ミズノの落書き帳

面白い物語をたくさんと観て/読み/書きたいブログです。20代、本職はエンジン設計技術者です

理系学生必読の、最高の科学書を紹介しよう

こんばんは、ミズノです。

 

私はフィクション好きの人間で、根っこのところは文系っぽいところにあるのかなあということをちょいちょい考えたります。が、文字じゃ飯は食えん、と考えた昔の私は、食える技術を身に着けようと理系進学しました。意外と、物理や数学も面白かったので、そっちにも運よくハマることができました。結局、どちらに進もうとも、仕事をしたり考えたりするうえでは、分類にとらわれない横断的なものの見方をしないといけないので、結局たどり着くところは同じなのかなと思ったりします。

 

さて、小説好きで物理数学にもハマった私は、その帰結として科学読み物にも手を出すことになりました。科学とは難しいものと思われがちですが、しょせんは好奇心にあかせて調べたことをうまくまとめるという作業の繰り返し。アウトプットが地味だし、ちょっとした勉強も必要としてしまいますが、仕事にせず楽しむだけであれば、そこまで深い知識は実は必要なかったりします。

そんなところで、そこまで深い科学知見を持たずとも、楽しんで読める科学書を紹介していきます。

 

 

 相対性理論」を楽しむ本

難しいものの代表格とされる「相対性理論」ですが、その一部を理解することは中学生にも可能です。私がこの本を読んだのは中学三年生の時。

この本を理解するのに必要なのは、三平方の定理

 

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 ↑これだけです。

 

それと、ちょっとした好奇心。当時の私は、電車に乗っている人と乗っていない人との間で、時間が何倍だけ違ってくるを計算し、一人悦に入っていたものです……変な中学生でした。ちなみに、どの程度の時間差になるかというと

t/T=0.999……

つまるところ1です。日常生活の範囲では、時間のずれなんて全然気にならんのですね……みたいなことが、誰にでもワンコインでわかります!

 

相対性理論! 難しく! ないよ! (一部は)

 

ということがわかる本です。

 

雪は天からの手紙

雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)

雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)

 

中谷宇吉郎、と聞いてなかなかピンとくる人は少ないかもしれません。

この方は、世界で初めて人工雪の生成に成功した先生で、この「雪は天からの手紙」という言葉は、最も有名な彼の名言として今も語り継がれています。

「雪は天からの手紙」非常に誌的な表現ですが、そこに至る洞察は、科学者としての自然への興味、それと考察センスを感じさせます。雪の結晶の形は、湿度・気温・気圧で変わってくる――なので、雪の結晶を調べれば、遥か上空がどういう状況になってくるかわかる。それで「天からの手紙」なのですね。

平易な文章で鋭い洞察を残すエッセイは、私たちの日常に、ちょっと変わった視点を与えてくれます。必要な科学知識はほぼゼロ。それなのに、ある程度勉強を進めた人しか読まないというギャップ……

地味ではありますが、だからこそ! いろんな人にお勧めしたい最高の名著です。 

 

 

ロウソクの科学

ロウソクの科学 (角川文庫)

ロウソクの科学 (角川文庫)

 

知っている人は知っている「ファラデー定数」のファラデーです。

ロウソク、と聞いて思い浮かべるのはあの、白い蝋の上に小さな灯がちろちろと燃える。あのロウソクです。この本は、ロウソクの燃える様子を起点にして、そこから洞察できる科学的知見をことこまかに解説してくれるものです。

燃焼、というのは非常に単純な現象に思えますが、そこには様々な物理・科学現象が起こっています。なぜ燃えるか? なぜロウソクの炎は色が違うか? そういった素朴な疑問から、普遍的な解を導いていく流れはお見事のひとことです。

センスのいい科学者は、誰にでもわかるよう、しかも興味をそそる話し方をしてくれるのです。

 

ファインマン物理学

ファインマン物理学〈1〉力学

ファインマン物理学〈1〉力学

 

ノーベル物理学賞を受賞した超有名人、ファインマンの講義本です。

私が大学一年生の時に読んでおくべきだったと激しく後悔している一冊です。 

難しそう! という割に数式はほとんど出てこず、原子論・分子論を、直感的に掴めるようにわかりやすく説明しています。

ただ、読んだ人が全ての内容を理解できるようにはしていないようで、「科学を志さなくとも全員に理解してもらえる内容」と「より高いレベルを目指すわずかな人に理解してほしい内容」の両方を含んでいるようです。ちなみに私個人で言うと、七割くらいは理解できてるつもりでいます。

タイトルは「力学」とありますが、電磁気や量子論やら原子論やら、関連ある学術分野まで含め横断的に解説してくれる優れた本です。力学それ一つ取ったって、ほかの学問分野と切り離して語れるものではないということがよくわかる一冊です。

全国の物理を学ぶ大学生は、絶対に一度は読んだほうがいい本です。

 

影響力の武器

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

 

さて、次は自然科学をちょっと離れてこんな本。

最近、似非心理学的な知見がテレビやブログで散見されますが、そのもとになっているのがこの本。この本自体はしっかりした科学書ですが、一般向けに面白おかしく誇張されて、いつのまにかちょっと胡散臭い記事みたいに書かれている事柄がいっぱいあります。

「ハロー効果」「返報性の原理」「フット・イン・ザ・ドア」

なんて言葉、聞いたことありませんか? 

ちなみに、この本は主に「セールスマンが物を売るには?」とか「なぜ私たちは望まないものを買ったり選んだりしてしまうのか?」「なぜそういう行動をとったのか」と、私たちの行動を陰で操っているいろいろな効果をまとめたものです。「人はなぜ動かされるか」を主眼に様々な研究結果を紹介し、詳しく解説してくれる優れた本です。

この本を読んだ当時の私には片思い相手がおり、この本のテクニックを駆使してその子を籠絡しようと必死でした。ちなみにフられました。 

 

あとあと、今超話題になってるこの本。

読了できていませんが、影響力の武器+自身の仕事経験をまとめた本なのかなあと、サンプルを読んで思っています。顔出ししてないけどこの人きっとすごい人なんだよね、多分。

 

利己的な遺伝子

利己的な遺伝子 <増補新装版>

利己的な遺伝子 <増補新装版>

 

生物系学部の人ならきっと名前くらいは必ず目にしたことがある本。この本の主張は、

「人間は個体そのものの生存でなく、自身の遺伝子が後世まで受け継がれていくような行動を選択をする」

ということです。

なぜ親が子どもを守るか? なぜ群れの動物は仲間の動物を助けるか? ダーウィンの進化論では考えられなかった「なぜ、自分という個体にとっては損になるのに他人を助けるか」という疑問をうまく解説してくれる仮説。それが「利己的な遺伝子」説です。説を裏付ける豊富な事例と考察がひたすら書かれています。

人の行動の一番根本の部分に迫っているのは、きっとこの本だと私は思います。興味深い一方でちょっと怖い本です。

 

サピエンス全史

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 

さて、何かと話題になったこの本、貨幣の成立など、いかにして社会がその形が作られていったかが概観できる優れた本。この本のメインの主張は、

「あらゆる人類の中で、ホモ・サピエンスがここまで繁栄できた理由は、貨幣や国家と言った"共同幻想"をみんなで信じることができ、ほかの動物と違い、数百・数万人を超える人々が協力し事業を推進することができたため」

としています。

我々が当たり前だと思っている国家、貨幣、国、会社。社会的な構成要素はすべて、私たちがそうと認識できなければ存在できない、私たちの頭の中にあるものです。サルやイヌとった動物とヒトとの違いはいろいろあるかもしれませんが、巨大な文明を築くに至った「共同幻想」こそが、ヒトが文明を構築できた最も大きな違いと本書は主張します。

この本を読んで、震えました。なぜ憲法があるのか? なぜ国家があるのか? なぜ宗教があるのか? 今までもやっとしていた素朴な疑問に、衝撃的な解が与えられ、納得すると同時に怖くなったからです。

一方で、宗教の根幹となるあれこれと客観性を重視する科学の対立は、その共同幻想を打ち壊しかねないものです。そのあたりのすり合わせが、今後どうなるかちょっと怖くも興味深くあります。

なお、著者は続きを出しており、

youmizuno.hatenablog.com

タイトルからしてちょっと怖い本です。

 実は前の記事で紹介してました笑。「人は死を超越して神になる」みたいなことが本気で書いてあって震えます。

 

シートン動物誌

シートン動物誌〈2〉オオカミの騎士道

シートン動物誌〈2〉オオカミの騎士道

 

 「利己的な遺伝子」と「サピエンス全史」は、読んだら眠れなくなる怖すぎる科学書です。が、最後はちょっと安心できるのにしようと思います。

誰もが名前を知っているであろう「シートン」その観察と調査の記録が事細かに書かれた本です。

この本の面白いところは、シートンの詳細な動物観察とリアルなイラストもですが、何よりも、野生に生きる動物たちの生のエピソードが、現地の人からのヒアリングをもとに書かれており、眼前に迫るリアリティでもって私たちがそれを追体験できることです。

私は(2)だけ買いましたが、野生のオオカミが獲物を捕らえるところ、子育てをするところ、人里に近づいて様子をうかがうところなど、当時の記録がそのまま掲載されており、まるでその場に立ち会ってみてきたような気持ちになれます。

動物観察する鋭い観察力、高い写生技術、科学的洞察力、そして、読む人の心に訴えかける文章力と、シートンがいかに凄い人物だったかを実感できんます。

動物大好きおじさんなのかもしれませんが、ただの動物大好きおじさんではないんですよ! 凄いんですよ!

 

鳥類学

鳥類学

鳥類学

 

さて、これが最後になります。この本は「近年までの鳥類学的な研究をすべて一冊にまとめ上げた」ものすごい大作です。

分類、遺伝子系統、羽の生え方、くちばしの形、飛び方、獲物のの捉え方、繁殖……等々、あらゆる種類の鳥のあらゆる生活形態がこの一冊で網羅されています。超マニアックですが超内容の濃い本です。

私もまだ読み切れていないのですが、子どものころにこいつを見たら、きっとものすごい鳥マニアになっていたに違いありません。

しかも、これだけの超大作で約6000円! これまでの学術研究をまるっとまとめた本なんで、ほかの分野ではゆうに1万や2万はします。それに比べたら安すぎる!

鳥類研究所の人は素晴らしい本を出してくれています。

 

以上、私のおすすめする科学読み物を紹介してきました。

この中から、何か面白いと思うものが見つかれば嬉しいです。