嬉しいです。