狐の嫁入り

小説創作ブログ! のつもりでしたが、なんかだいぶ違う気がします……

ビジネス/対人/恋愛……コミュニケーションに効くおすすめ心理学書

 

はじめに

私が心理学書を読み始めたのは大学三年生のころです。

そのころ、私は大学の部活でいろいろとまあ悩んでおり、また組織とか恋愛のこととかで八方塞がりという感じでした。

今思えば、学生時代の友人関係というものは、だいたい見た目と印象で決まってしまうので、たくさんお金を手に入れて身だしなみと運動能力を磨けばよかったのかも、と思っています。あの頃は難しく考えすぎて、コミュニケーション能力とか優しさとか思いやりとか、ぼんやりした何か美しいものに解を見出そうとしていました。めっちゃ勉強頑張ってた学生だったので、そんな軽薄っぽいことは当時の自分にはできなかったかも、とも思いますけど。

後、小説書くときの参考になればなあ、とか。

問題の特効薬、とまでは行きませんでしたが、じわじわと漢方薬の如く効いてくるのが心理学書だと私は思っています。胡散臭い自己啓発にドハマリして周囲を心配させたりしつつ、そこまで変な思想に偏らず(多分)、現実へと活かせそうな心理学書のストックを積み上げることが出来ました。

 

本によって、人の心へのアプローチの仕方は色々違います。が、読んで思ったことは、人間は各々の主観的な現実を生きているということ。そして、自分の認知が何に影響されているのか無自覚であること。

例えば、人は見た目のいい相手を高く評価する傾向があるくせに、自分の判断が容姿によって歪んだことを全然意識できないのです(「影響力の武器」とか「ファスト&スロー」を読むとわかります)。

そういう、「無意識に動かされる人の心」に目を向けることで、人をちょっとだけ操作できる。それもたしかにありますが、なんといいますか、人の行いをいろいろ許せたりもします。大変勉強になりますということです(適当)。

では、自己啓発っぽいものからガチ心理学書まで、特に対人関係に効く(というか私が対人関係に効きそうな本ばっかり選んで読んでいたんですけど)心理学書をピックアップ。人生のお悩みにじわじわ効く漢方を処方します。

 

①人を動かす

およそ人を扱う場合には、相手を論理の動物だと思ってはならない。相手は感情の動物であり、しかも偏見に満ち、自尊心と虚栄心によって行動するということをよく心得ておかねばならない。(第一章 盗人にも五分の理を認める より抜粋)

父親の書斎においてありそうな自己啓発本No.1、デール・カーネギーの「人を動かす」です。

自己啓発本の始祖とも言うべき本であり、書店にあふれる1000円くらいの安い自己啓発本を読むなら、この一冊を手にとって見るのが何よりもおすすめ。文庫本は715円(税抜き)です。コスト的に大変安く、内容は大変濃い。古典は最強ということがよく分かる本です。

「自己の衝動を律して他者理解に努めよ」ということが、いろいろな事例をもとにわかりやすくまとめられています。第一章を読んで気に入ったら、あとの章もきっと気にいると思います。

それだけでなく「不安の沈め方」など、セルフマネジメントについてもアドバイスも豊富。悩める方は是非一読を。 

 

 

②ピープル・スキル

 

話し手が何より強く求めるのは何より強く求めるのは、、"相手の心がここにある"という心理的実感だ。つまり、自分とともにいてほしい、心から寄り添ってもらいたい、と望んでいるのである。

 名前と表紙の通りの本です(投げやり)。

けれど、ここまで取り扱う内容がはっきり分かる本も珍しいと思います「ピープル・スキル」に、挨拶する二人の紳士のイラストですよ?

 

著者ロバート・ボルソンは、対人関係には3つのスキルが大事だとときます。

内訳は

・傾聴

・自己主張

・対立解消

の3つ。

が、ちょうどこの3つに均等にページを降っているわけでなく、本書の半分以上のページは「傾聴」に割かれています。

 

内容をざっくりと要約すると、上に紹介した一文に付きます。

「人は理解してもらいたがっている。まずはその欲求を満たすべし」

「人を動かす」 でも、傾聴し相手と感情を理解することが第一義だと述べていました。

コミュニケーションの問題になると、どの本でも(私の会社の研修でもありました)「傾聴」という言葉が出てきますが、おそらく「ピープルスキル」「人を動かす」あたりがそのもとになっている本なのかなと私は思っています。

上の二冊を読めば、今の対人関係で大事なのは「傾聴」だとされていることがとてもよくわかってきます。

今のところは傾聴が大事とありますが、ただ相手を理解するだけではうまくいかないなあと思うこともあり、またもっと発展したコミュニケーション論がそのうち出て来る(もう出てるけど私が気付いていない?)のかもなあと思っています。

ともかく、今世に出ているコミュニケーション不全についての本は、上記二冊が最も信頼できる本だと思います。

ただし、学生時代の人間関係にはあまり適応できなかったイメージ……自分が未熟だったのかもですが、やっぱり、青春時代っていうのは特殊な環境なんだなあというのが今の私の思いです。

学生時代の人間関係の改善には、第一印象を決める要素とか、サル山での生き延び方とか、もっと動物的なコミュニティ論のほうが参考になるかもと思います。ただ、今を生きる中高生にはちょっと難しすぎですね……いじめやいじりがなくならんわけだ。学校は聖域です。良くも悪くも。 

 

 

③影響力の武器 

 

どうにもならない片思いにけりをつけるために手に取ったのは交渉術の本でした。

私は恋愛と告白を交渉ごとと捉え、いかにして意中の子にお付き合いを同意させるかということをずっと考えていました。そういう意味では、この本は確かに本質をつく内容を含んでいるかもしれませんが、今思えば場学生時代の恋愛に漢方を導入するのはちょっといろいろどうかなと今では思っていたりします。

与太話はともかく、内容のご紹介。

ざっくりいいますと「営業マンの交渉」に使える心理学的な研究結果がずらりとまとめられています。ウェブマーケティングをやられている方が時々紹介されており、私が初めて読んだ頃からさらに有名になってきている感じがします。某ブロガーさんの立ち上げたコワーキングスペースにもおいてありましたし。

車ディーラーが売り上げを伸ばすために後からオプションを付ける、寄付をしてもらうために小さな贈り物を押し付ける、見た目のいい人は選挙でたくさんの支持を得る……等々、こういう「あるある!」エピソードは、心理学者が興味を持って調べ、人がどうしてそういう行動をしてしまうのかをうまくまとめています。

我々が意識的に、無意識的に使ったり使われたりしている対人関係のテクニックは、多くが調査され名前をつけられています。上で上げた3つの例も、それぞれ「フットインザドア」「返報性の原理」「ハロー効果」と、名前がついています。今までの自分の経験と照らし合わせ、納得し、これから人と会話をするときの文字通り「影響力の武器」を授けてくれる心強い本です。

 学生時代に理解しておくと人間関係が捗る(そして人が信用できなくなる)です本。

 

④ファスト&スロー

Daigoの心理学動画でおすすめされていた一冊。面白かったです(小並)。

人間の無意識の行動に鋭い洞察を与える本第二弾。影響力の武器よりもトピックスは難しく、量も多い、読み込みがいのある本です(一回しか読んでない私)。

それにしても変な題名だな、と言うのは私も思うところです。著者は、人間が物事を判断するときには、二つの意識段階を経ると考えるとわかりやすい、と提唱しており、それぞれ「システム1」「システム2」と呼んでいます。大変シンプルな名前です。

「システム1」は、見たものや聞いたものに対してぱっと反応してしまう行動を司り、(嫌いな相手を見たときにうわっと思うとか、好きな相手を見たときにどきりとするとかそういうの)「システム2」は、冷静な分析や判断が必要になる行動を司るものと考えるといろいろ捗るよ、というものです。

ファスト&スローというのは、つまりシステム1とシステム2のこと。で、「システム1」は常時稼働ですが、「システム2」は基本的に停止しているので、人間は熟考することなく直感的な感覚だけで物事を決めたり選択する傾向があるよ、という前提のもと、人の認知が歪む例をたくさん載せています。

心理学に本質も糞もない気がしますが、影響力の武器よりも数段、深いところに踏み込んだ内容になっているというイメージ。上下巻と分厚いので、行動心理学に興味があり、がっつり読みたいぜという方にはぜひおすすめです。私もそのうち二週目をしようと思っています。

 

 

おわりに

たったこれだけの冊数で長々と書きすぎました……まだ、「予想通りに不合理」とか「選択の科学」とかいろいろストックはあるんですけれど、どれもある程度重複する内容を含んでいるので、上記四冊を読んでおけば人間の行動に関するざっくりした概要をつかむことはわりかしできているんじゃないか、と思っているのでこれで一旦打ち止めにしようと思います。

人の心はわからない、と言いますが、実際は自分の心でさえわかりません。その自覚できない人の心を、客観的な観察や実験から理解して整理してくれる心理学書は、誰にも理解できない人の心を取り扱いを、ほんの少しだけ見通し良くしてくれます。

何かに悩んだときの次の一手に、こういう心理学書たちに新しい視点を求めてみるのはいかがでしょうか?