「ロウソクの科学」だけじゃない。最高の科学書たちを紹介します
ノーベル化学賞のニュースで、「ロウソクの化学」がにわかに脚光を浴びています。
数式を使わずに科学的な知見を楽しく教えてくれる本はたくさんあります。
秋の夜長の読書には、小説に加えて科学読み物なんていかがですか?
雪は天からの手紙
私のイチ推し。
世界で初めて人工雪の生成に成功した著者のエッセイ。「雪は天からの手紙」という表現が素敵です。優れた科学書は、わかりやすくて面白いんだ、ということが凄くわかる本です。
ロウソクの科学よりも私としてはこっちのほうがおすすめだったり。
ロウソクの科学
今、日本で最も有名な科学入門書となった今作。
著者は、理系学生ならきっと聞いたことはある「ファラデー定数」のファラデーです。ロウソクの溶ける様から宇宙を支配する法則を導き出す。これは科学者の目か……と身の回りにある自然現象に興味がわくきっかけになります。この本がノーベル賞化学者誕生のきっかけになったのだとしたら感慨深いです。
紹介しておきながら、実は立ち読みで最初のほうをちょろっと読んだだけなので…これを機会に読もうかなあなんて
思考する機械コンピュータ
コンピュータの動作の一番根本の原理を知りたいと購入した本。
根っこのところは凄く単純な仕組みで動いていることがわかります。2000年以前の本ですが、機械学習やAIについても言及されています。
機械学習やAIは何かと関連書籍が出ていますが、コンピュータの基礎原理と絡めて説明してくれている本はなかなかありません。この本を知れて良かった、と私は強く感じています。
「相対性理論」を楽しむ本
「相対性理論」を楽しむ本―よくわかるアインシュタインの不思議な世界 (PHP文庫)
- 作者: 佐藤勝彦
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 1998/12/01
- メディア: 文庫
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難しいものの代表格とされる「相対性理論」を語る大変ライトな本です。
理論の概要を知るに十分なサイズと値段の本。
当時の私は、三平方の定理さえわかれば特殊相対性理論は理解できる、という事実に衝撃を受けました。
ファインマン物理学
本の難易度が急にランクアップしましたが。
私が大学一年生の時に読んでおくべきだったと激しく後悔している一冊です。 最小限の数式で、いろいろな概念が言葉でわかりやすく書かれています。物理学者の視点、というのが手に入る名著だと思っています。
タイトルは「力学」とありますが、電磁気や量子論やら原子論やら、関連ある学術分野まで含め横断的に解説してくれていて、ファインマンという学者の凄さが、それだけでもわかる本です。
影響力の武器
このあたりはちょっと自己啓発よりかな……
「セールスマンが物を売るには?」とか「なぜ私たちは望まないものを買ったり選んだりしてしまうのか?」「なぜそういう行動をとったのか」と、私たちの行動を陰で操っているいろいろな効果をまとめたものです。「人はなぜ動かされるか」を主眼に様々な研究結果を紹介し、詳しく解説してくれる優れた本です。
「ハロー効果」「返報性の原理」「フット・イン・ザ・ドア」あたりの用語にピンときた方にはきっとハマる本です。
利己的な遺伝子
- 作者: リチャード・ドーキンス,日高敏隆,岸由二,羽田節子,垂水雄二
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2006/05/01
- メディア: 単行本
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なぜ親が子どもを守るか? なぜ群れの動物は仲間の動物を助けるか? ダーウィンの進化論では考えられなかった「なぜ、自分という個体にとっては損になるのに他人を助けるか」という疑問をうまく解説してくれる仮説。
「利己的な遺伝子」説は、初めて読んだ時には衝撃でした。
行動の本質に迫る一番の本だと私は思っています。
サピエンス全史
- 作者: ユヴァル・ノア・ハラリ,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/09/08
- メディア: 単行本
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この本を読んで、震えました。なぜ憲法があるのか? なぜ国家があるのか? なぜ宗教があるのか? 今までもやっとしていた素朴な疑問に、衝撃的な解が与えられ、納得すると同時に怖くなったからです。
我々が当たり前だと思っている国家、貨幣、国、会社。社会的な構成要素はすべて、私たちがそうと認識できなければ存在できない、私たちの頭の中にあるものです。サルやイヌとった動物とヒトとの違いはいろいろあるかもしれませんが、巨大な文明を築くに至った「共同幻想」こそが、ヒトが文明を構築できた最も大きな違いと本書は主張します。
一方で、宗教の根幹となるあれこれと客観性を重視する科学の対立は、その共同幻想を打ち壊しかねないものです。そのあたりのすり合わせが、今後どうなるかちょっと怖くも興味深くあります。
なお、著者は続きを出しており、
タイトルからしてちょっと怖い本です。
実は前の記事で紹介してました笑。「人は死を超越して神になる」みたいなことが本気で書いてあって震えます。
シートン動物誌
- 作者: アーネスト・トンプソンシートン,Ernest Thompson Seton,今泉吉晴
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 1997/11/01
- メディア: 単行本
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狼が好きだったので購入。私は(2)だけ買いました。野生のオオカミの生態が克明に記録された本。
動物wp観察する鋭い観察力、高い写生技術、科学的洞察力、そして、読む人の心に訴えかける文章力。シートンがいかに凄い人物だったかを実感しました。
鳥類学
- 作者: フランク・B.ギル,Frank B. Gill,山階鳥類研究所
- 出版社/メーカー: 新樹社
- 発売日: 2009/11/01
- メディア: 大型本
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「近年までの鳥類学的な研究をすべて一冊にまとめ上げた」ものすごい大作です。
分類、遺伝子系統、羽の生え方、くちばしの形、飛び方、獲物のの捉え方、繁殖……等々、あらゆる種類の鳥のあらゆる生活形態がこの一冊で網羅されています。超マニアックですが超内容の濃い本です。
私もまだ読み切れていないのですが、子どものころにこいつを見たら、きっとものすごい鳥マニアになっていたに違いありません。
しかも、これだけの超大作で約6000円! これまでの学術研究をまるっとまとめた本なんで、ほかの分野ではゆうに1万や2万はします。それに比べたら安すぎる!
鳥類研究所の人は素晴らしい本を出してくれています。
問題解決大全
問題解決大全――ビジネスや人生のハードルを乗り越える37のツール
- 作者: 読書猿
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2017/11/19
- メディア: 単行本
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仕事セミナーなんかでコンサルの人が話すロジカルシンキング、KT法、特性要因図……「問題解決フレームワーク」と呼ばれるものを私は胡散臭いなと思っていました。どうしてかというと、誰がどういう目的で提唱した技法なのかが明示されていないからです。けれど、この本にはそう言った問題解決の考え方が、起源を遡ってその本質に迫れる形でまとめられています。
自然科学、というより人文科学という感じ。著者の読書猿さんは、私の最も尊敬する現代の読書家でもあります。ちょっと理系人っぽいところにも共感。
ハウツー本的な部分もありますが、各種法の歴史的経緯がきちんと残っている点が非常にいいなと思っていて、それゆえに私はこの本を科学書だ!と言い張っています。著者も人文科学書を目指して書いたと言っていますしまあいいでしょう。
以上、私のおすすめする科学読み物を紹介してきました。
この中から、何か面白いと思うものが見つかれば嬉しいです。