「移動祝祭日」をkindleで読みました。
「移動祝祭日」を読みました(本記事では内容に言及する可能性があります)。
読んだきっかけ
phaさんの京都案内記事がめちゃめちゃエモかったためです。
自分が学生時代に過ごした土地のことを思い返して描く文章は、どこか切なくも、若々しい情熱や美しい一瞬で満ちています。これは人間の記憶処理の為せる技なんでしょう。私の好きな作品「スタンド・バイ・ミー」も、作者キングの自伝的作品で、ノスタルジックな空気を帯びています。
そのヘミングウェイverが本作という認識です。「昔あったことを思い出す」作品が好きな人はけっこう楽しめる気がします。
で、上の記事では、「移動祝祭日」の冒頭にある有名な一節で文章を締めくくります。
もしきみが幸運にも
青年時代にパリに住んだとすれば
きみが残りの人生をどこで過ごそうとも
それはきみについてまわる
なぜならパリは
移動祝祭日だからだ
きっとパリに限らないんでしょうけれど、ヘミングウェイにとっての「移動祝祭日」はパリだったんでしょう! phaさんにとっては京都。
ちなみに私の場合は名古屋です。文化的土壌はちょっと乏しい場所でした……むしろ、友達を訪ねていった秋葉原界隈のほうが移動祝祭日っぽいです。
内容
ヘミングウェイがパリでの修行時代を振り返ったエッセイと認識しています。
当時のパリにいた芸術家や作家とのやりとりが書かれています。「名前は聞いたことがある有名な人」の人となりがなんとなくつかめます。
読む人が読めばもっと色んな情報を取れるのかもしれませんが……私は有名人の生活感ある日常を味わうという、わりと俗っぽい楽しみ方をしていました。
感想
いきつけのカフェで嫌いな友達に邪魔されながら書いたのが「二つの心臓と大きな川」だとか、その友達が「日はまた昇る」に出てくるだとか、「雨の中の猫」の妻は離婚した自身の妻がモデルだとか、そういった背景がちょっとずつわかってくるので、作品を読むのが楽しくなりそうです。
私が読んだことのあるのが「雨の中の猫」と「老人と海」だけだったので、ヘミングウェイの若かりし頃の作品もいくつか読んでみたい気分になりました。「老人と海」は晩年になって書かれた作品だったみたいです。
個人的には「殺し屋」に興味があります。
さらっとウィキペディアを眺めてみると、ヘミングウェイ短編集を読めばいいようです。いま積んでいる本を消化し終わり、かつそのときに関心があれば、手を出したいと思います。が、しばらくは近年の小説新人賞受賞作の消化とプロコンに力を注ぐ予定なので、ちょっと(かなり?)後ろ倒しになる感じがします