狐の嫁入り

小説創作ブログ! のつもりでしたが、なんかだいぶ違う気がします……

宮部みゆき「火車」

 最近は宮部みゆきの小説にハマりました水平です。そういうわけで今も彼女の著書「ステップファザー・ステップ」を読んでいます。ユーモラスでほのぼのした感じで、こちらも面白い小説なので読み終わったら感想を書こうと思いますが、こんかいはこれじゃなくて、ちょっと前に読んだ作品を紹介します。

 「火車」ってどうやって読むか分かりますか?ひぐるま、そうですよね、普通ならそうやって読みます、ちなみにこれ、”かしゃ”って読みます。凄い紛らわしい題名なことで。読者が読み違えることを期待してか、振り仮名も表紙のタイトルの100分の1くらいの本当に小さな字で気づきにくいように書いてあるんです。あとからそれを発見して、へぇーって感じ。

 さて、話の内容ですが、宮部みゆきということでもちろんミステリーです。失踪した婚約者の捜索を親戚から依頼され、休職中だが刑事である主人公は、彼女の周囲を調べていくうちにやがて異変に気づいていく。失踪した女性の過去、隠蔽された事実、そういうミステリー的内容が、現代社会の抱える問題や欠陥と結びついて、そしてその描かれ方が凄くリアルです。読んでいると金融だとか会社だとかの、社会の仕組みの複雑さ、その社会に生きる人間の大変さ、なんかがまだ社会に出たことのない僕にもすごく現実的なものに感じられます。

 この「火車」(”かしゃ”ですよ)という作品は、社会派ミステリーってことになっていますが、宮部みゆきは、そんなふうに考えて書いたわけではなかったので恥ずかしいと語っています。それでも、僕としてもやっぱり宮部みゆきは社会派だな、ミステリーだな、と思ってしまいます。
 ちなみにこの宮部みゆきのコメントは、さっきちらっとだけ書いた「ステップファザーステップ」の後ろに載っていた談話集のものなんです、僕は基本的に本編を読み終える前にあとがきを読む派なので。なんだかちょうど良かった、まとめっぽくできて。







いや、っぽくはできてないかな