狐の嫁入り

小説創作ブログ! のつもりでしたが、なんかだいぶ違う気がします……

キツネ村への最適なアクセス方法を考えたい

こんにちは、ミズノです。

 

 今年2018年5月のGW、私はキツネのモフモフを写真に収めるために宮城県まで出かけました。

 

 ↓詳細はこちら。

youmizuno.hatenablog.com

 

当初は公共交通機関で行くつもりだったのですが、友人に

車中泊でいけばいい」

という素敵な提案を受けそれに乗っかることにしました。

 

浜松→宮城までは約600km

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往復で1200km。普通なら車で行く距離ではありません。

一往復には10時間程度かかり、ずっと座っていたにも関わらず、目的地に到着した時には、まるで長距離のマラソンを走り切った時のような謎の達成感がありました。道中ではさまざまな思いが心中に去来し、ただ安全に目的地にたどり着こうという謎の執念のみが私を突き動かしました。その間、いろいろと思うことがあったので、備忘録兼ねて書いていこうと思います。

 

静岡県は死ぬほど横に長い

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ルートは、静岡→神奈川→東京→埼玉→群馬→栃木→宮城(ゴール)

と7県をまたいていますが、その全行程の1/3を静岡が占めているのです。

「ここどこだ? 富士? そろそろ神奈川やろ?」

と、思ってからの静岡が死ぬほど長かったです。心が折れかけた最初の難関です。

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朦朧とする意識の中で撮影した富士川ICからの夜景はブレブレでした。

 

Amazon Musicは心強い味方

Amazon Music

Amazon Music

 

露骨な誘導が始まったと思われる向きもあるかもしれませんが、これは私の感じた率直な思いであります。スマートフォンと車のスピーカーを接続して、Alexaにリクエストを出すと。いろいろと勝手に流してくれます。

ジュディマリとか、ユニゾンスクエアガーデンとか。

なぜか今更ドはマリした「けいおん!」のマイナー曲を死ぬほどリフレインしていました。

「冬の日」とか、「Our Magic」とか、「Unmei wa Endless」とか、「いちばんいっぱい」とか、「Girls in Wonderland」とかいいよね! 

すさんだ心にはまっすぐで純粋な歌詞が良く響くようです。

 

③新幹線のほうが安かった?

 

◎普通車での往復金額

・高速代12,830円×2 (ETC無いので通常料金……)

・ガソリン代 5600×2 (15km/Lと過程)

・・・総計 36,860円

 

◎新幹線での往復金額

・新幹線16,730円×2

・タクシー代 3500円   (白石蔵王⇔キツネ村)片道15km

・・・総計40,460円

 

4,000円ほど車のほうが安かったようです。

ただし、所要時間が全然違います。

 

◎所要時間

・車…10時間

・電車…4時間

当然二倍以上違いますので、着いてからの疲労感がまるで違います。さらに、

 

◎その他雑費

往復1200km走った後、車のタイヤはボロボロで、交換をしています。

・16,000円×4 = 72,000円

これを車の維持費に含めるか、それとも旅にかかった費用に含めるかで計算がかなり変わってきますが……私の車の走行距離は30,000kmくらい(中古のデミオです)なので、÷30すればいいでしょうか。

・72,000÷30=2400円

 

◎まとめ

・差額は1600円車のほうが安い (ETCをつければ5000円くらい安くなる)

・時間は6時間電車のほうが早い

運転に要した労力も含めると、観光目的でかつ一人で行くのであれば、新幹線が一番よさそうです。社会人にとっての1600円~5000円はほぼ誤差。

ただし、車のメリットはそこではありません。複数人で行けば、乗せれば乗せただけ費用と労力を分担できます。片や電車は、人が増えれば増えるほど総額が増えます。

 

◎結論

・キツネ村への最適なアクセス方法は新幹線とタクシーです!

今回のケースでは、いろいろな意味で、新幹線のほうが安かったと結論します。

 

 

④それでも得たことはある

・ひどいネタを手に入れました。

・運転技術は確実に向上しました

・次からは迷いなく新幹線を使えます

・友人を集めて長距離ドライブする輩がたくさんいる理由が明確になりました(単純に安い&道中楽しい)

 

以上、ざざっと思ったところを書いていきました。

非常にしんどい経験でしたが、死ぬほど記憶に残る旅となりました。バイク乗りの友人も「地獄のツーリング」ほど記憶に残ると言っていました。それが身に染みてよくわかった次第です。

 

いろいろ細かい部分をすっ飛ばして結論だけ書くならば、私の気づいたことはこういうことです。

・一人旅なら電車がいい 

・複数人なら車がいい

 

当たり前すぎる結論かもですが、身に染みてよくよくわかりました……

多分友人の「車中泊で行け」っていうのは、そのまま受け取ってはいけない言葉だったんだと思います。彼はきっとこう言っていたんです。

「(何人か友達を誘って)車中泊で行け」

と。

その彼は、長期休暇のたびに、複数人で長距離旅行に出かけている人です。なので、新幹線を使う理由がわからなかったのです。

そういうことに、数日間の独走の果てにやっと気づきましたとさ。

 

終わりです。

 

湊かなえ「未来」は、作者の気迫に圧倒されるもの凄い小説だ

こんばんは、ミズノです。

 

先月は芥川賞直木賞の発表でしたね(遅い)。私が浜松に移住してきて二年目、恩田陸の「蜜蜂と遠雷」が直木賞本屋大賞を同時受賞しました。浜松ピアノコンクールを題材に取った小説ということで購入したのですが、候補作が選ばれる前に購入していたということが、私の中のささやかすぎる自慢の一つです。

湊かなえ「未来」も、私のささやかすぎる自慢の二つめになるかなあとか思っていましたがなかなかそうはうまくいかないようです。が、本作は非常に力のこもった力作で、非常に読み応えのある本でした。

未来

未来

 

内容と全然関係ないあれですけど、装丁が素敵ですね!

 

①私の湊かなえ暦 

実は私、湊かなえの作品はこれが初です……率直に言えば買えば本人に会えると宣伝されていたので、それで買いました。握手商法です。

内容は噂の通りでした。

イヤミスの女王」の名の通り、自分勝手な大人が子供や善良な人たちを傷つけていく展開が延々と続きます。いじめ、虐待、家庭内暴力、放火、売春……人の心を深くえぐるエグい展開が、大人子ども関係なく容赦なく降りかかります。それなのにページをめくる手を止めさせず、この私をして一晩で一気に読み切らせてしまう筆力。

ああ、こういうことか……と深く納得しました。

 

②未来からの手紙

そんな鬱々した展開が続く中、暗闇の中に差し込む光のように、作中のあちこちに現れるのが「未来の私からの手紙」です。ひどい目にばかり合う小学四年生の主人公(とその友人)に、二十年後の自分から手紙が届きます。その手紙はポストに投函されており、そこには、二十年後の二人は幸せに生きている、だから力強く生きろ! みたいなことが、優しく成熟した大人の筆致で描かれているのです。

賢い二人は悪戯を疑うのですが、未来から送られてきた証拠として「ドリームランドの開園三十周年記念グッズ」が同封されており、これは物語のメインとなる年には絶対に手に入りえないものです。二人は疑いつつも、心のどこかで幸せな未来を信じることになります。

タイトルにもある通り、この手紙は、希望のない世界で主人公たちを応援してくれる唯一の救いです。「イヤミスの女王」として知られる湊かなえですが、本作で新しい境地を開いたと宣伝される一番の理由はこの設定にあります。二人は疑いながらも、最後の最後までこの手紙を手放そうとはしません。人は希望や幸福を素直に信じられないものですが、いくら否定していたところで、どうしてもそれを信じてしまいたくなってしまう生き物のようです。

 

③ だが、カラクリを想像するのは容易

本作はSFやミステリーではないので、不可思議な力が物語を動かしたりはしません。では、未来からの手紙は? 今の時代では絶対に手に入らないはずの記念グッズは? 私は見抜けませんでしたが、勘のいいひとなら結構あっさりわかってしまうかもです。

 

④本作の魅力

エグいけれどどうしてもページを繰る手の止まらない怒涛の展開に、未来から手紙という道具を配置することで、タイトルの通り「未来への希望」も感じさせる、ちょっとだけいい読後感になっているところです。それが話の構成的なところ。それ以外はというと、なにより、

 

書き手のとんでもない気迫を感じる筆致。

 

に尽きると思います。

ホテルにこもって一気に書き上げたという本作。その時の勢いが読んでいるこちらまで力強く伝わってくるものすごい作品でした。

……作者本人は「最後まで読んでもらえるか不安だった」とのことですが、いえいえ! 最後までわくわくしながら読ませていただきました!

 

私は、無駄な設定なく綺麗に落ちる短編が大好物だったので、これでもかとばかりに濃密な描写や衝撃的なエピソードを配置する小説はあまり好んで来ませんでした。

宮部みゆきは読んでいましたが、生々しい描写よりも話構成のわかりやすさにひかれていた部分があります。

以前記事に書いた「歪んだ波紋」もディテールをしっかり描いた「大人の」小説です。私は今まで、きれいな世界がきれいに描かれたものばかりを好んでいたようです。

 

これからはもうちょっと「大人」の小説にいろいろ手を出していこうかなあ……とか思ったりします。

でも、この記事を書く直前の私は、久しぶりに読んだ「古典部シリーズ」で、折木と千反田の会話が楽しい……とか思っていました。ライトミステリ・ライト文芸最高……

 

……両方楽しめるようになれたらいいなと、苦し紛れにそう結論しておこうと思います。

 

今更ですが、サイン会に行って握手とサインをもらいました(……現物の写真がない……)。その時に一個衝撃を受けたのが作者の人柄です。

私はどんなこわもての人かとある種の期待のようなものさえ持っていたのですが、予想は見事に裏切られました。

本人は、粗品を用意してくれたり、待っている間の読み物を用意してくださったり、作風の感じを想像していると衝撃を受けるほど、穏やかで優しいな方でした……なんとツーショットもOKしてくれたという……

作風と作者の人柄は、実は相互に補完するような対照的なものにあるんじゃないか? とか、勝手に考えたりしている次第です。

「ロウソクの科学」だけじゃない。最高の科学書たちを紹介します

ノーベル化学賞のニュースで、「ロウソクの化学」がにわかに脚光を浴びています。

 

www.fnn.jp

 

数式を使わずに科学的な知見を楽しく教えてくれる本はたくさんあります。

秋の夜長の読書には、小説に加えて科学読み物なんていかがですか? 

 

 

雪は天からの手紙

雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)

雪は天からの手紙―中谷宇吉郎エッセイ集 (岩波少年文庫)

 

私のイチ推し。

世界で初めて人工雪の生成に成功した著者のエッセイ。「雪は天からの手紙」という表現が素敵です。優れた科学書は、わかりやすくて面白いんだ、ということが凄くわかる本です。 

ロウソクの科学よりも私としてはこっちのほうがおすすめだったり。

 

ロウソクの科学

ロウソクの科学 (角川文庫)

ロウソクの科学 (角川文庫)

 

今、日本で最も有名な科学入門書となった今作。

著者は、理系学生ならきっと聞いたことはある「ファラデー定数」のファラデーです。ロウソクの溶ける様から宇宙を支配する法則を導き出す。これは科学者の目か……と身の回りにある自然現象に興味がわくきっかけになります。この本がノーベル賞化学者誕生のきっかけになったのだとしたら感慨深いです。

紹介しておきながら、実は立ち読みで最初のほうをちょろっと読んだだけなので…これを機会に読もうかなあなんて

 

思考する機械コンピュータ

文庫 思考する機械コンピュータ (草思社文庫)

文庫 思考する機械コンピュータ (草思社文庫)

 

コンピュータの動作の一番根本の原理を知りたいと購入した本。

根っこのところは凄く単純な仕組みで動いていることがわかります。2000年以前の本ですが、機械学習やAIについても言及されています。

機械学習やAIは何かと関連書籍が出ていますが、コンピュータの基礎原理と絡めて説明してくれている本はなかなかありません。この本を知れて良かった、と私は強く感じています。

 

 相対性理論」を楽しむ本

難しいものの代表格とされる「相対性理論」を語る大変ライトな本です。

理論の概要を知るに十分なサイズと値段の本。

当時の私は、三平方の定理さえわかれば特殊相対性理論は理解できる、という事実に衝撃を受けました。

 

ファインマン物理学

ファインマン物理学〈1〉力学

ファインマン物理学〈1〉力学

 

本の難易度が急にランクアップしましたが。

私が大学一年生の時に読んでおくべきだったと激しく後悔している一冊です。 最小限の数式で、いろいろな概念が言葉でわかりやすく書かれています。物理学者の視点、というのが手に入る名著だと思っています。

タイトルは「力学」とありますが、電磁気や量子論やら原子論やら、関連ある学術分野まで含め横断的に解説してくれていて、ファインマンという学者の凄さが、それだけでもわかる本です。

 

影響力の武器

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

 

このあたりはちょっと自己啓発よりかな……

「セールスマンが物を売るには?」とか「なぜ私たちは望まないものを買ったり選んだりしてしまうのか?」「なぜそういう行動をとったのか」と、私たちの行動を陰で操っているいろいろな効果をまとめたものです。「人はなぜ動かされるか」を主眼に様々な研究結果を紹介し、詳しく解説してくれる優れた本です。

「ハロー効果」「返報性の原理」「フット・イン・ザ・ドア」あたりの用語にピンときた方にはきっとハマる本です。

 

利己的な遺伝子

利己的な遺伝子 <増補新装版>

利己的な遺伝子 <増補新装版>

 

なぜ親が子どもを守るか? なぜ群れの動物は仲間の動物を助けるか? ダーウィンの進化論では考えられなかった「なぜ、自分という個体にとっては損になるのに他人を助けるか」という疑問をうまく解説してくれる仮説。

利己的な遺伝子」説は、初めて読んだ時には衝撃でした。

行動の本質に迫る一番の本だと私は思っています。

 

サピエンス全史

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福

 

この本を読んで、震えました。なぜ憲法があるのか? なぜ国家があるのか? なぜ宗教があるのか? 今までもやっとしていた素朴な疑問に、衝撃的な解が与えられ、納得すると同時に怖くなったからです。

我々が当たり前だと思っている国家、貨幣、国、会社。社会的な構成要素はすべて、私たちがそうと認識できなければ存在できない、私たちの頭の中にあるものです。サルやイヌとった動物とヒトとの違いはいろいろあるかもしれませんが、巨大な文明を築くに至った「共同幻想」こそが、ヒトが文明を構築できた最も大きな違いと本書は主張します。

一方で、宗教の根幹となるあれこれと客観性を重視する科学の対立は、その共同幻想を打ち壊しかねないものです。そのあたりのすり合わせが、今後どうなるかちょっと怖くも興味深くあります。

なお、著者は続きを出しており、

youmizuno.hatenablog.com

タイトルからしてちょっと怖い本です。

 実は前の記事で紹介してました笑。「人は死を超越して神になる」みたいなことが本気で書いてあって震えます。

 

シートン動物誌

シートン動物誌〈2〉オオカミの騎士道

シートン動物誌〈2〉オオカミの騎士道

 

狼が好きだったので購入。私は(2)だけ買いました。野生のオオカミの生態が克明に記録された本。

動物wp観察する鋭い観察力、高い写生技術、科学的洞察力、そして、読む人の心に訴えかける文章力。シートンがいかに凄い人物だったかを実感しました。

 

鳥類学

鳥類学

鳥類学

 

「近年までの鳥類学的な研究をすべて一冊にまとめ上げた」ものすごい大作です。

分類、遺伝子系統、羽の生え方、くちばしの形、飛び方、獲物のの捉え方、繁殖……等々、あらゆる種類の鳥のあらゆる生活形態がこの一冊で網羅されています。超マニアックですが超内容の濃い本です。

私もまだ読み切れていないのですが、子どものころにこいつを見たら、きっとものすごい鳥マニアになっていたに違いありません。

しかも、これだけの超大作で約6000円! これまでの学術研究をまるっとまとめた本なんで、ほかの分野ではゆうに1万や2万はします。それに比べたら安すぎる!

鳥類研究所の人は素晴らしい本を出してくれています。

 

 

問題解決大全

 仕事セミナーなんかでコンサルの人が話すロジカルシンキング、KT法、特性要因図……「問題解決フレームワーク」と呼ばれるものを私は胡散臭いなと思っていました。どうしてかというと、誰がどういう目的で提唱した技法なのかが明示されていないからです。けれど、この本にはそう言った問題解決の考え方が、起源を遡ってその本質に迫れる形でまとめられています。

自然科学、というより人文科学という感じ。著者の読書猿さんは、私の最も尊敬する現代の読書家でもあります。ちょっと理系人っぽいところにも共感。

ハウツー本的な部分もありますが、各種法の歴史的経緯がきちんと残っている点が非常にいいなと思っていて、それゆえに私はこの本を科学書だ!と言い張っています。著者も人文科学書を目指して書いたと言っていますしまあいいでしょう。

 

以上、私のおすすめする科学読み物を紹介してきました。

この中から、何か面白いと思うものが見つかれば嬉しいです。

 

最高に面白いエンタメ小説決定戦!

高校の卒業式の日のことです。私は突然、皆がいる教室で、担任の先生に

「ミズノ、前に出てこい」

と言われました。特に何をした記憶もなかったのでどきどきしながら前に立つと、封筒に入った何かを手渡されました。先生からです。愛の告白? まさか。俺たちは男だぜ。それは、三年間の間に図書館で借りた本の記録でした。

「多読者賞」

学年で借りた冊数一番、ということで表彰を受けたのです。

小さな札が書かれたあの便せんは、今でも私の宝物です(実家のどこにしまったかな……?)

 

なんてという、ささやかすぎる自慢エピソードがあるくらい、高校生時代の私はそこそこ本好きでした。3年間で70冊くらいだったかな? そんな多くない気もしますが、私の高校では読書はあんまり流行っていなかったのです。

 

美しい思い出を語りすぎて失礼しました。ミズノです。

さて、Twitterの読書垢をがむしゃらにフォローしていたら、いろいろな人たちが自分の読んだ本の記録をTwitterに残しているのを見つけました。私も、自分の記憶が遥か彼方に消え去ってしまう前に、自分の好きだったものの総ざらいをしておきたい……ということで思いついたこの記事。未来の自分と、自分と趣味の合う読者に届くことを願い、思いつく限り、ばばばっと書いていこうと思います。

新しく読んだ奴はTwitterに上げてこうと思います。

 

ちなみに当時の私は、乙一宮部みゆき、スティーブンキングを三大神とあがめたてていました。

 

涼宮ハルヒの憂鬱 

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)

 

初めてラノベに出会ったのはこの本だったと記憶しています。ネット世界へ触れるのが私よりも早かった弟の本棚に置いてあったものを、勝手に借りていました。

主人公キョンの一人称視点に、ラフで崩れた文体、軽妙な語り口で自分の周りの出来事を語っていくラノベのスタイルは、当時の私には非常に新鮮に移りました。

変な部活を結成して仲間とわちゃわちゃする系小説の元祖ともいうべき本作。これにガチはまりしたのは、私の人生にとってプラスだったかマイナスだったか、判定に迷うところです。

キョンハルヒ長門、朝比奈さん、小泉、鶴屋さん……といった個性的な面々が織りなす物語は面白く、「自分もこんな奴らと一緒になって楽しく過ごしたい!」という気分にものすごくなったものです。「学校へ行こう!」シリーズもちょっと読みましたがそこまでハマらず……どうも、私はSOS団の面々が相当好きだったみたいです。

もう一度彼らの活躍を見たいところですが……最新刊はきっともう出ないんですよね?

 

 

乙一「GOTH」

GOTH 夜の章 (角川文庫)

GOTH 夜の章 (角川文庫)

 

ラノベと言えば電撃、ですが、当時の私はラノベと言えばスニーカー文庫だと思っていました。それは涼宮ハルヒの憂鬱のこともありますが、GOTHのせいでもあります。

乙一を知ったのは、十六歳でデビューした天才、という触れ込みをどこかで見たからで、当時、ぼんやりと小説を書きたいと思っていた自分は、そこから何か学べないかと思っていました。最初に手に取ったのは、「夏と花火と私の死体」。これが語り口も話の展開もオチも面白い。これをきっかけにハマり、次々に乙一を読破しました。その中でも最もお気に入りなのがこれです。

 

この本で初めて知ったのは、「叙述トリック」という技法の存在。今でも私の中では、ミステリー、と言われるとこの本が真っ先に頭に浮かびます。ミステリなんかは、全然読んでいなかったんですね。

「犬」「土」「声」など、読者のことをよくわかっていないとできないような仕掛けの数々に魅了されました。シンプルでわかりやすい文体、奇妙だけれど魅力的な二人の主人公。巧みなストーリー展開と畳み方。語り口がちょっと中二っぽいのも、高校生の頃の私にはかなりハマったようです。

が、その時には乙一は新刊を出しておらず、既刊を探して読む日々でした。その後、筆名を変えて著作を出していることを知ったのはそれから数年後、大学四年生の時、大学生協でたまたま手に取った「吉祥寺の朝比奈くん」がきっかけでした。なんかこの作風、乙一っぽいな……と思ったのです。

……しかしなぜこんな紛らわしいことをしたのかいまだに解せません。

 

 乙一「失はれる物語」

失はれる物語 (角川文庫)

失はれる物語 (角川文庫)

 

残酷な話も切ない話も書ける。GOTHとは対極に来る乙一の短編小説集の一つです。

GOTHであった巧みなストーリー展開はそのまま、題材は人の心の温かさや、別れ、出会いといった普遍的な感情を描きます。切ないのと残酷なのは、違っているようでいて実は近い感覚なのかもしれません。

手を握る泥棒の物語」や「しあわせは子猫のかたち」なんかがお気に入りです。

……知らないうちに表紙の絵が変わってて驚きました。 

 

乙一「さみしさの周波数」

「失はれる物語」と同じ雰囲気の切ない話が中心。最初の一篇「未来予報」は、タイトルの通り未来予知を題材にした快作です。甘くも切なく構成の妙も冴える、最高の短編の一つです。

ただ、短編集としては文句があって、4編中2編が「失はれる物語」に収録されているのがいかがなものか……乙一はかなり遅筆な作家だったなと強く感じます。

 

乙一「天帝妖狐」

天帝妖狐 (集英社文庫)

天帝妖狐 (集英社文庫)

 

乙一の紹介はこれでラスト。彼の第二作です。この小説を読んで乙一の才能を確信した方も多くいることでしょう。

トイレの落書きを題材にした「The Masked Ball」と、こっくりさんに体を奪われてしまった男の悲劇を描いた表題作「天帝妖狐」を収録しています。

ジャンルとしてはホラーに当たります。デビュー第一作がホラーということもあって、当初はそういう路線で新作を書いていたようです。

怖さと残酷さと切なさが共存する、乙一のエッセンスが詰まった短編集です。

 

宮部みゆきステップファザーステップ

ステップファザー・ステップ (講談社文庫)

ステップファザー・ステップ (講談社文庫)

 

乙一を読んで以来、ミステリーに関心を向け始めた私は別の作家を開拓し始めました。その結果行き当たったのがこの本です。

社会派ミステリーや時代物など、硬派な作品を多く描いているイメージのある宮部みゆきですが、それだけではありません。ライトタッチな楽しい短編も書けてしまうのです。なんでも書ける希代のストーリー作家というほかありません。なかなか分厚い本に手が出せなかった私にも、短編のミステリということで手が出しやすかったのです。

泥棒+大人よりずっと賢い双子、が織りなす事件の数々。この本のおかげで、ほかの超長編を読む下地ができたなあと思っています。それなりに賢いはずの泥棒を手玉に取っていく可愛らしい双子の言動の数々は必読。

一卵性双生児、のフレーズが今でも異様に頭の中に残っています。

 

 

宮部みゆき「本所深川ふしぎ草紙」

本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)

本所深川ふしぎ草紙 (新潮文庫)

 

宮辺みゆきの歴史もの。本当にこの人は何でも書けるんだなと舌を巻きます。歴史ミステリの連作短編集です。

私のお気に入りは最初に収録されている「片葉の葦」。身分違いのお嬢様に恋する男が、父親殺しの疑いをかけられたお嬢様の無実を信じてあれこれ頑張る話です。結ばれない恋の美しさよ……そういう話ではないんですけれど。

歴史人情物、ミステリー、さくっと読める長さ。歴史ものは、多数の人物が登場し大きな歴史のうねりの中で各々が各々の目的をもって進むため、長くて読むのが大変です。その後の私は司馬遼太郎の「燃える剣」に挑戦したのですが、ストーリーと直接関係ない描写が苦手で途中断念したのを覚えています。

その点、一話完結で切れのいい終わり方をする短編が収められたこの本は、誰にでもお勧めできる、歴史ミステリの入門のような本だなと思います。とても読者層の厚い本だと感じます。

……ちなみに、私は玄人ぶっている割に、入門以降のステップはあまり踏めていません。

 

宮辺みゆき「模倣犯

模倣犯〈下〉

模倣犯〈下〉

 

何でも書けるものすごい作家ですが、中でもこの本は宮部みゆきの真骨頂とも言うべき作品です。少女ばかりをターゲットにした劇場型犯罪。自らの快楽のために人を不幸に陥れていく真犯人の狂気にはホラー顔負けの恐怖を感じます。

何が真骨頂かと言いますと、犯罪者と被害者だけでなく、犯罪者の友人、被害者の家族……犯罪の周りにいるすべての人たちの恐怖や悲しみを、これでもかとばかりに克明に描いてくる点です。フィクションのはずなのに、まるでノンフィクションのよう。

ドラマ版のピース役には中居くんを当てているみたいですが、配役がハマりすぎててヤバいなと感じます。一見人あたりがいいようで見えて、どす黒い闇を抱えてそうな感じがぴったりです。天才的なキャストです。

他の作品もそうですが、宮部みゆき作品の悪役は「生まれつき根っからの悪」な人が多いですね。悪役にも泣かせるエピソードを付与してくるジャンプ方式(私が勝手にそう呼んでいる)とはだいぶ勝手が異なります。

単行本で上下二冊。しかも上下段印刷という超大作。当時の私はこいつを読んで、俺もこれで読書通だぜと謎の自信をつけたものです。

しかしアマゾンのクリック数少ないですね……

 

宮部みゆき火車

火車 (新潮文庫)

火車 (新潮文庫)

 

宮部みゆきの長編小説はいくつか読みました。上にあげた「模倣犯」。疑似家族の惨殺事件を描いた「理由」。超能力者を題材にした「龍は眠る」、犯人を追って登場人物が夜を駆けるサスペンス「スナーク狩り」。ですが、中でも一番印象に残っているのが、この「火車」です。クレジットカード破産を題材にしたこの小説、休職中の刑事が、あるきっかけからある女の人の行方を追っていく話です。

この小説に何よりも印象的なのがそのラストで……ネタバレになるから書けないのですが、こんな変わった企みに満ちた長編小説があるんだと驚いたものです。

ちなみに読み方は「ひぐるま」ではなく「かしゃ」なのでご注意を。

 

森見登美彦太陽の塔

【Amazon.co.jp限定】 太陽の塔 (特典:新潮文庫の100冊キュンタ 壁紙ダウンロード)

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「四畳半神話体系」「有頂天家族」「夜は短し歩けよ乙女」がアニメになり、最近では「ペンギンハイウェイ」もアニメ映画になりました。まさに今を時めく作家、森見登美彦のデビュー作です。

森見登美彦の小説はファンタジー色が強く、確かにアニメーションとの親和性めっちゃ高そうだなあとは思っています。

が、その中でもアニメーションとの親和性が微妙に悪そうなものがありますが、おそらくそれはこの、「太陽の塔」です。

滅茶苦茶笑った小説。私が森見登美彦を知った最初の一作でもあります。 モテない男が可憐な乙女を追い回す構図は「夜は短し」に通ずるものがあります。頭でっかちなくせにヘタレ、妙に文語的な語りをする頭のおかしい(いい意味で)「私」には、共感する部分もあり、ちょっと違和感を覚えるところもあり、愛しくもある。吹き出してしまうような言い回しが十ページに一回くらい出てきます。

「奇遇ですねえ!」

というのは、夜は短しのほうだったか太陽の塔だったか。頭はいいはずなのに妙に無防備な乙女も、またキャラが濃くて割と好きです。

個人事業主というのは誰もが各々の個性を持ったものと思いますが、中でも際立って独自の魅力を持った作家が森見登美彦です。本人のブログの文体も妙に文語めかしていて……あれは読者受けを狙ってキャラを作っているのかと思っていたんですけれど、実はあれが素だったりするのかもしれないなと最近は思い始めています。

 

 

スティーブン・キンググリーンマイル

高校一年生の時、乙一の小説を貸すのと引き換えに友人から借りた一冊。当時は、二分冊でなく、薄めの文庫本に六分冊しているのをひとつずつ借りました。

乙一信奉者だった私は、日常から乖離しすぎないちょっとだけ不思議な話が大好物だったので、当然スティーブンキングには一瞬でハマりました。

ジョン・コーフィという大柄の囚人が刑務所に連行されてくるところから物語はスタートします。けれど、その男は非常に穏やかで心優しく、とても少女を強姦の上殺したようには見えない――。グリーン・マイルというのは、処刑用の電気椅子に向かうまでの道のりを示す言葉で、当然、この小説の登場人物たちはほとんどみな、その道を歩き処刑される運命にあります。

囚人コーフィの慈愛に満ちた心が胸を打つ傑作です。

 

スティーブン・キングゴールデンボーイ

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

ゴールデンボーイ―恐怖の四季 春夏編 (新潮文庫)

 

キングの「恐怖の四季」シリーズ。表題作は、素直でまっすぐな少年が、元ナチスの老人に興味をもってしまったところから道を踏み外していってしまう話。学校の先生の疑惑を逃れようとするシーンは緊張の連続ですが、今思い返せばかなり笑えるところだった気もします。

表題作は「ゴールデンボーイ」とありますが、この作品集には、もうひとつ、死ぬほど有名な作品の原作が収められています。それは、

ショーシャンクの空に

です。

原作のタイトルは「刑務所のリタ・ヘイワーズ」。世の中には希望なんてないと悟る模範囚のレッドが語り部。そんなレッドのもとへある日、アンディ・デュフレーンという男が近づいてきます。彼は妻殺しの罪で服役されている男で、アンディに、ロックハンマーの調達を依頼します。訝しがりながらもレッドは承諾する。そこから二人はだんだんと友情を深めていき――

先の見えない刑務所生活の中で、一筋の希望をつかむために奮闘するアンディの姿には胸を打たれます

「希望はいいものだ」

という、ありきたりなメッセージが、これほど胸に迫る作品はこれまでに読んだことがありません。

 

映画も3周しました。

なんとプライムビデオでただで見られます! アマゾンの回し者感が半端ないですね

 

スティーブン・キングスタンド・バイ・ミー

スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

スタンド・バイ・ミー―恐怖の四季 秋冬編 (新潮文庫)

 

巷では、スタンドバイミーと名の付く映画や音楽であふれかえっていますが、私にとってのスタンダバイミーはベン・E・キングのスタンドバイミーこそが本当のスタンドバイミーだと思っています。

有名すぎる表題作なので紹介不要かもしれませんが、まだ見つかっていない子どもの遺体を、4人の少年が探しに出かける「少年たちの冒険もの」です。私はこの話が凄く気に入って、似たような話を何回か個人的に書いています。

冒険と少年の成長、そして友情。これは永遠のテーマであり、ここをがっちりつかんでいるからこそ、力強くで普遍的な感情に訴えかける話になっているのだと思います。

 

高校生の時は冒険と死体の話にわくわくし、大学生の時は、違う人生を歩み始めてしまった友人のことを思い出し、社会人になると家族の葛藤に共感する。読むたびに新しい発見がある、まさに「不朽の名作」だと私は思っています。

…ちなみに、私の書いた冒険ものはこちら→https://ncode.syosetu.com/n2742ey/

ジャンプ小説新人賞(短編)で一次を通った作品です。それなりに評価をされているのはやはり、成長と友情と冒険は物語の王道ということなんでしょう。

同時に収録されている「マンハッタンの奇譚クラブ」は、不思議なクラブに招待された男の話。おどろおどろしいムードの中で展開される話は多少ありきたりですが、それよりも、奇譚クラブの建物のいわくありげな描写が妙に想像を刺激します。

後、恐怖の四季シリーズはタイトルの和訳がちょっと不思議。確かに「Body」を「死体」って訳してデカデカとタイトルにするのは難しいと思うけどさ……

 

O・ヘンリ「Oヘンリ短編集」

O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)

O・ヘンリ短編集 (1) (新潮文庫)

 

友人「Oヘンリは短くていいよね?」

私「え? 誰それ」

という会話がきっかけで手に取った一作。短くてキレのある話を求めていた私に、この短編集はクリーンヒットしました。

飢えと寒さをしのぐために刑務所に戻るべく悪行を重ねるが、かえって人から感謝されてしまう男の話「警官と讃美歌」。貧しい夫婦が、クリスマスプレゼントを買うために、相手に内緒で自分の大切なものを売り払ってしまう「賢者の贈り物」など。短い話で意外なオチ方をする短編集。

それと、この作者の何よりもいいところは、人生に対する前向きな姿勢とユーモアに満ち溢れているところ。なんだか、人の感情を煽ったり逆なでしたりするコンテンツが多くなってきている気のする昨今、こういう話には心が洗われる気持ちになります。

 刑務所の中で書いたとは思えない前向きさです。

 

 恩田陸夜のピクニック

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

 

 恩田陸の代表作。本屋大賞の受賞作品でもあります。

高校生がひたすらに長い距離を歩く「歩行祭」の話。恩田陸さんの母校にこういう行事があったみたいです。それと、早稲田大学のイベントにもこういうのがあるそう。そのあたりが発想の起点になった作品かなと思います。

主人公の甲田さんと西脇くん。二人は一見無関係に見えるけれど、どこかにているところもあり、友人からは恋人じゃないかと勘繰られる。二人の間にはある秘密があり、その秘密をめぐって、主人公の甲田さんは歩行祭にある賭けをする……

メインの二人の関係と、それを取り巻くサブエピソードが、歩行祭の進行と合わせてスムーズに展開されます。友情あり、恋愛あり、ホラーっぽい要素あり、若干ミステリありと、あらゆる要素を詰め込んだ名作の青春小説です。

主人公が歩く系の話は「死のロングウォーク」、後「スタンドバイミー」なんかもそうですね。皆で並んで一緒に歩く。その時、参加者たちは普段の目まぐるしい日常から離れて、自分や他人と向き合わざるを得なくなります。その時、今までの関係を見返したり、意外なことがわかったり、普段考えなかった将来の関係に思いをはせたりする。

「皆で並んで一緒に歩く。それだけのことが、どうしてこんなに特別なんだろう」

というキャッチフレーズだったか。確かにたったそれだけのことだけれども、それはある、日常から切り離された特殊な空間にいるのと同じことなのです。まさに、物語の舞台としてとてもいい設定なのだと思います。

皆で歩く系の話で一番有名な奴、それと後味も凄くいい。オススメ! と私は思います。

 

森絵都「空に舞い上がるビニールシート」

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

 

 優しく穏やかな文体で、人の心の機微を丁寧に救い上げる素敵な短編集。彼と仕事との間で悩むパティシエ見習い、真面目な社会人大学生、動物保護活動にいそしむ主婦、NPO団体の事務員……境遇も立場もさまざまな人々を描く短編集。

派手な出来事を取り扱った短編は多くありませんが、確かな筆致でどんどん読ませる。そして、ふと目にしたフレーズに頭がじんとしびれる。そんな本です。

直木賞も受賞した名作です。

 

森絵都「カラフル」

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

 

 愛らしい表紙、愛らしいキャラクター、愛らしい語り口で、子どもにも大人にも読める。そのくせ、大の大人の息を止めるような鋭い切り込みがある――森絵都の作品はこの二冊しか読んでいませんが、読みやすさと心理描写がばつぐんに上手。そして、穏やかでどこか応援したくなるキャラクター造形が魅力です。

アニメ映画にもなった名作。森絵都の作家としての才能を強く感じられる一冊です。

 

 

音痴でも上手く歌えるカラオケソング 7選

こんにちは、ミズノです。

 

私はかなり音痴です……が、友人にいろいろ助けてもらいまして、カラオケの番はなんとかいつも乗り切っています。

「これ簡単だよ!」

と言われてもそこまで簡単じゃなかったりします。いろいろ歌ってみて、

そういう人にもいい感じに歌える曲というのは、こんな条件を満たすものかなと思っています。

 

その1 メロディが複雑じゃない

「完全感覚Dreamer」や「ワタリドリ」なんて曲はもってのほか。最近の曲は、一般人に歌えない曲をわざと作りに行っているんじゃないかと思うほど、メロディも複雑で声が高いです。無理は止めましょう。スローテンポ、かつ地声に近い高さで歌える曲が一番です。

 

その2 短い

長い曲と言えば、ミスチルの「しるし」なんかが悪名高いです。7分もある……自分もしんどいし、後ろ待っている人からの早く終われオーラが半端ありません。何より桜井さんの声は誰にも出せません。(出せる人がいてビビったことあるけど)

一分くらいで終わる曲がいいと思います。

 

その3 歌詞がとがりすぎない

昨今のトレントは「一般大衆に受けるよりも、ごく一部の人に『刺さる』コンテンツ」が重要視されていますが、不特定多数の集まったカラオケでは致命傷になりえます。例えば、水樹奈々のエターナルブレイズなんか入れたら、ナニコレ? となること請け合いです。高橋優なんて入れた日には「……なんか悩みでもあるの?」と心配されることは間違いありません。

 

そういうわけで、三つの要件を満たす、そこまで歌が上手でなくてもそれなりに聞こえる曲を紹介していきます。。

 

福山雅治「虹」

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福山雅治の曲はどれもそうですが、あまり高音でもなく、スピードもゆっくりで歌いやすいです。ただし「家族になろうよ」や、「化身」など、男 福山雅治にしか歌うことの許されない曲も随所にあるのでご注意を。

その点、この曲はベストと言えるでしょう。ドラマ「ウォーターボーイズ」に採用された超有名曲。幅広い年代に親しまれ、多くの人にあの青春物語を想起させること間違いありません。時間は4分25秒。まあ標準的な長さと言えます。

「虹」という曲は死ぬほどたくさんあるので、間違った曲を選ばないように注意しましょう。

 

②曇天

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アニメ「銀魂」のオープンニングソングこの曲のいいところは、なんと

 

3分28秒! 短い!

 

そういう訳で、自分の歌う時間を1分減らすことが可能です。また、銀魂は、メディアミックスが非常に多くされている有名作であり、かなり多くの人に受け入れてもらえる曲と言えるでしょう。私は個人的にもこの曲は結構好きです。

 

③歩いて帰ろう

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これまた有名曲。きっと、ポンキッキーズを見ていない人間は、きっとこの日本にはほとんど存在しないでしょう。

誰もが共感できる「学校から歩いて帰る途中に見えた空と白い雲」に、皆自らの学生時代を重ねます。きっとあなたの歌声なんて聞こえていないでしょう。きっと彼らには、若かりしあの日の友との会話が脳裏でエンドレスリピートするに違いありません。

時間は4分。なかなかいい時間です。

 

④悲しみの果てに

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仕事を持つ男には百パーセント共感される、哀愁漂うエレカシの名曲。穢れのないまっすぐな歌詞は、世の中を斜に見た青少年以外のありとあらゆる年代の人の心に響くでしょう。

しかも! 滅茶苦茶短い! その時間、なんと

 

2分41秒!

 

歌い終えた後「え、もう終わり?」みたいな空気に、だいたいの場合なります。

 

ハッチポッチステーションOP

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ネタ曲です。

おそらく、子供を持つ親はなんだかんだで見たことあると思います。

意外と短い3分20秒。この曲を歌うと、時間が一瞬で過ぎたような気持ちになります。

 

⑥ひとりぼっちじゃない

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人の命とつながりを訴える普遍的な歌詞。幼いころの私にはわかりませんでしたが、今の私には若干その意味が割ります。

時間は4分20秒。かつてポケモントレーナだった人々の胸にじんと染みる曲です。

……なんだかネタ感が強くなってきました。

 

浪漫飛行

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誰にも文句を言わせない名曲。穏やかなトーンで愛しい人への気持ちを、空飛ぶ飛行機に託して歌い上げます。時間は4分。ありとあらゆる年代の人が納得する、全くとがらない普遍的なメッセージ性を持った曲です。

私は新卒採用の面接のとき

「カラオケの十八番は?」

と聞かれて

米米CLUBの『浪漫飛行』です」

と答え、面接官三人に爆笑されました。ちなみに今の会社です。

 

以上、攻めすぎない曲を七つ紹介しました。

私も、カラオケに行ったときはいつも選曲に迷いますので、その時にはこの記事を見て歌う曲を思い出そうと思います。

 

気が向いたらその②とか書くかもです。

塩田武士「歪んだ波紋」に戦慄した

こんばんは、ミズノです。

 

歪んだ波紋

歪んだ波紋

 

 

発売一週間でさっそく、重版がかかったようです。

 

グリコ・森永事件は未解決事件として広く有名になりましたが、私もその顛末に興味を抱き、ネット記事を読みあさったものです。怖い怖いと思いながらも記事を追い、「結局未解決かよ!」と一人心の内で叫んだのを覚えています。

 

「罪の声」が出版された時、ああ、こいつを題材にする人が出てきたか‼ と、しかも、「元新聞記者」が小説にし、しかもその人が「関西で記者をやっていた人」と聞いた時には、この本は出版されるべきして出版されたんだなと強く感じたものです。

 

私は楽しみを後に残しておく口でして、実は「罪の声」は未読です。(テーラーの男の人がどうのこうの、みたいな前書きだけはちょっと読んだのですが……)その代わり、「騙し絵の牙」は読了しています。こちらは、出版業界の熱いバトルを描いた意欲作で、大泉洋を主人公としてあてがきした作品です。試みも題材も非常に面白く、ストーリーの意外性もあって非常に考えられた作品でした。

 

この作者の本は、今作も含め二作しか読めていませんが、今、まさにイケイケともいうべき人と思っていま。近く、直木賞の候補にもなりそうな予感。

 

今回はその最新作、「歪んだ波紋」について、思ったことをつらつらとメモしておこうと思います。本の紹介というよりも備忘録なのでご了承ください。

 

①作者の筆の乗りっぷりが半端ない

メインの題材はニュースの「誤報」と「虚報」です。新聞記者と言えど人間であり、また新聞やテレビニュース業界も、出来事をまとめて対価としてのお金を得ています。トクダネが出れば売り上げは増え、そうでなければ出ない。発行部数が落ち、会社が成り立たなくなる可能性もある。

それなら、ネタを作ってしまえばいい――そういう人災が起きてしまう怖さが、自分が当事者になったかのように、作者の目線を通してフィクションとして体験することができます。

元記者が記者を主人公にして書くというのは、かなり勇気のいることと思います。

が、躊躇いをみせず、自分の元居た組織の闇を正面から描く姿勢にはただ感嘆するばかりです。

前作の「騙し絵の牙」でも、出版業界の人間関係がしっかりと書き込まれておりましたが、本作ではそれがますます顕著です。「職場の人に読ませたら突っ込まれる」みたいなことを作者は何かのインタビューで答えていましたが、ううむ、何も知らない読者からしたら、なかなか新しい視点が得られていいなと私は思います。

 

 

②ミステリといいつつミステリは薄め

ミステリと言えばトリック+解決というのが明示されるのが鉄則ですが、そこまで謎とその解決には主眼が置かれていません。確かに意表を突く展開もあるのですが、ミステリとしてはどうだろう? というイメージを受けます。疑問に思ったことをいろいろ調べていくスタイル、宮部みゆきの「火車」みたいな感じです。

こういうのを社会派ミステリーと言うのだろうか。

 

③登場人物多すぎ問題

やはり社会問題を取り扱った小説は、たくさんの人がかかわり複雑な利害関係をなします……誰がどういう目的で行動しているのか、時々見失いそうになることがあります。

この小説はある意味「誤報」が主人公なので、誰か一人にスポットを当てる構成になっていないのが、今まで読んだフィクションとは色合いが異なるのかなと思います。実は私、そういう構成の話が若干苦手なのかもしれません。

模倣犯」なんかも読むのが大変だったなあ……高校生の時だったか

この本を読んでいると、なぜかものすごく宮部みゆきの小説を思い出します。 

 

④いろいろ書きましたが、まさに「大人の」小説です。

私はこれまで、十代二十代の出てくる青臭い小説やら、ファンタジーやホラーといった地に足のつかない(……失礼?)話ばかり読んできましたが、この本に出てくるのはみな、深い人生経験を積み、立派な大人としてプライドを持って仕事をしている人ばかりです。大人の色気とはこういうことか……と、なんだか新しい地平が開けた感じがしました。

同じことを池井戸潤さんの「下町ロケット」でも感じが記憶があります。あの小説に出てくるオジサンたちも、凄いかっこよかったなあ……

 

◎まとめ

私は会社に配属されて三年目。記者だったら先輩に言われてサツ周りをしている年代でしょうか? 新聞やメディア関係者には、なかなかなろうと思ってなれるものでもないのですが、この本を通じて、まるで自分が新聞社に配属され、そこでの仕事を体験できたような気持ちになれます。この小説は、もちろんヒューマンものであり、工夫を凝らした仕掛けがあり、大人の魅力を描くものであり、お仕事小説でもあり、ちょっとミステリでもあります。いろいろな魅力がぎゅっと凝縮された作品です。

作者の主張の本筋は「真実を伝えるはずのメディアが意図的に誤報を流す」ことの怖さにあると思いますが、なかなかその怖さが伝わらないのがもどかしい限り。本を読んでそれは強く感じたんですけれど、それを記事でさらに誰かに伝えることの難しさ……やはり本職の作家の人は違います……

 

【抱っこもできる】宮城県「キツネ村」で、最高のモフモフを堪能してきたよ!

こんばんは、ミズノです。

 

友人から話を聞いてずっと行きたいと思っていた「キツネ村」に行ってきました。

交通手段は自家用車。

 

浜松⇔宮城の約700kmを10時間(仮眠除く) で走破しました。

なかなかハードな旅でしたがいろいろ気づいたことがあったのと、帰りは物足りなくて栃木の日光に寄りましたので、そのあたりで一つずつ何か書こうと思います。

 

今回はキツネ村、檻の中の様子をメインに紹介します。

 

①キツネ村のキツネたちはだいたい寝てる

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地面にごろんとなったまま身動きしないやつらが結構います。朝早かったからでしょうか?

 

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人を恐れない……普通に通路で寝てる。

 

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こいつに関しては踏みそうになりました。それでも起きません。

 

②給餌場所ではやる気を出す

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餌を巻いてやるとわらわら集まってきます。

 

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餌を求めるこの表情。

 

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餌をまいてやらないと明らかにがっかりされます。

 

③稲荷神社がある

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場内にはこんなものも。 

 

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良く探せばこんなところにも……寝てるし。

 

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エキノコックスについての解説。

園内ではきちんと対策されているようですが、野生のキツネにはやはり触れないほうがいいようです。

 

④ケージの中で飼われているキツネもいる

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カゴの中に入れられている動物を見ると、やはり人間のエゴといいますか、そういうものについても考えさせられます。

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いい笑顔……いやいや眠かっただけかもしれない。

 

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こんなのも。怒っているように見えますがあくびした瞬間を撮ったものです。

 

以上!!

 

思う存分モフモフを満喫できる最高の空間でした。

ただし、放し飼いのキツネは噛んだり服を破ったりするそうなので、勝手にモフモフすることはできません。キツネの抱っこイベントがあるそうなので、そっちを申し込めば触れるとのこと。子供たち大歓喜のイベントですね。

 

なかなか普段足を踏み入れない場所ですが、世界でも珍しいキツネの飼育所ということで、ぜひぜひ訪れてはいかがでしょう。

 

 

PS 実はキツネ以外にもいろいろ飼ってたりする。

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