狐の嫁入り

小説創作ブログ! のつもりでしたが、なんかだいぶ違う気がします……

「なろう系」や「ミステリー」よりも圧倒的に求められる小説ジャンルを発見しました

要約:「エロは最強」という記事です。

 

 

なろう小説のR18版「ノクターンノベルス」に小説を投稿したら、滅茶苦茶読んでもらえました。

 

投稿して4日で2200PV!

 

今まで何作が投稿してきましたが、ここまで読まれた経験はありませんでした。

f:id:youmizuno:20190816133738p:plain小説URLはこちら(※未成年は閲覧しないでください!)

https://novel18.syosetu.com/n6094fr/

大声で読むことがはばかられるタイトルなので、ここでの紹介は控えさせていただきたく……評価ポイントも60ptと、自分史上最高評価をいただいています。

 

 

一方、私が半年前に書いた一般小説はこちら

投稿して180日で2800PV……

 

もっと頑張ります……

f:id:youmizuno:20190816134517p:plain

小説URLはこちら(全年齢対象なのでぜひ!)

https://ncode.syosetu.com/n4230fd/

「恋のエンジン」なる健全極まりない恋愛ものです。

 

 

読んで楽しめる小説ってなんだろう‥…? ということを考えてきましたが、最終的には、人間の基本的欲求に訴求するジャンルが一番強いみたいです。

やっぱり本能には抗えんのですね……

正直、エロ小説も書いてて楽しかった←

 

また、「なろう」小説と「ノクターン」小説で、ここまでPVに差が出る理由については、「なろう」にはあまりにも作品が多すぎ、読者に読んでもらえないからなのだそう。その事情は、下の記事によくまとめられています。

作品の出来栄え向上と直接は関係ないですけれど、マーケティングの視点から考えさせられる記事です。

 

ノクターンノベルスでデータ分析やってみました」

https://novel18.syosetu.com/n1637fe/1/

ウェブ小説も、芸能やエンタメ分野と同じく、一部の勝者がすべてを持っていく厳しい世界ということがデータを通じてわかります。

 

なんとか物語を書いて報酬を得られるようになりたい、とずっと思っていました。何のジャンルを書くべきか……と迷いながらちょっと不思議でいい話ばかりを惰性で書いてたなあと感じます。

誰に読ませるか、どう読ませるか、どんな人が買ってくれるかが不明瞭で、商品としてので出来はあまりよくなかったかもしれません。

自分のこだわりを形にするか、それとビジネス的に意味のあるものを作るか……アマチュア小説書きには高尚すぎる問題な気もしますが、生意気にもどういう方向に行こうかわりと悩んでいます。

 

ただ、「書いて食っていく」という目標を第一に据えた時に、一番の可能性のあるジャンルがエロであることがはっきりわかりました。ここに気がつけたのは、当たり前ですが大きな成果だと思っています。

 

映画監督も、最初はAVからスタートする的な話をどこかで聞いたような……? あの新海監督も、確かエロゲーのオープニング作ってたような……

 

私は、人前で性的なあれこれをあけすけに話したりするのが苦手なので(興味がある事の裏返しと言われればそうなんですけど……)、このジャンルに向かい合っていくのにはちょっと覚悟が必要そう。

 

ともかく、ノクターンの連載の方を、連休中になんとか仕上げきろうと思います。その後は、フランス書院に送ってみようかな。

 

興味がある方は読んでいただけるとうれしいです(どの作品とはいいません。)

 

では。

10年前のヤフーブログをはてなに移行しました。

10年くらい前にヤフーブログを書いていた時期がありました。その後は忘れたまま放置していたんですけれど、ヤフーブログ閉鎖にともなってこちらに移行することにしました。

 

一年間で三十記事くらい。思いついたことをそのままほいほい書いていた当時の自分が見えてちょっと切ない気持ちになりました。誰かに読ませることなんて考えてない高校生の文章だなあ……当時の自分が眩しく見えました。

 

当時、結構自分としては辛い毎日を送っていたつもりだったんですけれど、今振り返って文章を読んでみると牧歌的だなこいつ、なんて思います笑

 

こうやって当時を振り返ったり出来るので、ブログって日記みたいに利用するのが一番いいのかなあということをふっと考えました。

 

もともと、個人の考えを発信したりまとめたりするツールだったはずだけど、今やPVを稼いだり収益を上げたりっていう方向にばかり目が向いていて、ううむ、これが変化というものかと、自己を見直すきっかけになりました。

 

しかし、十年前と比べると、今のブログって誰も彼も人に読まれることをめっちゃ意識してますよね。ネットマナーも当時から相当変わってんなあ……人々は確かに進化しつつある。そんな気がします。

 

まとまりはないですけれどこれで。

「クジラ日和」

 という小説を書きました。Twitterで見たあるイラストにインスパイアされています。

 

原稿用紙9枚の短い話です……他のサイトにもアップしてみようと思います。

 

 

 飛行場では、機体が整備を終えたところだった。巨大な階段が取り外され、白い巨体はゆっくりと前進を始めた。ガラスに顔をくっつけて夢中でその様子を眺めているな子どもが、手で触るのは止めなさい、と母親に叱られていた。

「もうすぐだね」

 佳乃子の声は弾んでいた。

 亮介は手元の電子チケットを眺めた。搭乗時刻までは後十分を切っていた。

「こんなに晴れるなんてな」

 昨日のニュースでは、本日の天気は大荒れ。南からやってきた巨大な台風が、日本を横断して北に抜けていく予報だった。けれど、今朝になって急に状況が変わった。巨大な熱帯低気圧温帯低気圧に、進路は北から東の方へ、大きく変わった。空を覆い尽くそうとしていた雲は吹き飛ばされ、今、涼介たちの前には、文句をつけようがない清々しい青空が広がっている。

「もう行くの?」

 と、大河が言った。不安に満ちた目で姉を見上げる。

「大丈夫だって大河、飛行機は絶対に落ちないから」

 大河は姉の佳乃子の言葉も信じていないようで、助けを求めるように亮介を見上げた。

「大河、あの飛行機にはエンジンが付いてるんだんだ。片方が壊れたら、どうなると思う」

「落ちる」

 落ちる、と言葉にしてその瞬間を想像してしまったのか、大河は表情を固くした。

「飛行機はな片方のエンジンが壊れても、ずっと飛んでいけるように設計されてる。万が一落ちる時があってもにもうまく着陸できるし、海にも浮ける。救命ボートだってついてる。何があっても大丈夫な万全のテクノロジーが搭載されてるんだ」

 大河は、時速五メートルで迫る死神を前にしたみたいに、緊張の面持ちで自らを迎えに来る白い機体に目を凝らしていた。従兄弟の亮介も信用出来ないらしい。

 頼りになるのは両親だが……その両親は、子どもを置いてリゾートで夫婦水入らずと来ている。

『あなた達でいたほうが大河も楽しいでしょう』

 と、亮介は佳乃子とともに大河まで預けられてしまった。

 不安がる大河を眺める。自分が八歳のときはこんなに怖がりだったかな、と亮介は思う。少なくとも、佳乃子は違っただろうな。亮介と同じ年の従姉妹は、時々、そこらの男以上に心臓が強いところがある。

「なに?」

「佳乃子は飛行機なんて怖くなかったよな」

「馬鹿にしてんの?」

 からからと笑って亮介を叩く。いつもちょっと痛い。

 ぴんぽん、と放送を知らせるアナウンスが場内に流れた。佳乃子は、ビクつく大河の手を取った。

「さ、行くよ。落ちるときにはしっかり抱きしめててあげるから」

「そんなの意味ない」

 大河はわずかに反抗の意思を見せ、佳乃子はなんとかなだめようとする。亮介は、貴重な夏休みをこの二人と一緒に過ごすことにしたのは失敗だったかもと思い始めていた。

『皆様にお知らせです。十四時三十分発、K2000のフライトは、天候不調により、ただいま出発を見合わせております。お急ぎの皆様におかれましては……』

 佳乃子と大河は、『金色夜叉』の像のような臨場感ある体勢で宙を見上げていた。場内に不安とざわめきが広がる。

「天候なんて絶好調じゃんか」

 佳乃子は、ガラス張りの向こうに広がる青い空を見上げた。大河の緊張は緩み、力を抜いて再び座席に座り直した。まるで歯医者の順番を勘違いしたみたいだ。

「どうしたんだろうな」

 空には雲ひとつ見えず、スマートフォンに映る日本列島のレーダーチャートには、端っこに見切れた台風の姿があるくらいだ。

 飛行機の進路方向に台風があって、飛んでいる間に追いついてしまうとか、そういうことか? でも、もう風も少ない温帯低気圧という話だったし……

 搭乗口に立つキャビンアテンダントさんが、困った表情を出さないようプロの笑みを浮かべたまま、詰めかける乗客に説明をしている。耳をそばだてても、ここからではよく聞こえない。

「クジラ」

 と、亮介の気持ちを見透かしたみたいに大河が言った。

「クジラが何って?」

キャビンアテンダントさんが、クジラが来るって」

「良い耳をしてるな」

 大河はきょとんとした表情をする。当たり前のことを褒められても、本人はなんとも思わないらしい。

「クジラってどういうこと?」

 佳乃子が言う。

「さあ?」

 亮介にもわからない。

 あーあ、と佳乃子は視線を宙に彷徨わせた。と、目線を四十五度の角度に上げたまま、口をぽかんと開けた。

 場内を満たしていた不安の芽が、一斉に開花して大きなどよめきになった。

 外を見渡すガラスに水滴が伝った。飛行場のからりと乾いたコンクリートの上に、楕円形の影がひとつ現れた。海からやってきた影は、ひとつふたつとその数を増していく。黒い楕円形のハンコを地面にいくつも押したみたいだった。

「雨か?」

 パシャリ、とシャッターを切る音がした。

「なにあれ?」

 空を見上げた佳乃子の目がきゅっとすぼまる。その視線を追って、亮介は顔を上げた。

 息が止まった。

 何かが浮かんでいる。ラグビーボールみたいな形をした巨体。飛行機が三台は着陸できそうなくらいのヒレがくっついている。

 クジラはだった。それも、とても大きな。

 彼らは地上の人々のことなど意にも介さない様子で、ヒレと尾を優雅に動かしながら空を泳いでいく。

 飛行機を待ちわびる誰もが、空に現れた巨大な群れに心を奪われていた。

 大河が椅子から飛び降りた。そのまま飛行場に面したガラスのほうに走っていく。

 佳乃子はスマートフォンの画面に大河の姿を捉えた。空を埋め尽くすクジラの群れを前に、大河はただ圧倒され立ち尽くしている。

「凄いね。初めて見たよ」

「これじゃあ飛行機も飛べないわけだな」

 ひときわ大きなクジラが、背中から潮を吹き出した。宙に打ち上がった巨大な噴水は重力に引かれ、ガラスと地面を濡らした。スコールみたいに視界が閉ざされ、あっと思った後には、雨上がりの眩しい世界が目の前に広がっていた。水中に残った水滴の残滓が、陽光を散乱して虹を作り出した。

 その虹はクジラの群れが視界から消えてもなお、小さな奇跡を証明するみたいに、旅路を前にする人々を見下ろしていた。

 ぴんぽん、と、人々の目を覚ますみたいに、アナウンスが始まった。他人行基でスキのないアナウンスの声も、ちょっとだけ興奮して上ずっている。

「遅延しておりましたK2000のフライトは、予定を変更し、十五時十分に離陸を予定しております。お急ぎの所、大変ご迷惑を……」

 夢から覚めたみたいに、人々は空を見上げていた視線を落とした。

 佳乃子は、撮った写真をスクロールしながら、スーツケースの取ってを引き出した。カチャリ、と小気味いい音がする。

「後で見せてくれよ、撮り忘れた」

「始まる前に一番いい写真が取れちゃった」

 亮介と佳乃子は、それぞれ右手と左手をぐっと引っ張られた。大河だ。

「早く行こうよ」

 大河の瞳に、もう不安の色は浮かんでいなかった。好奇心の光は虹よりもずっと眩しい。飛行機が墜落する怖い想像は、空飛ぶクジラの圧倒的な光景で塗りつぶされてしまった。

「さっきまであんなに嫌がってたじゃん」

 佳乃子と亮介は笑いながら、我先にと入り口に駆けていく大河の後に続いた。

 今回は、とても楽しい旅になるような気がした。

「天気の子」が楽しみすぎて、プロットを勝手に考えた。

<amazonの商品紹介より抜粋>

高校1年の夏、帆高(ほだか)は離島から家出し、東京にやってきた。連日降り続ける雨の中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は不思議な能力を持つ少女・陽菜(ひな)に出会う。「ねぇ、今から晴れるよ」。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――。天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語。

 

※「君の名は。」のネタバレありです。

 

 

時空を駆けて出会う話は枚挙に暇がありませんが、天気を変える話は珍しいなあと思います。

 

 

君の名は。」に搭載されたギミック

新しい物語は、過去作品の要素をばらばらにし、新しく組み替えることによって作られます。「君の名は。」にも、人気作品にあるギミックが満載されています。

 

・男女入れ替わり

・時間のずれ

タイムリープ

・隕石の落下

思い出せる限りで「君の名は。」のプロットも振り返ってみます。

 

 

君の名は。」のプロット振り返り

ざっくりしたプロットですが、瀧&三葉が、交互に役割を交代しながら物語が進んでいることに気が付きます。

 

三葉   (入れ替わりに戸惑う)

三葉&瀧 (入れ替わりに戸惑いつつ、メッセージをやりとり)

瀧    (三葉への電話が通じず、村の崩壊に気がつく)

三葉&瀧 (黄昏時に出会う)

三葉   (瀧から危機を知らされ、村を救う)

三葉&瀧 (社会人になって出会う)

 

二人がすれ違い、出会う物語

 

 

二人で世界を救う物語

 

の二つの物語が同時に展開されています。

 

男女が出会うためにはすれ違いが必要であり(時間のずれと入れ替わり)

世界の危機を救うために危険な事象が必要でした(隕石の襲来)

 

そういうわけで、「天気の子」も、同じ要素から構成されると思われます。

新海監督は「秒速5センチメートル」のことから男女の出会いが大好きです。

また「天気の子」の予告でには「天候の調和が狂っていく時代」とあり、乗り越えるべき危機の存在もそれとなく示唆されています。

そういうわけで、こういうプロットを仮定しても無理はないと思います。

 

プロット:「男女の出会いと別れ』および「危機からの脱出」

 

 

天気の子」で描かれるであろう男女のすれ違い

君の名は。」で二人の男女を隔てていたのは「入れ替わりの記憶喪失」と「時間のズレ」でした。両方とも、「現実には存在しないフィクションとしての力」です。ここからの類推で、こういう仮定を置きましょう。

 

『二人の男女は、「フィクションにしかない不思議な力」で引き裂かれる』

 

「フィクションにしかない力」は、予告から見る限り二つしかないので、こういう仮定を置きます。

 

別れの原因:天気を晴れにする力と天候の不調

 

 

「天気の子」で乗り越えるべきであろう世界の危機

君の名は。」で乗り越えるべき危機は、「隕石の襲来による村の崩壊・ヒロインの死」でした。

ここから類推して、こういう仮定を置きます。

 

危機:天候不調による世界の崩壊とヒロインの死

 

また、天気を題材にしていることから、エンディングのシーンには前向きになれる風景が描かれると考えるの自然だと思います。

 

エンディングは快晴のシーンになる

 

中盤のイメージは、エンディングの真逆でないといけません。

 

危機のシーンは暴風雨と雷雨になる

 

また、ヒロインは「天気を変える力」を持つという設定です。暴風雨が巻き起こるなら、それを消すのはヒロインの役目になります。

 

天候の悪化は女の子の不思議な力が解決する

 

 

まとめ

ひどい想像ですが、最後までお付き合い下さり恐縮です。もう少しで終わりです、

君の名は。」と新海監督の好み(私の妄想)と「天気の子」のあらすじからこんな仮定を置きました。

 

・プロット

 「男女の出会いと別れ』および「危機からの脱出」

 

・別れの原因

 「天気を晴れにする力と天候の不調」

 

・危機

 「天候の悪化による世界の崩壊とヒロインの死」

 

・その他

 危機のシーンは暴風雨と雷雨

 天候の悪化は女の子の不思議な力が解決する

 エンディングは快晴のシーンになる

 

そういうわけで、きっとこんなお話になると想像しています。

「男の子は天気を変える力を持つ女の子と仲良くなる。その後、世界は暴風雨・雷雨による危機に陥るが、ヒロインの力で解決する。その結果男女は引き裂かれる。ラストシーンには青空が広がる」

 

ここで言う「世界」は男の子の故郷の島かもしれません。女の子は天気の神様のような存在で「人ならざるものが人の姿を取り、人と恋に落ちる」のかもしれません。女の子は危機を回避する代償として死や別れを経験するのかも……

 

『男の子は自然豊かな島が嫌になって都会に出てきたものの、都会で出会った超自然の存在であるヒロインと天候不調を解決し、心の成長を遂げる。天気を操る力の代償として人の姿を失ったヒロイン思いながら故郷の島に変えると、そこには彼女の姿が……」とかどうでしょう?

 

「天候の調和が狂っていく世界」をしっかり作り込まないと、詳細を詰めるのは難しそうです。

 

ともかく……映画楽しみですね!

どれくらい当たるかなあ。

 

 

追記:天気を題材にした危機は、暴風雨以外にも色々あります。

天気を題材にした危機

地球温暖化

世界が海に沈む、伝染病の蔓延、砂漠化による食料危機……

 

②災害

大雨、洪水、土砂崩れ、台風、雷、津波地震

「天気の子」の予測映像では、雨の映像がたくさん使われていました、また、深海監督は雨粒がわりと好きなようです(ビニール傘についた雨粒を、「情報量多い」と言ったりしていますし、『言の葉の庭』は雨風景の中で展開される物語です)

 

③スタンド「ウェザーリポート」(ジョジョ五部)

サブリミナル効果とか出てくるかな……?

 

 

 

私の好きなツイッターイラスト垢

こんにちは。

 

私はツイッターで読書垢をやっています。最初は本の情報を集めるだけだったんですけれど、流れてくる可愛いイラストに釣られ、お絵かき垢も結構フォローしています。

 

私が個人的に眺めて楽しんでいるイラスト垢をご紹介します。自分で何か描けるっていいよね……

あまりお話したこともないので、敬意を持って距離を開ける意味で敬称略で行きたいと思います。

 

徳井木工

イラストレーター? 漫画家?。

高い画力で圧倒するというよりも、どきりとする台詞回しで見たものの想像力を掻き立てます。私は「結婚しよう」シリーズの続きを密かに待っています。長編漫画も読みたい。

 

 

皐月のこ

このイラストを見て胸を撃ち抜かれました。ハルへの愛がとどまることを知らないアカウントです。リボーンのキャラデザ好きだったな……途中から物凄いバトル漫画に変遷を遂げちゃったけど、初期は楽しく読めるコメディだったんですよ。

 

橋本ゆの

日常に潜む絶望をゆるやかに受容するOLの話。

「なんだこの人生」という決め台詞が印象的。可愛い絵柄で絶望を描くのは「少女週末旅行」に通じるものを感じます。ぎりぎりポジティブに踏みとどまるネガティブさ。そのバランス感覚。一読の価値有りと思います。

 

lxy

イラストに詳しくない私にも高い技術を感じさせます。あらゆるキャラを自分の個性でもって描き、そして安定的に可愛いと思わせてくれます。ほぼ毎日更新される絵がすごく楽しみ……ちょっと生きる希望にさえなるはず。これがプロの仕事か……

 

清順

これは本当に無料の漫画か?

人とポケモンが生き生きと描かれ、人間ドラマを繰り広げる「王者の祭典」は夢中になって読みました。ポケスペが好きな人はきっと好きなはず。続編も待ってます。

いろいろ言いたいことはありますけれど、「未来予知」を戦闘にうまく取り入れることに成功した唯一の漫画と私は睨んでいます。

 

ももせ

 「たまこまーけっと」への愛がとどまらないアカウント。「たまこラブストーリー」はど直球の恋愛アニメ映画の傑作です。日常に訪れる不可逆な変化を乗り越えるたまこの決意が素敵です。当然、その後の物語に関心を持つ人も少なくないはず…私もその一人です。

友人に賛同を得られず肩を落とす私が見つけたのがこのアカウント。そうか……この世界には同好の士がいるんだ……と一抹の希望が見えました。原作に描かれなかった幸福な未来を描く。もちたまよ永遠なれ。 

 

ツイッターは、自分の趣味が爆発しているアカウントがいっぱいあって楽しいです。私のメモも兼ねて、時折更新できたらと思います。

最高の小説はどれだ?

 

はじめに

本を読むきっかけは中学生のころ(具体的には忘れた……)。確か弟の部屋から発見した「涼宮ハルヒの憂鬱」と、「さみしさの周波数」あたりのライトノベルがきっかけだったと記憶しています。それまでも、ハリーポッターバーティミアスなんかも読んできました。

「文学!」というより、ポップで楽しめるエンタメ作品が好きです。小説書きたい、ということをぼんやりと考えてはいましたが文章の書き方がよくわからず、とにかくいろいろ手を出そうと作者やジャンルもあまり偏りなく、わりに幅広めに読んできたつもりです(見直すと結構趣味が出てる)。

高校三年生くらいからは、「こころ」とか「人間失格」とか文学っぽいものに入り、大学生になってからは「ティファニーで朝食を」とか「グレート・ギャツビー」だとかの海外文学に手を出し、大学三年生からは、理化学書心理学書、経済医療、後は卒業研究に関わる学術論文、ビジネス書が入るようになりました。

読むことと物語を楽しむきっかけになったのは、お硬い文学よりも楽しいエンタメ小説でした。そういうわけで、私の振り返り、それと私の人柄を読み取ってもらう材料として、読んで面白かった小説を一挙紹介しようと思います。

 

次の一冊にぜひ。教養というより楽しみのためのポップな小説が中心です。

 

 

1「GOTH 僕の章 夜の章」乙一

薄い文庫本なのになぜか上下巻セットになっている本作。

売り方には文句ありますが内容は素晴らしい。中学時代の私はこの本を読んで乙一の虜になりました。

魅力的で特異な「僕」と「夜」というキャラクターを軸にしたライトミステリです。

ライト、というのは内容というよりも単純に話が短いということで、内容はそこらの長いだけのミステリの二百倍は充実しています。長編ミステリの一本より遥かに破壊力のある短編が収められた短編集。ミステリ小説大賞も取っています。

 

2「失踪Holiday」 乙一

乙一ひいきが続きますがご容赦を。

「GOTH」は人が痛い目にあったり死んだりする怖い話ですが、この話は別。優しさと美しさ、そして構成の妙が冴え渡る、これもまた短編集です。

表題作はもちろんですが、同録の「しあわせは子猫のかたち」は大物ミステリ作家がひと目もはばからず泣いたという悪れた傑作です。 

 

3「失はれる物語」 乙一

こちらも「失踪Holiday」と同系列の優しいほうの短編集。

こっちのほうがたくさん短編が入っているのでおすすめ。私のお気に入りは「手を握る泥棒の物語」です。この頃の乙一は最高に冴え渡っています。 

 

4「吉祥寺の朝比奈くん」  永田永一

大学生協で手に取り、「なんかこの人。乙一っぽいな。しかも滅茶苦茶面白いし」と思って迷わず購入した本。実は乙一本人で、永田永一という変名を使っていたことをこの本で初めて知りました。いい作家だし、滅茶苦茶面白い話を書く人なんですけど、なんかこういうとこどうなん。まあそれでも好きなんですけど。小説界のトガシなのかもしれません。

 

5「太陽の塔」 森見 登美彦

高校生のときに爆笑しながら読んだ本。ここまで笑えるファンタジー小説はなかなかないと思います。「夜は短し」がとても有名になりましたが、森見登美彦の原点はここなると思います。私はとしては、夜は短しよりこっちが好きです。

ファンタジーノベル大賞受賞作、森見登美彦のデビュー作です。 

 

 

6「夜は短し歩けよ乙女」森見 登美彦

言わずとしれた有名小説。映画にもなりました。森見登美彦出世作。どこかとぼけた登場人物が愛おしい。あまりに有名なのであえて解説はしません。 

 

7「君の話」三秋 縋

インターネットで「げんふうけい」名で創作SSを上げていた著者ですが、この話で山本周五郎賞の候補になりました。着実にキャリアを積んでいる作家で、今すごく注目してます。

ちょっと中二病風味、かわいそうな男と女が悲劇を乗り越える(乗り越えられない)という感じの話。かわいい女の子とこじらせた男の組み合わせが大好物の私としてはおすすめするに外せない小説です。

 

8「二十世紀電気目録」 結城 弘

珍しい「京都アニメーション小説大賞」から出た作品。ポップなイラストもそうですが、アニメを意識したキャラクター作りは魅力的で、ずっと読んでこの世界に浸っていたいと思わせてくれる作品です。内容をざっくり言いますと、「神を信じる素直な少女」と「エジソンを信奉する科学少年」の恋愛、逃避行もの。少年少女の対立、大人と子供の対立、本音と建前の対立……ドラマ展開も練りに練られていて飽きさせません。これは自慢ですが、監督と著者のサインをもらいました。

京都アニメーションは素晴らしい会社です。全世界のファンが復活を待っていますし、私もそうです。

 

9「ティファニーで朝食をカポーティ

大学生の頃、英語の勉強をしようと手に取ったもの原文テキストが全然読めず、日本語版を読んだらドハマリした本作。話としましては「死ぬほど魅力的な女優崩れのヒロイン」にみんなメロメロになる話です。「ロリータ」とか「痴人の愛」あたりと同じですが、こっちはもっとスタイリッシュな感じがします。

テーマとしても深く、「ティファニーのように安心できる場所」を求めていつまでもたどり着けないホリーは、現代の青い鳥症候群を象徴しているように私には見えました。きらびやかながら悲しい話です。 

 

10「ライ麦畑で捕まえて」 サリンジャー

「天気の子」では村上春樹訳がこっそりと場面に写ってましたね。世の中に持っていた思秋期の少年のとげとげした感じが心に迫ります。学生の頃に読んで共感し、おとなになって読んで懐かしく、愚かな主人公を愛しく思う。世代を超えて読み継がれる名作だと思います。 

 

11「夜のピクニック」 恩田 陸

「目的地を目指してただ歩く」だけの小説。小説の中で主人公が言及していますが「なぜ歩くだけのことだこんなにも特別なんだろう?」読み終えた読者は誰もがそんな感慨を抱くはず。

蜜蜂と遠雷」で一大ムーブメントを起こした著者ですが、もう十年以上前にもこんな素晴らしい作品を発表しています。青春群像とミステリ。一回も本編に姿をあわらさないくせに、一番物語に絡んでくる杏奈のことが私は一番気に入っています。

「ただ歩くだけ?」いやいや、そこには色んな人の思いとか願いとかがだね……とか無粋なことはいいません。読みましょう。 

 

12「涼宮ハルヒの消失」 谷川 流

 中学生のころ、弟の部屋になぜかあったのを手にとってガチハマりした最初のライトノベル。時間遡行ものでびっくりしたのはこの本が初めてです。シリーズものの第四巻。

長門さんとか朝比奈さんとか小泉くんとか涼宮さんとか、魅力的なキャラクターが部活でバタバタするコメディの元祖といったところ。大人になって楽しむのはちょっとむずかしいかも……

一番はやはり四巻の「涼宮ハルヒの消失」。この一冊は単独で映画にもなりました。七夕、ジョン・スミス、SOS団……過去改変のループってどうなってるんですかね? みたいなこともありますけれど、私にとっては伝説の一冊です。 

 

13「遠回りする雛」 米澤 穂信

皆様御存知、「古典部」シリーズ。その第四巻にあたる連作短編集です。古典部シリーズは どのキャラクターも好きで愛着を持って読んでいますが、私の独断と偏見により、ミステリーは長編でなく短編集のほうが評価が高くなります。ポー方式です。

中でも「心当たりのあるもは」は短くキレあり、過去作品へのリスペクトもある良作。きっとお気に入りの一編が見つかる短編集です。 

 

14「猫の地球儀」 秋山 瑞人

 ライトノベル会で最も高い文章力を持つと言われる秋山瑞人SF小説。「イリヤの空、UFOの夏」が有名ですが、私はこちらのほうが好みです。

ライトノベルとは思えない重厚な設定と、少年の熱い心に訴えかける迫力ある戦闘シーンが魅力。子どもから大人まで幅広く読み継がれる名作。一度、なかなか書店で見かけることがなかった時期があったようですが、今では電子版が復刻しており手に入り安くなっています。

高校生のころに紹介されて、初めて手に取ったは社会人になって三年目くらいでした。

表紙の女の子(クリスマス)の正体には、美少女ラノベを期待した読者は度肝を抜かれると思います。

 

 

15「1984年」オーウェル

言わずと知れたSFの名作。二十世紀最高の百冊にも選ばれた作品です。

管理社会、思想統制的な政権が出てくると必ず引き合いに出され「1984年の世界だ!」と言われる本でもあり、読んでみるとその意味が理解できます。

徹底的に思想を統制され、眠っている間にも反政府思想をモニター越しに監視され、異分子は誰にも知られることなく速やかに排除される世界。かの有名なビクトール・フランクルは、「人間の心の自由だけは誰にも奪うことが出来ない」と言いました。私もずっとそう思っているのですが、その心の自由さえ奪われた人間が最後にどうなってしまうのか。

そこらのホラー小説の100倍は怖いSF小説。教養としても娯楽としても読める凄い一冊です。 

 

16「パーフェクトフレンド」 野崎まど

鬼才、野崎まどの「2」シリーズの一冊。「アムリタ」「パーフェクトフレンド」「舞面真のお面の少女」「死なない生徒殺人事件」とありますが、私の一番のおすすめはこれ「パーフェクトフレンド」です。

話の内容は「天才が故に授業に来る意味がないと言って学校に来ないクラスメートを学校にこさせるようにする話」にです。ジャンルとしてはミステリーになるんでしょうが……分類が難しい。

疾走感のある軽い文体と、アニメチックで可愛らしいキャラクターたちが繰り広げるミステリー、青春、SF、ファンタジーごった煮のストーリー展開に引き込まれ、気がついているうちには読み終わっている楽しい小説です。

気負わず読めて夢中になれる、そこまで分厚くない楽しいエンタメ小説です。野崎まどは鬼才だ……! と思って私がファンになったきっかけの一冊です。 

 

17「狼王ロボ」 シートン

ラノベ中心から児童文学に一気に気色が変わりますが。

子どものころには一度読んだかもしれない「シートン動物記」。シートンの動物観察記録を継ぎ接ぎし、フィクションとして仕立てあげた動物文学の名著です。

短編集になっていますが、まだ読んだことのない人には絶対に読んでほしいのが「狼王ロボ」。古い時代のアメリカ、家畜を殺して回る大きくて老獪な狼「ロボ」とその駆除を依頼されたシートンの戦いを描いたノンフィクション寄りのフィクションです。

シートンは様々な策を巡らせて狼を捉えようとしますが、狼は地面に埋めた罠を避け、毒入りの餌には尿をかけてシートンを挑発し、工作には全くひっかかりません。そこでシートンの取った行動は、かのロボが大切にしている配偶者を先に罠にかけて動揺を誘うという作戦で……

この話の面白さは、私達が思っているよりも動物はずっと賢く、感情豊かな生き物だということです。敵対していたはずの人間と狼が、ちょっとずつお互いのことを理解していくように見えるのが奇妙な読後感を残します。

私はこの話を読んで狼がとても好きになりました。社会人になってから読んだ比較的対象年齢浅めと思われる本たちの一冊。ですがこの奥深さよ……

 

18「ハリーポッターとアズカバンの囚人」 ローリング

誰もが知っている、説明不要の超大作。それなのにここに載せたのは、絶対に読んで後悔しない最高の小説に間違いないからです。

全7巻ありありますが、私が一番好きなのはこの一冊。時間の巻き戻しに、誰から送られたのかわからない最高級の魔法の箒、長生きするネズミの謎、アズカバンから脱走しハリーの命を狙うとされる囚人の正体とは……?

スリリングな展開に、全巻からの伏線回収、ハリーの生い立ちが更にちょっとだけわかり、クリスマスチックな幸福なサプライズもある盛りだくさんの一冊。私はこの一冊だけ読んでも後悔しないと思っています。 

 

19「スタンド・バイ・ミー」 キング

名作映画として何度も取り上げられる「スタンド・バイ・ミー」の原作。現スタンド・バイ・ミーを名乗る楽曲やフィクションが数多制作され発表される昨今ですが、 その源流にいるのがこの一冊です。

内容は「少年たちが電車に引かれた少年の死体を探して有名になろうとする」、少年たちの冒険譚です。

長い道のりを語らいだながら歩く(「夜のピクニック」もそうですね)うちに、お互いの絆を深め、ゴールにたどり着いたときには、出発する前とは全く違った自分になっている。私がいつか書きたい「皆で歩く」系小説の元祖。高校生の時には少年たちの冒険に心を踊らせ、大学生になってから人生の重みに思いを馳せ、社会人になってからはこれからの未来と過去を俯瞰して深い感銘を受ける。誰もが、いくつになっても、何度でも読み返して違った感動を得られる名作です。死ぬまで持っておく「殿堂入りの一冊」の候補にぜひ。 

  

20「ゴールデンボーイ」 キング

スタンド・バイ・ミー」と同じ「恐怖の四季」シリーズの二冊め。「ゴールデンボーイ」と「刑務所のリタ・ヘイワーズ」を収録。ホラーの大作家と言われるキングですが、ホラーより一般小説のほうが面白いと言われてしまう理由はきっとこの本にあります。

「刑務所のリタ・ヘイワーズ」は、冤罪の男が刑務所の中で希望を失わずに自分の意思を実行にいつしていく感動の話です。これは、あの有名な映画「ショーシャンクの空に」の原作です。

「希望はいいものだ」というメッセージが物語を締めるためのご都合主義的な主張に終わらない小説はこの一冊だけです。 

 

21「グリーンマイル」キング

高校一年生のころ、ちょっとイケてるクラスメートが「これめっちゃ感動する」と渡してくれた本。めっちゃ感動しました。

傷を治す事のできる不思議な力を持つ大男コーフィ。無口だが優しい男が、なぜ双子の子どもを殺した罪で刑務所に服役することになったのか?

怖いけれど優しい、不思議な力に満ちた小説です。悪いヤツばかりでてくるのに、死刑囚コーフィだけがあまりにも聖人に見えすぎて辛いという小説。乙一の「KIDS」とかはこのあたりの影響を受けてそうと勝手に考えている。

金ローでもやってるそうですね(実は見たことがない)。

 

 

22「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」 桜庭一樹

痛切な痛みと必死さに満ちた少女小説

奇妙な読み味と不思議な疾走感で最後まで読み手を飽きさせません。それに大変薄くてですね……読書初心者の私にはぴったりでした。

転校生の「海野藻屑」は、タレントを父に持つ美少女。一人称が「僕」で、自分は人魚なんだと自称するおかしな転校生と仲良くなってしまった主人公は、彼女の秘密を知っていき――

登場人物の誰もかれもが何かをこじらせており、青春時代のぐちゃぐちゃをそのまま文字に落とし込んだような奇妙なストーリーは他に類を見ません。 

 

23「荒野」 桜庭一樹

ビルドゥングスロマン」という用語の意味を私はこの小説で初めて知りました。一人の人間の成長をそのまま描いていく小説のことを言います。

主人公「荒野」の12歳から16歳までの成長を描いた少女の成長物語。個性的な家族、友人、そして恋愛。普遍的な人生のイベントを「荒野」という少女にたくして描いた作品です。

「砂糖菓子の――」は青春の一番劇的な瞬間を切り取った小説ですが、こちらはもっと長いスパンで見て「人生の一部」をざっくり切り取った小説。

私の個人的なあれですが、友人関係に悩み恋にためらう素直な荒野が大変いじらしく可愛いというのが私のおすすめポイントです。

 

24「君の膵臓をたべたい」 住野よる

アニメにも実写映画にも漫画にもなった超話題作。「君の膵臓を食べたい」

ここ数年の間で、百万部を超えた小説は多分この一冊だけではないでしょうか。しかも、権威ある賞でなくウェブ出身。文芸というのは、立場や権威を吹き飛ばすほどの力を秘めた分野だと痛感します。

内容。死にゆくヒロインについての話はとてもたくさんありますが、恋とも友情ともしれない、この二人の間に横たわる不思議な絆に引かれます。友情や恋愛といった枠組みから少しだけ離れたところで、新しい価値観も少しだけ提示していると感じます。

が、この小説の面白さは考察とかテーマでなく、キャラクターにあります。登場人物が好きになれ、読み終わるのが寂しい、そんな小説です。

皆魅力的ですけれど、ヒロインの桜良がとても変だけどとても可愛い。

ストーリーは多少ありきたりですが、作者のキャラクターへの愛と言いますか思い入れといいますか、そういうものがぎゅっと詰まっています。キャラクターと友達になって架空の世界を楽しむという意味で、最高のキャラクター小説だと私は思っています。 

  

25「カラフル」 森 絵都

「もう一度生き返ってやり直す権利を与えよう。ただし、赤の他人の体で自分の罪を思い出せたら」と、記憶を失ったまま現世に送り返された高校生の話。

生き返った先は知らない誰かの体。ろくでもない家族に悲惨な友人関係。果たして主人公は、天使の言う「ホームステイ」により生前の過ちを思い出し、生き返ることができるのか。

絶望的な現在をコミカルな筆致で描く作品です。

森絵都の作品は、軽い調子でさくさく読めるのに、大人の心にずしんとくる重厚なテーマを最後に突きつけてくるところが魅力です。本作は児童書という扱いですが、子供だけでなく、大人でも確実に楽しめる凄い作品に仕上がっています。

家族全員が読んで誰もが感動して感想を言い合えるような、幅広い世代に支持される作品です。

 

26「風に舞い上がるビニールシート」 森 絵都

森絵都直木賞受賞作。カラフルは高校生の話ですが、今作は大人の話。結婚と仕事の選択を迫られる有名パティシエの補助員、保護犬のボランテイアをする主婦、ベテラン会社員と若手社員の確執、海外支援部隊で夫を亡くした妻……様々な境遇の人々の心の葛藤を描いた美しい短篇集です。

私はミステリー短編を好んで読んできました。しかしこの作品には、あっと驚くような仕掛けはなく、人間関係や日常を描写を中心に物語が進んでいきます。

けれどそこには、身の覚えのある感情であったり、自分の知らない葛藤であったり、人々の心の動きが克明に描かれていて、気が付かないうちに物語に飲み込まれます。力のある小説です。

小説は「感情をハックする」道具だと私は思っています。その人の感動をハックする力が滅茶苦茶高い小説です。

  

27「アルジャーノンに花束を」 ダニエル キイス

このブログでも何回も書いてる……チャーリイがホスピス自閉症患者と対面するシーンとか、最後のパン屋のシーンとかで泣きそうになった小説。泣けます。そしてSFの傑作とも名高い本です。

知能障害患者の手記という形で始まる作品なので、最初はかなり面食らうと思いますが、知能手術を受けてちょっとずつ文章が整い、日記がどんどん高度担っていく様は読んでいて楽しいです。そして、手術には欠陥があってチャーリイの頭脳もいつかは……

記憶や人格を失う小説は常に悲しいですが、この本を超える悲しい小説は未だにないと思います。それにしても、読者は悲しいのに主人公は幸福になっている小説ってこの本くらいじゃないかなと思っています。

 

 

28「我らが隣人の犯罪」 宮部みゆき

長編ミステリーの印象が強い作者ですが、初期は歴史もの・ミステリー含め短編が多めです。私は、最近のよりも初期のほうが好きだったりします。

宮部みゆきのデビュー作。 舞台となっている時代は少々古いですが、物語の展開とひねりを利かせた短編群は全て独特の驚きと読み味を持っています。大変切れのあるミステリ連作短編集です。凄く出来がいいのか、評判がいいのか、いつのまにか表紙が刷新されているようです。

 

終わりに

社会人になって四年目、小説を読む量が抜群に少なくなっている……上に紹介したものも、大学三年生くらいまでに読んだものが主です(四年生からは研究室生活ですでに余裕を失っていました……)。

最近はゆとりも出てきまして、過去の本を思い出しつつ、新しく読んだ小説も追加していこうかなあと思っています。でも最近も心理学書とか古典文学とか、高尚ぶってるような本ばっかり読んでる……

ともかく、どれか一つでも気に入っていただける本がありますと、選者としましては大変光栄の至りです。

ぜひ次に読む一冊にお役立てください。