狐の嫁入り

小説創作ブログ! のつもりでしたが、なんかだいぶ違う気がします……

ピストン、クランクシャフト、コンロッド……エンジン・内燃機関設計のための参考書を紹介します。

 

 

入社してから、人生で初めてエンジン(検索するほうじゃない)の設計をすることになりました。

大学時代には全く学んだことのない分野で、また設計実務に役に立つ本は少ないので探すのが大変でした。

電気自動車が普及し、どうやって新しい産業と組み合わせて使っていくかが課題となる枯れた技術です。が、あの複雑で奇々怪々な形状にはそれなりの理論や工夫があって、それを学んでいくのも楽しい経験です。

私が読んで面白かったエンジン設計本をお教えします。一般向けの易しい本では物足りない方はきっと楽しめる本だと思います。

 

 

①自動車用ガソリンエンジンの設計

エンジンの構造・仕組みから、ピストン、ピストンリング、クランクシャフト、バランサ、ボルト……と個別部品の設計まで網羅した名著。元日産の技術者の方が書かれています。困った時や、デザインレビューの時手元においておくと、きっと役に立つ何かが書いてあります。山海堂「エンジン設計の要諦」の復刻版です。

 

②エンジン用材料の科学と技術

 ヤマハエンジニア⇨岐阜大学教授の経歴を経た著者の本。エンジンの主要部品(シリンダ、ピストン、クランク、リング……)の機能から作り方までを丁寧に解説。エンジニアは部品の形と機能ばかりに気を取られがちですが、普段なかなか着目されない「素材」についても丁寧に書かれた良い本です。

 

 

③モーターファンイラストレイテッドvol.136

車好きに根強い人気を誇る雑誌。エンジンの部品の設計法を部品ごとに深掘りする連載「クルマの教室」がとても勉強になります。それに加え、定期的にエンジン基礎講座的な特集を組みます。

過去のバックナンバーを遡って調べたところ、「エンジンの基礎」について最もボリュームを割いているのがこのナンバーでした。エンジンを構成するする部品を網羅し、最新技術と基礎知識を両方を織り込んだ解説は、エンジン設計初学者にとって大きな助けになり、初学者の胸を大きく高鳴らせることでしょう。

エンジンに関心のある人は絶対に取り寄せるべき雑誌です。

 

④自動車用ピストンリング

「帝国ピストンリング」「リケン」「日本ピストンリング」の技術者の執筆したピストンリング本。クルマファンには少々マニアックすぎるが……設計技術者は手元に一冊持っておくと心強い。絶版となっているので、復刊を心待ちにしています。

中古はものすごく高いので気をつけてください。

 

⑤自動車用ピストン

ピストン、ピストンリングは製造に高い技術が必要なため、作れるメーカーがほとんどない。その技術が集約された本はもう一冊。「ピストンリング」と同じくこちらもとても役に立つ本ですがが……絶版。中古本で一万円をオーバーしています。おすすめ、というか巡り合えたらラッキーという感じ。

ちなみに、豊田市の図書館には置いてありました。

 

エンジン本、と言いますと、大抵の場合は動きの仕組みですとか、熱力学と効率の本が紹介されるばかりでそのあたりから入る人が多いのですが(私もです)、実務的には、個々の部品の機能を丁寧に見ていったほうが、エンジンがどう作られ、動いているのかよくわかりますし、役に立ちます。

後、熱力学は若干わかりにくい学問ですし……(私もちょっと自信ないところがあります)メカ的な知識から仕入れていくと楽しみつつ勉強できていいと思います。